LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
クリエイター
この記事の制作者たち
ネットを起点に大きな反響を呼んだ漫画『マイ・ブロークン・マリコ』の作者、平庫ワカ。インタビュー前編では、「描いたものは後から必ず描き直したくなる」と語った平庫が、作品ごとになにを描き直したかったのか──。作品のなかに織り込む彼女自身の価値観の変化を辿りながら、平庫ワカ作品の物語を紐解いた。
後編では平庫のルーツを掘り下げながら、彼女が考える、漫画表現における「作画」と「言葉」の意味にフォーカスしていく。
ビジュアルに託すものが変化し、「言葉の補助として絵があるものが、本当はやりたいのかもしれない」とインタビュー中に逡巡する平庫。
鮮烈で、繊細で、躍動感のある平庫の作品たちには、余白や「問い」が生む漫画の重力がある。彼女はその問いを、作品のなかにどのように込めているのだろうか。
取材・構成:ヒラギノ游ゴ 構成補助:赤井大祐 企画・編集:和田拓也 取材協力:KADOKAWA、COMIC BRIDGE 編集部
目次
- “寂しさ”と引き換えに得たもの
- 日本の漫画表現の文脈から生まれた『マイ・ブロークン・マリコ』
- 理想は“言葉の補助”として絵がある作品──平庫ワカ作品における言葉の意味
- 「問い」が漫画の重力を生む
- 描きたいものを描くことに、自分の命がかかっている
──『マイ・ブロークン・マリコ』への反響の中には、いわゆる躍動感、感情をロスなく伝える絵の力に圧倒されるといった声が数多くありました。
平庫ワカ(以下、平庫) ありがとうございます。でも、まだまだふにゃふにゃです。ほんとにずっと独学で。
子供の頃は骨が入ってないような人間を描いてて、このままじゃだめだ、ちゃんと絵を学ぼうって思って美術系の短大に入ったんですけど、すぐに中退しまして。
──それはなぜですか?
平庫 なんだろうな、教えてもらえると思ってた内容と違ってたんです。当時本当に知りたかったことって、3点透視法とかパースの付け方とか、技法の部分だったんですけど、大学の授業は描いたものに対して「ここをこうした方がいいよ」っていう感じで。
そのときは別に漫画家になりたいってはっきり思ってたわけではないんですけど、自然と「漫画に活かせる描き方を教えてくれよ」って思ってました。なのでほんとに、絵はしっかり習ったことがなくて、ふにゃふにゃです。
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