VTuberは収入源を分散せよ 突如訪れるYouTube収益の剥奪やBANに備えて
2023.05.31
2023年春頃より急激に増えつつある「AIグラビア」を名乗るSNSアカウント。
すでに、AIグラビア/AI絵師たちによる経済圏は成立しつつある。そんなAI市場を開拓する若者に話を聞いた。
クリエイター
この記事の制作者たち
Stable DiffusionやChatGPTをはじめとする生成系AIの隆盛により、次々に新たなWebサービスやアプリケーションが開発され、連日大きな話題となっている。
今後の人間の生き方を便利にすることが期待されるAI技術だが、一方で、AIイラストで経済活動を行う“AI絵師”への批判を中心に、既存のクリエイターからは法規制の強化や、AI表現の禁止を求める声もある。
イラスト系がまず話題になった生成系AIだが、現在は“AI絵師”だけではなく、AIで表現や経済活動を行うクリエイターは着実に増加の傾向にある。
例えば、AIグラビア/AIコスプレイヤーと呼ばれるジャンルもその一つだ。イラストではなく、写真のような実在性・リアリティをベースに、AIで生み出された美女の写真がSNSに並ぶ。
今回、KAI-YOU Premiumでは、AIグラビアの黎明期から活動する「mico(@mico_aigirl)」の運営者へのコンタクトに成功。運営者は匿名だが、現在は紆余曲折があって無職。なんと一泊2500円程度のマンガ喫茶で生活し、そこからAIグラビアの画像を生成し、生計を立てているという。
とはいえ「ふつうのサラリーマンよりは稼げています」とも語る。
一体、AIグラビアとはどのような世界で、どのようなビジネスとなっているのか。国内第一人者への貴重なインタビューとなった。
目次
- 「AIに救われた」会社経営を辞めて──子ども部屋での出会い
- マンガ喫茶生活から、遠隔で画像生成する日々
- AIグラビアのヒントは「裏垢女子」にあった
- 「いるかもしれないし、いないかもしれない」AIはどう学習し、生成しているのか
- AIグラビアの稼ぎ方とリアル「ふつうのサラリーマン以上は稼げる」
- AIグラビアは、大きなビジネスになるのか?
- “人間”はAIに脅かされない、しかし“情報”は脅かされる
mico みなさん、こんにちは! micoです。今回は「まだAIで不労所得稼いでないの?」というテーマでたくさん語らせてもらいたいと思います。かの有名なイケハヤ(イケダハヤト)さんリスペクトです^^
──……(笑)。そういえばイケハヤさんはまだAIはやってなさそうですね。それでは改めて。micoさんの現在のご活動はどういう形で行われているものなのでしょうか?
mico はい! Stable Diffusionという画像生成のAIアプリケーションを用いて、世間では「AIグラビア」と呼ばれているジャンルで活動しています。2023年の3月からスタートしたばかりです。現状のメインとなるフィールドはTwitterですね。
──Stable Diffusion以外にも、以前からAIは結構触ったりしていましたか?
mico そういう意味だとそんなに早くもないんです。本格的に興味を持ちはじめたのは、ChatGPTがリリースされてからです。そこからAIって何だろうと勉強をはじめた形です。
直接的にAIグラビアを志したきっかけは──自分はReddit(外部リンク)をすごく観ていて(笑)。RedditのAI関連のスレッドで、すごいクオリティのAIイラストがアップされているのは知ってたんです。
もしかしたら、実写もくるのかな? と思ってたら、2023年2月くらいに、とんでもないクオリティのものが海外サイトで発表されるようになった。これはすごいなと思って。それまではChatGPTの勉強をしてたけど、一気にStable Diffusionに舵を切った形です。
──本当にはじめたばっかりなんですね(※取材を行ったのは2023年5月上旬)。それに驚いています。micoちゃんアカウントをはじめるまでは、何をされていたんでしょうか?
mico アカウントをはじめる前までは、IT企業の経営をしていました。アパレルECの開発や運営をやったり、メディアをやったり。そういったこともやりつつ、人生で何回も大失敗をしていて(笑)。
もう10年くらい会社を経営していて、売上も出していたし、客観的に観てもがんばっていたと思うんですけど、簡単に言うとメンタルをやられたというか、やる気を失ってしまったんです。会社自体はまだあるんですけど、自分一人を残して、何も動いていない状態です。
それで、数ヶ月くらい実家に引きこもって「子ども部屋おじさん」をしていました。そんな時期に、AI技術に出会った。
──なるほど……! AIとの出会いが再起するきっかけになったと。
mico AIに救われたのかもしれないですね。実家の「子ども部屋」でmicoちゃんはスタートしました(笑)。
アカウントを動かすうちに、「これはもう、一つのマーケットが形成されているな」というのをすぐに体感したんです。それで、もう一度仲間を集めてやってみようかなと思って、東京に戻ってきました。
──AIイラストやAIグラビアがどのように出力されているのか知らない人も多いと思うので、まずはStable Diffusionをどのように動かしているのか、制作環境みたいなものから知りたいです。
mico AI生成の環境は主に2つ使っていまして。まず、よくみんなが使っている「Google Colaboratory」っていうGoogleのサービスですね。これはPythonというプログラミング言語をオンライン上で動かせるVPSサービスみたいなものだと認識してください。
あとは、友だちのWindowsにリモートでアクセスして、勝手に使ってます。
──「勝手にアクセスして使ってる」っていうのは、どういうことですか?(笑)
mico 「Google Colaboratory」ってお金がかかるんですよ。無料版もあるけど、おそらく1時間くらい生成したら、すぐ使用上限になってしまう。1,000円を払えばProバージョンで使うことができるんですけど、1000円あれば3日は生活できますからね。その1,000円すら惜しいわけです。
それで友だちに頼んで、Windowsを開けてくれと。で、そこにGPUはRTX 3090Tiを載せてほしいと。そこに僕がリモートアクセスして動かしている状況です。
──なるほど。マンガ喫茶に高性能なPCは持ち込めないだろうに、どうやってるんだろうと思ったら、遠隔でも生成できるように環境をつくっていたんですね。そういった知識は前々からあったんですか?
mico 幸いなことにITの仕事を10年くらいしていたので。SSH接続してリモートアクセスするとか、Python環境を築するみたいなのは、そんなに難しいことでもないです。経験もありました。
──実写の生成系AIの発展に注目されたというお話がありましたが、様々な表現がある中で、AIグラビアという活動に至ったきっかけや理由のようなものはありますか?
mico これは本当にしょうもないことかもしれないんですけど……私の周りでも“裏垢女子”っていう存在が、ものすごく増えているんですよ。
──SNSでたまに目につきますね。自身でポルノ画像や動画を撮って、それをお金にする女の子たちのことですよね。
mico 実際、とんでもない数のアカウントがあるんですよ。裏垢女子がよく利用するサービス「ファンティア」が売上が120億円を越えていたり。
mico たまたま自分に近しい友だちがやっていたり、地元の後輩なんかも裏垢女子として活動しています。そういう事実があって。
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