クリエイターは「応援してください!」と言ってはいけない

Interview

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  • 2020.03.06 20:00:00

誰よりも多く失敗を経験している人物とは、逆説的だが世に言う“成功者”である。

底辺からの眺めも、頂点からの眺めも、共に経験している人間の考えはしなやかで、その言葉は力強い。

クリエイターは「応援してください!」と言ってはいけない

ロックバンド・Sound Scheduleとして表立ったキャリアをスタートさせ、2001年のメジャーデビューから2006年の解散後、ソロ活動を続けてきた大石昌良さん。

7年後の2013年、「Tom-H@ck featuring 大石昌良」名義でTVアニメ『ダイヤのA』の主題歌として「Go EXCEED!!」を手がけて以降、再びその活動に拍車がかかっていく。

その“再浮上”のきっかけとなった盟友であるクリエイターのTom-H@ckさんを迎えた公開対談、2人の対談の最終回となる今回。

閉演時間を大幅に超過して白熱し、質疑応答にも最後まで実体験をもとに全力で答える2人から飛び出した、力強い言葉の数々を記録した。

※本対談は、2020年2月4日に公開対談という形で開催したトークイベントおよび当日公開できなかった事前アンケートへのご回答を元に、原稿として構成した内容となる

クリエイターの時代

──これまでの対談では「個人の時代」というキーワードを元に、これからのクリエイターの働き方についてのお話をうかがってきました。音楽家の世界ではメジャーレーベルに所属せず、個人で活動を展開されるアーティストさんも珍しくなくなっています。

Tom 個人でやる場合は、クリエイティブ以外の雑務も自分でしないといけませんから、そうした苦労がストレスにならないのであればいいと思います。

逆にメジャーの場合は、それゆえのストレスもあるものの、基本的にはクリエイティブに集中できる。どちらが優れているわけではなく、その人の特性によって適したやり方が選べる時代になったんだと思います。

大石 僕はやはり個人が力を持ち始めてると思ってる。ネットカルチャーがどんどん広まって、個人でも世界を獲れるチャンスが増えてきた。そうなると企業と個人の関わり方も以前とは異なってきていて、お金のやりとりだけでなく、いかにリスペクトしあえるかが重要になってきている。

仕事をした分だけお金がもらえるのは当たり前ですが、払う側ももらう側もそのやりとりにどれだけの気持ちが込められているのかを再確認しないといけない

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大石 僕はマネージャーの日々の働きに感謝しているからこそ、マネージャーの給料をあげてくれと社長に頼んだりしているんです。リスペクトを形で示すことで、本人のモチベーションにも繋がるし、結果的に僕も働きやすくなるので誰もが得するんですが、本人が社長に給料あげてくれとは頼みづらいよね。だから僕がキチンと評価して、その成果をキチンと思いでも形でもリターンするのは当然のことだと思っています。

Tom そこで大事なことの一つに、社長が現場の人たちの仕事を知ってるかどうかということがあると思っていて。現場の気持ちをわかって、思いを共有できるかどうか。

──Tomさん自身、ご自分もアーティストでありながら株式会社TaWaRaでは所属クリエイターのプロデュースも行うという立場ですよね。近年、大手事務所から独立して、プレイヤーやクリエイターが自分で会社を立ち上げて代表をつとめるというケースが増えてきたように感じます。

大石 その流れのきっかけは、声優界から始まったように感じる。

Tom いわゆる“芸能”の場合、事務所を辞めた後に一定期間芸能活動してはいけないという条項が存在するところもあって。でも、声優やクリエイターの場合はそれがないから。

大石 アーティストにおいても、僕が最初に契約を交わした際は、今よりも“芸能”だったよ。でもそれが今は、(事務所とアーティストが)段々対等な形になってきているように感じる。みんなが得した方が結果的にうまくいくということに、業界自体が気づき始めたのかもしれないね

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