若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
クリエイター
この記事の制作者たち
『月刊!スピリッツ』にて連載中の漫画『映像研には手を出すな!』の作者・大童澄瞳と、登録者数160万人を超える人気Youtuberユニット・QuizKnock(クイズノック)のメンバー・山上大喜。
まったく違うジャンルで活躍し、ともに大きな支持を得ている両名の対談が実現した。
きっかけはある日の大童による「クイズノックの山上氏と話してみたいと最近思っている」というツイートだ。
クイズノックの山上氏と話してみたいと最近思っている
— 大童澄瞳/オオワラ・スミト (@dennou319) December 22, 2020
2人の心理学への関心、発達障害という共通点を通して、自分のルーツを知ること、他人とわかり合うためのクイズ的/漫画的コミュニケーション、そしてそれぞれの表現や創作論についての対話を前後編でお届けする。
前編では、クイズと漫画という互いの領域を通して、自分を知ること、他人を知ること、わかりあえなさを乗り越えるヒントを探っていった。
構成・執筆:ヒラギノ游ゴ 構成補助:赤井大祐 取材・編集:和田拓也
目次
- 自分のことを知るために、科学の方法論を頼った
- 『Among Us』『水ダウ』でも、人間の認知は曖昧だった
- 『映像研』の世界観の裏にあった、「学習障害」への誤解
- 「障害」は、体ではなく社会の中にある
- わかりあえなさを埋めた、「絵を描く」というコミュニケーション
- 「わかりそうでわからない」のが、クイズのコミュニケーション
- 作る側にとっての、「クイズの喜び」
大童澄瞳(以下、大童) 僕がどうして山上さんと話してみたいと思ったかというと、僕が今まで観てきたクイズ番組と大きく異なるQuizKnockのクイズのスタイルに惹かれたんです。
山上大喜(以下、山上) ありがとうございます。
大童 そんな中、「東大生ならどっちを取る?究極の2択大激論!」という回で「押したらこの世のすべての謎が解けるけど、それを誰にも伝えられないボタンがあったら押す? 押さない?」という究極の選択が出題されたんですが、山上さんの「自分のことを完璧に理解することが目的なので、自分のことがわかっていればそれで充分」という回答がとても印象に残っていて。
山上 得た知識を誰にも誰にも伝えられなくても、知ることに意義はあるのかって話でしたね。社会に関することだったら伝えられなくちゃ意味がないという気持ちはもちろんあるんですけど、どっちかしか選べないなら、僕はボタンを押すかなって。
大童 僕は数年前からいろんな人に話を聞いて、その人が許すならば、生い立ちやバックグラウンドを知るということをやっていまして。
というのも、僕は子供の頃から発達障害の診断のために病院に通っていたんですけど、僕以外の家族もみんなそれぞれ何かしらの障害を持っていて、全員が障害者手帳を持っている一家なんです。
そういう中で家族が自然と心理学に興味を持つようになって、僕も自分のこと、自分の障害のことを知ろうとするなかで、心理学を学びクイズの作問者でもある山上さんの話を聞いてみたかったんです。
山上 『映像研』めちゃくちゃ好きなので、すごく嬉しいです。
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