高生紳士が広げるTRPG愛の輪──あえて今、リプレイ動画に託す希望
2023.06.01
バーチャルYouTuber(VTuber)関連トピックを毎週ピックアップし、よりPOPに、より深く掘り下げていく『週刊VTuber経済ニュース』。
第12回は、YouTubeのチャンネル・アカウントBANについて解説する。
YouTubeの収益を担う根幹にあるシステムを経由したトラブルが、5月末に配信者たちを悪い意味で賑わせることとなった。
目次
- 「SEKIRO」ゲーム実況の権利がTBSにとられた?
- YouTubeの権利追跡機能「Content ID」とは
- Content IDによる不当な申し立てや悪質な詐欺
- 周央パトラの独立と難航
- 「二足の草鞋戦法」の重要性とファンクラブ
- ファンクラブサービスの利用
5月23日、英語圏で主に活動するVTuberのKougeru(こうげる)さんは、自身に起こった身に覚えのないトラブルについてツイートをした。
It seems that @risaunai_tbs is claiming copyright on my Sekiro video. My video is 4 years old. Her video is 6 days old. I will dispute this lol. pic.twitter.com/rwiZG0xSxh
— Kougeru 🌸🐉 Dragon Vtuber (@Kougeru) May 23, 2023
それによると、Kougeruさんが4年前に投稿したゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』の実況動画について、その6日前にライブ配信を行ったTBSテレビのアナウンサー・宇内梨沙さんによる同ゲームを投稿した動画およびチャンネル側が、権利を主張している──といった内容だ。
要するに、後からゲーム実況動画を投稿した側が、それよりも先に投稿されていたゲーム実況動画の収益を(誤って)横取りしてしまうという構図となった。
同様の通知は、ゲーム実況者のトシゾーさんをはじめ、YouTubeで「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」をプレイした映像を投稿していた世界中のユーザーたちに送信された。
この事態にTBSテレビは、スタッフの不祥事として「お詫び」を掲出。手続き上の不手際で起こってしまった経緯を説明し、関係各所へ向けて謝罪をすることになった。
すでに、問題の発覚した翌日の5月24日時点で、TBSテレビからの申し立ては撤回されている。
フロム・ソフトウェアが制作した「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」。このゲームの権利をTBSテレビは持っていないため、本来はプラットフォームに主張が通らないはずだ。
では、なぜ今回このような事態になったのか。Kougeruさんをはじめ、VTuberも例外ではない本件を、詳しく解説していこう。
YouTubeには、著作権者が権利を持つコンテンツ(映像、音楽、ゲームなど様々)を含む動画を自動的に検出し、著作権侵害を自動的に申し立てることが出来る「Content ID」という機能がある(外部リンク)。
今回の騒動は、この「Content ID」を経由して起こった。
「Content ID」は、自身が投稿し著作権を有している動画や音楽、ライブ配信などについて、同一の内容を持つ動画に対して、動画を特定地域で視聴できないようにする、動画に広告を掲載して自身に収益が入るようにする、動画の視聴者に関する統計情報を閲覧できるようにすることが可能になる。
今回の騒動では、TBSテレビのYouTubeチャンネル制作スタッフが、宇内梨沙さんの実況したライブ配信で、誤ってContent IDを有効化。本来TBSテレビが権利を持たないはずの『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』において、宇内さんが配信していた映像と一致するシーンが含まれる動画やライブ配信が対象となり、Content IDを通じた著作権の申し立ての通知が世界中に届いた。
TBSの担当者さん、これってわざわざこっちが異議申し立てしないとダメなことですか?早く引き下げてもらえませんか?たぶん他の動画にもやっちゃってますよね?
1週間前に宇内梨沙アナの配信で流れたSEKIROのムービーの著作権をなぜかTBSが主張して収益横取りって。 pic.twitter.com/zF8oeLKCD3— トシゾー (@toshizo44) May 23, 2023
TBSテレビのYouTubeチャンネル制作スタッフは、Content IDの設定を、該当する動画に広告を掲載して、同社に収益が入るようにしてしまった。そのため、他の『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』を活用したコンテンツ作者にYouTubeから支払われるはずの収益の分配が、TBSテレビに分配されるようになってしまった。
現在はお詫びの通り、申し立てについては取り下げられているため、本来還元されるはずのコンテンツ作者に収益は分配される。
Content IDにおいては、権利者は著作権を保有していることを証明できる必要があり、一定の基準を満たしたユーザーのみが本来は申請できる。
しかし、今回のような第三者による「Content ID」の誤申請や虚偽申請は、実は海外の事業者をはじめ、後を絶たない状況にある。
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