KAI-YOU Premium 1周年 「個の時代」や「越境性」…そのテーマを振り返る
2020.03.31
インターネットに起こりつつある大きな地殻変動。その渦の中心地にいる渋谷ハルと、ジャンルを越境する大石昌良が、邂逅する──
クリエイター
この記事の制作者たち
類いまれな分析力と時代を切り取る独特の視座でエンターテインメントの今について論を交わし合う大石昌良と渋谷ハル。
共にシーンの担い手たる2人が互いのシーンの現況を深く掘り下げていく中で、人々を熱狂させるエンターテインメントの魅力の本質へとたどり着いていく。
目次
- ストリーマーシーンは、今後も広がる──渋谷ハルの考察
- 大石昌良が唯一、配信者に「やめてほしい」「ズルい」と思うこと
- 分化の進む配信プラットフォーム
- 黒船襲来による生態系の変化
- なぜ渋谷ハルは炎上に向き合い続けるのか?
- 誹謗中傷に、どう向き合うのか?
- インフルエンサーである素人であることのバランスと責任
大石昌良 今ってストリーマー人気のひとつのピークのような状態だと思うんですけど、今後どうなっていくかみたいなことって考えてるんですか? 分析家の渋ハルくんのことだから、人気の時ほど警戒するというか、今の人気が落ち着いた時にどうするかってところまできっと考えているんだろうなって勝手に思っているんです。
渋谷ハル あくまで僕個人の予想なんですけど、ストリーマーやVTuberを含めたエンタメコンテンツは今後もっと強くなると思っているんですよ。なぜかというと、今まで生活の中にあったどうしても動かせない時間、仕事だったり通勤だったりみたいなものが減っていて、逆に自由な時間が増えているからです。
そうして増えた可処分時間って、みんな音楽を聴いたり映画を見たり、配信を見たりってエンタメに時間を費やすようになると思っていて、可処分時間が増えるだけエンタメに割く時間が増えていくことで、エンタメ全体がもっと盛り上がっていくなら、その中で配信コンテンツだけが縮小していくということはないと思うんですよね。
大石昌良 みんな、1日の中で「自分は、今日はこれをやった/見た」という色を塗りたいもんね。その中にちゃんとエンタメが入ってきていると。
やっぱり、コロナによる生活の変化の影響は大きいですよね。
渋谷ハル 本当にその通りですね。もっと言うとストリーマーシーン拡大の一因にもなっている『Apex』(Apex Legends)人気は、やっぱりコロナの影響は大きかった。
もちろん、今後そうした可処分時間が減ってしまう場合もあると思います。たとえば学生さんが就職すると、今までに比べて可処分時間は大きく減ってしまいますよね。それ以外にも仕事が忙しくなるとか、進学で環境が変わるみたいなこともあると思うんですが、1回落ち着いてしまえば、そこからまた可処分時間は増えていくでしょうし、少しの空いた時間でも配信や動画コンテンツを見るという生活に慣れてしまえば、それをやめるってことはあまりないと思うんです。
1回でも配信というコンテンツの面白さに気付くという大きなハードルがまずあって、それを一度越えてしまえば見るのをやめるというハードルも同じくらい高い。だから、いろんな状況の変化で時間が限られてしまったとしても、配信を見るということは続けてもらえるのかなと。
大石昌良 「今はちょっと見るのやめとこ」と思いながらついついYouTube開いちゃったり、少しの隙間でも「Twitchで誰か配信してるかな」って見たりしちゃうもんなぁ。
分母が減らずに増えていくという仮説から、今後もストリーマー界隈が衰退することはないと考えているわけか。確かにネット環境とかモバイルのスペックも追いついてきたから、もう家にいるのと変わらないくらいの環境で動画や配信を楽しめるようになって、移動時間の電車の中でも配信を見るようになりましたよね。

大石昌良 インターネットの最前線で活躍する渋ハルくんから見た既存のメディアたちってどう見えてるんでしょう? 今ってもう「若い人たちは全然テレビ見ない」みたいに言われてるけど、そもそも渋ハルくんの家ってテレビある?
渋谷ハル テレビないんですよ。
大石昌良 やっぱり!
渋谷ハル 一人暮らしを始めた頃にはもうニコ厨だったんで、もうインターネットで全部事足りるみたいな感覚でした。
大石昌良 それじゃ芸能人の方と関わる時は大変なんじゃないの?
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