『映像研』×chelmico MV監督 田向潤の「Easy Breezy」ではない制作の裏側
2021.09.10
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『月刊!スピリッツ』にて連載中の漫画『映像研には手を出すな!』(以下、『映像研』)の作者・大童澄瞳のツイートから実現した、登録者数160万人を超える人気YouTuberユニット・QuizKnock(クイズノック)のメンバー・山上大喜との対談。
前編は、2人の心理学への関心、発達障害という共通点を起点に、「わかりあえなさ」を乗り越える「クイズのコミュニケーション」を、大童が山上に疑問を投げかけながら紐解いていった。
後編となる今回は、「わかりやすさ」を生み出す漫画の言語とはどんなものかを、山上が大童に問いかける。
漫画の喜びは「存在し得ない、でも憧れずにはいられない理想の世界を、作品の中に存在させることができること」と語る大童は、『映像研』の中にどのような漫画的コミュニケーションを詰め込んでいるのか。
また、最後には山上が大童のために作ったクイズを出題。ぜひ読みながら挑戦してほしい。
構成:ヒラギノ游ゴ 構成補助:赤井大祐 取材・編集:和田拓也
目次
- 「こんな出題形式があるのか!」 QuizKnock加入のきっかけ
- 大童澄瞳にとっての「漫画の喜び」
- 漫画特有の言語、「わかりやすさ」のつくりかた
- 山上が衝撃を受けた、『映像研』の漫画表現
- クイズ的コミュニケーションの実践
- 山上が大童にクイズを出題!
大童 山上さんのクイズ作家としてのルーツはどんな体験でしたか?
山上 僕がクイズに熱中する最初のきっかけは、テレビ番組よりクイズ好きな父親が出してくれるクイズでした。それが何よりも大好きだった。
子供の頃はしょっちゅう父親に「クイズ出してクイズ出して」ってせがんでました。父親も困ってたんですけど、お願いしたらいつも何かしら問題を出してくれたんです。それがとても嬉しかったですね。
だから幼少期からクイズがずっと好きだったんですけど、中高生の頃は学校にクイズ系の部活がなかったので、競技としてのクイズは大学に入ってから本格的に始めました。
大童 そこからどのようにQuizKnockに加入することに?
山上 QuizKnockには修行のつもりで入ったんですよ。
大童 修行ですか。
山上 QuizKnockは僕がそれまで大学で所属していたクイズ研究会よりも出題形式の幅が広かったんです。クイズで食っていく道を考えたときに、作れる出題形式は多い方がいいと思って。
その頃の僕はクイズの作問者としてもっと成長したいなと思っていた時期で。本格的に競技としてのクイズをやるようになってから作れる出題形式がどんどん増えていったんですけど、ある一定のラインで頭打ちになってしまって。クイズ研究会で出されるような出題形式の枠を出ない発想で凝り固まってしまって。クイズで食っていく道を真剣に考え始めた時期だったので、このままじゃだめだなと。
山上 僕が『映像研』を読んですごく印象に残っているエピソードのひとつが、ロボット研究部のエピソードです。二足歩行ロボットなんて現実的には不合理なんだけど、でも僕らが子供の頃に憧れたのは二足歩行ロボットじゃん、っていうくだりがあったじゃないですか。
大童 そうですね。
『映像研には手を出すな!』第2巻より
山上 あれが刺さりに刺さったんです。というのも、僕自身にもそういう憧れの存在がいたから。テレビの中のクイズ王たちですね。
子供の頃はクイズ王って全能の存在というか、何でもわかると思ってたんですよ。でも実際に自分が競技としてのクイズを本格的に始めてみると、クイズというものは非常に多様なものだぞ、と。
場によって適した問題というのは全然違うし、それに答えられる解答者も変わってくる。1人のクイズ王がすべての問いに答えられるわけじゃないんです。
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