「TRPGは映画鑑賞に似てる」 実況者むつーが語る”エモい”物語が選ばれる理由

Interview

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  • 2021.04.22 20:00:00

現在、YouTubeにて配信カルチャーと融合し再注目されている「TRPG」ブーム。

人気実況者を次々と配信に呼び、サプライズを巻き起こす配信者・むつーの狙いとは。

「TRPGは映画鑑賞に似てる」 実況者むつーが語る”エモい”物語が選ばれる理由

2009年以降、ニコニコ動画で幅広いジャンルのゲーム実況動画を投稿し、人気実況者として活動していたむつーさん。2014年頃からはYouTubeでも活動を開始し、近年では配信内容もコンソールゲームから「TRPG」を中心にしたスタイルへと変化した。

彼のTRPG配信は、特にゲームマスターとしての進行・采配に定評がある。物語の組み立てもさることながら、イラストやBGMの素材を豊富に用意したり、人気実況者とコラボしたりと、本編以外でも「見たくなる仕掛け」が多数施されていることが特徴だ。さらに自身でも『壊胎』『傀逅』というシナリオを制作し、いずれも高い人気を得ている。

今回KAI-YOUPremiumでは、TRPGの最前線で活躍するむつーさんに取材を実施。彼から見たシーンの盛り上がりや、マスタリングのこだわり、さらに「実況者として食べていけるのか?」など、踏み込んだ話までうかがった。

取材・文:ヒガキユウカ 企画:うぎこ 編集:小林優介

目次

  1. TRPGとの出会いはニコニコ動画だった
  2. 趣味を詰め込んだ人気シナリオ『壊胎』『傀逅』制作秘話
  3. 配信に向いているシナリオ
  4. TRPGはなぜ高額スパチャがとびやすいのか?
  5. 「作業のお供」を想定した、わかりやすい画面づくり
  6. 鬼悪魔むつーの本音
  7. 「たかにど傀逅は、回していて辛かった」
  8. オンラインの方が、没入感を高めやすい
  9. 続けるために大事にしていること

TRPGとの出会いはニコニコ動画だった

──むつーさんはもともと、ゲーム実況者として長く活動されています。そもそもゲーム実況をはじめた経緯は?

むつー ニコニコ動画が始まってちょっとした頃に「ゲーム実況」というジャンルが生まれて、最初は見る側だったんです。そのうちに、自分もやってみようかなと思ったのをきっかけに、結構気軽な気持ちで始めました

むつーさん

むつーさん

──ニコニコ動画では「ポケットモンスター」シリーズからFPS・ホラーなど幅広い動画にチャレンジされ、人気を集められていました。そこからTRPGをやるようになったのはきっかけがあったんですか?

むつー ニコニコで、ゆっくり実況のTRPGが流行った時期があったんですよね。でも、そのときは専門用語が多かったこともあって何やってるのかよくわからなくて、全然見てなかったんです。

その後、配信者のまにむさんのシリーズとか、生配信チェックサイト「Ustream Checker」を中心としたグループ・チェッカー卓の『豪華客船と怪盗団』とか、すごくわかりやすいリプレイ動画がニコニコで流行り始めたときに、これは面白いと夢中で見ていて。そこで初めて、TRPGがどういうものかを理解したんです。そこからはゲーム実況と同じく、見てるうちに「自分もやってみたいな」と思ったんです

実はめっちゃ面白いクトゥルフ神話TRPG

むつー ただ、周りにゲームマスター(以下、GM)をやれる人が誰もいなかったので、仕方なくGMをやるようになった形です。

──プレイヤーよりも先にGMをやったんですか?

むつー どっちが先だったかははっきり覚えてないんですが、とにかく当時の自分の周りはゲーム実況してる人ばかりだったので、TRPGやりたい! と誘ってみても「TRPGって何?」という温度感の人ばかりだったんですよね。

GMはさすがにルールを理解した人しかできないので、とりあえず自分がGMをやって「TRPG未経験でもいいから一緒に遊んでみよう!」と声をかけました。配信外では1~2回くらいしかやっていなくて、それ以降はもう全部配信に乗せちゃってましたね。

むつーさん

むつーさん

──となると、最初からTRPG配信をするつもりだったんですね。

むつー そうですね。これは僕が個人で感じていることなのですが、配信ではない場所でプレイすると、「1人で映画観た後」みたいな気持ちになっちゃうんですよ。すごく楽しかったのに、その気持ちを発散・共有するところがどこにもない

配信でやれば見てる人とは共有できるので、そっちの方がテンションが上がるなって。今でもテストプレイとかでない限りは、極力配信でやってますね。

趣味を詰め込んだ人気シナリオ『壊胎』『傀逅』制作秘話

──自身でもシナリオ『壊胎』『傀逅』を制作し、コミックマーケットに出展されたり、BOOTHでデータ販売されていますよね。シナリオを書こうと思ったきっかけは何だったんですか?

むつー いろんな人のシナリオを遊んでいくうちに、自分の好み的に「このシナリオもっとこうなったらいいのに」と思うことが溜まっていってたんです。あと、自分の好きなものを詰め込んだらどんなシナリオができるんだろうっていう妄想が膨らみはじめたのもあって、アイデアをまとめて、ちょっと一本書いてみるかと。

むつーさん

むつーさん

──むつーさんのシナリオは、GMが回しやすいように工夫されていますよね。物語が口語で書かれていてGMはそのまま台本として読み上げるだけでいいですし、ゲームを盛り上げる音声や画像の素材も豊富に収録されています。

むつー 自分自身がGMをやる中で、言葉を選ばず言うと……既存のシナリオに「これ、GM初心者な自分では到底回せない…」と感じることが多々あったんです。例えば、話の流れだけが書いてあって場面の描写をする文章が無かったりすると、自分でその部分を埋めないといけないので。

準備がすごく大変なんですよね。他には背景、NPCのイラスト、音楽、その他もろもろは自分で用意しなければならなかった。

その大変さを知っていたのもありますし、自分でつくったシナリオはやっぱり自分で回したいわけで、素材はどのみちつくるんですよね。どうせつくるなら、頒布するシナリオに最初からおまけとして入れちゃえば、他のGMさんも回しやすくなるかなと思って。

【裏話】ナポリ山脈の裏話、振り返りをKP目線でしよう!

むつー シナリオを口語で書いているのも素材の話と共通するんですけど……。僕、人のシナリオを回すとき、一旦パソコンで文章に起こしてから、実際のマスタリングをイメージして口語に調整してるんですよ。自分が回すときにどうせその作業が発生するので、自分のために必要な台本をそのまま同人誌にしたって感じなんです

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