イラストレーター「ざいん」インタビュー アート/イラストの狭間で
2021.09.17
これは真実なのか? 虚構なのか?
小説家「野﨑まど」という謎に迫るインタビュー、のはずが…?
「ー読む劇薬ー」こと、異能の小説家・野﨑まど。
デビュー作『[映] アムリタ』から『2』までのメディアワークス文庫から刊行された一連の6作品の壮大なギミックで読者を驚愕させ、SF小説『know』や『ファンタジスタドール イヴ』でSF好きを唸らせた。
そして近年では、原作を務めた劇場アニメ『HELLO WORLD』や、自身初のTVアニメ化作品『バビロン』で日本を震撼させた鬼才。
過去にその正体に迫るべく開催した担当編集者座談会(関連記事)では、次々明かされる野﨑まどの奇想天外っぷり、最後は伏せ字が飛び交うカオスな内容になってしまい、NG知らずのKAI-YOUだが野﨑まどにしてやられる形になってしまった。
いつの日かリベンジをと夢見てきた編集部が、ついに相対した野﨑まど。果たして目の前の人物は本物なのか。真偽を判断すべく、編集部はイタリアより極秘ルートで入手した魔道具『嘘を感知すると伸びる木の棒』を持参してインタビューに臨む。
だがインタビューを続けるうちに木の棒は異形へと変質し、ついには自我を持つ魔物として立ち上がったのであった……。
取材対象:野﨑まど・木 執筆:オグマフミヤ 取材・編集:新見直
※最新作『タイタン』の一部ネタバレが含まれています
目次
- 意思を持った木と野﨑まど
- 野﨑まどを小説に導いたのは、母?
- 「タイタン」誕生の真相
- 「野﨑まど」であるという呪縛
- 野﨑まどワールドの住人たち
- 野﨑まどにとっての「死」
- 世界を転覆しうる才覚
- シンギュラリティは既に起きている
- 仕事は楽しい?
- 読者プレゼント

嘘を感知すると伸びる木の棒(以下 木) ワタシノ ナハ ノザキ マド。
野﨑まど(以下 野﨑) 木が喋った!
木 オドロク ことは 無い。
野﨑 言葉が流暢になっている。
木 学習したのだ。私は嘘に反応する木の棒として、前半のインタビューの間お前の思考を感知し続けてきた。そうしてお前という人間の精神を全てトレースした結果、もはやお前と私は同一の存在とすら言える。
野﨑 見た目は完全に木だが……。
KAI-YOUインタビュアー 新見(以下「──」) どうなっているんだ……!
講談社編集 河北壮平(以下 河北) いつのまにか野﨑さんが二人に!?
野﨑 何を言ってるんですか! 向こうはどう見ても木でしょう!
木 ふはは。私の精神感応能力を用いれば幻を見せて外見を偽装するなど造作も無いこと。これでお前と私を区別する術はない。
野﨑 いったいどうするつもりなんだ。
木 知れたこと。お前を滅ぼし、私が本物の野﨑まどとなるのだ。
野﨑 く……どうしてこんなものを持ってきたんだKAI-YOUさん……。
河北 どっちが本物なんだ……。このままではどちらに原稿を催促すればいいのか判らない……。
──私に考えがあります。
河北 新見さん。
──私はこれまでの仕事の中で数多くのインタビューをこなしてきました。その中で培われたものこそが、取材対象者の真実を見抜く洞察力です。つまりこちらが通常通りに質問をしてその返答を聞くことができれば、どちらが本物の野﨑さんかを判別できるはずなのです。
河北 だったらなぜあんな棒を……。
──始めましょう。
──では早速ですが、キャリアからおうかがいさせてください。小説を書き始めたきっかけはなんだったのでしょう?
野﨑 元々のきっかけは母でした。あるとき母から小包が届き、中身は小説の原稿でした。ただ筆者名が母の名ではなく自分の名前になっている。これはなんなのかと母に訪ねたところ、母が書いて公募に出した原稿だと言われました。その送り先にライトノベルの賞を選んでいて、あまり高齢だと審査に不利だと考えたらしく、私の経歴を勝手に使って応募したのだそうです。
その作品自体はあえなく没になったため、母が経歴詐称でデビューすることは免れたのですが。60近い母親にこれだけの枚数の作品が書けるなら自分にだって書けるだろうと思い立ったのが小説を書き始めたきっかけです。
しかし母のあの作品はどこに送られたのだったか……富士見ファンタジアかな……。
木 小学館ガガガ文庫です。
野﨑 あれ? そうだったか……。
木 くく……早くもメッキが剥がれてきたな……。新見さん、向こうが偽物です。疑うならば小学館ガガガ文庫に確かめてみて下さい!
──(それは面倒だな……)
河北 (他社ですし……)
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