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  • 2023.06.01

高生紳士が広げるTRPG愛の輪──あえて今、リプレイ動画に託す希望

高生紳士が広げるTRPG愛の輪──あえて今、リプレイ動画に託す希望

キーマンたちの証言からTRPGの拡大を追う本連載。今回は2013年に活動を開始し、ニコニコ動画やYouTubeでTRPG、歌ってみたなどを中心に活動し今年10周年を迎えた高生紳士さんが登場する。

高生紳士さんの持ち味は、視聴者の臨場感を高める迫真の演技──ロールプレイだ。卓の誰よりも役に没入し、シナリオに翻弄され、様々な感情を表現するスタイルは、涙なしに見られない名セッションを数多く生み出してきた。

高生紳士さんがプレイヤー(PL)として参加したセッションの中でもほぼ代表作と言える、「壊胎」「傀逅」。いずれもにどみさんと共にゲームマスター(GM)でありシナリオ作者でもあるむつーさんの卓で行われ、「#たかにど壊胎」「#たかにど傀逅」の名で親しまれている。

セッションから3年を経た今年、この2本のリプレイ動画が高生さん企画で制作されることに。いよいよ6月1日の「たかにど壊胎」、7月1日の「たかにど傀逅」投稿開始に合わせ、満を持して前後編でインタビューを行った。

リプレイ動画「たかにど壊胎」第1話|壊れた日常

前編では両動画の制作話はもちろん、「多い時期は月に30卓やっていた」という卓修羅ぶりや、その圧倒的な経験量に基づいた「盛り上がるTRPG」のヒントにもつながる、高生さんのTRPG愛に迫った。

目次

  1. リプレイ動画なら、TRPGならではの“壁”を超えられる
  2. 一緒に遊ぶ人探しは「片っ端からDMを送った」
  3. ロールプレイを通して、相手の人柄を好きになることがある
  4. ハンドアウトや人を選ぶシナリオは難しい 配信で回すシナリオの基準
  5. 「感動させよう」は禁じ手にしてる 高生紳士のルール
  6. ソロシナリオなら、常に相手が主役 自作シナリオに込めた思い

リプレイ動画なら、TRPGならではの“壁”を超えられる

──「壊胎」「傀逅」のリプレイ動画、ものすごく気合いが入ってますよね。改めて、つくろうと思ったきっかけをぜひ教えてください。

高生紳士 今まで遊んだシナリオは、「全部一番面白かった」と言いたいのが本音です。でも、「どれが楽しかった?」と聞かれると最初に浮かんじゃうものがあって。それがむつーに回してもらってにどみちゃんと行った、「壊胎」「傀逅」なんです。

【クトゥルフ神話TRPG】こじらせオタク達と行く『壊胎』 #たかにど壊胎

それぞれにスケジュールがあるから、同じメンバーで遊ぶのはいつでもできることではありません。それなら何か思い出が形に残るものをつくっておきたいと思ったんです。「僕このときのセッションが好きなんだよね」と言っても、なかなかアーカイブを全て見るって腰が重いじゃないですか。でも映像がついて、ちゃんと作品になれば見てくれる人はいるよなと思ったときに、「じゃあリプレイ動画がいいか」って。

【クトゥルフ神話TRPG】こじらせオタク達と行く『傀逅』前編 #たかにど傀逅

──今のTRPGは、生配信が主流ですよね。そこであえてリプレイをやろうと考えたんですね。

高生紳士 僕が「TRPG1本でやっていくのは難しいな」と考えている理由でもあるんですが、初見の人が入っていく上で、TRPGはあまりにも門が狭いんですよね。ルールを覚えるのも理解するのも大変だし、長いし、ネタバレもできない。準備もたくさん必要です。

そうなったときに、リプレイならそのハードルを少しでも減らせると思ったのもありますね。ルールを知らなくても、映像になることによって何が起きてるかがわかりやすい。(シナリオが発売してから3年経っている)「壊胎」「傀逅」なら、すでにプレイしたことがある方も多いんじゃないかなというのもありますね。

──これを機に改めてTRPGにハマる人もいそうですよね。プロジェクト自体はいつ頃から動き出していたんでしょうか?

高生紳士 結構前から考えていて、発表もしてはいたんです。ただ僕が忙しくて、進めようと言いつつ置いてしまった期間がありました。それでお待たせしてしまって、今年の1月から仕切り直してるんですよ。

1月は、「傀逅」の方は絵コンテを担当してくれている田中TANと打ち合わせをして、そこから田中が「友達呼んでいい?」とか、「背景描ける人いない?」っていうのを僕に聞いてくれて。最終的に20人ぐらいになりました。

──「壊胎」チームはまた別で動いてるんですよね。

高生紳士 そうです。「壊胎」「傀逅」それぞれまず、1人ずつの絵師さんにお声掛けをしました。「壊胎」の方は、特に人数が必要ないということだったので、本当に3~4人の少人数でやっています。

逆に「傀逅」は田中のしたいことが明確にありました。元々アニメーターということもあって、「これをこうしてこういうものをつくりたい、ただそうなると自分1人ではすごい時間がかかる。人を集めたらもっと短い期間でクオリティの高いものを出せると思う」「じゃあやるか」という流れで増えていきました。

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リプレイ動画「たかにど壊胎」予告PVより

高生紳士 なので、「壊胎」と「傀逅」は別物として見ていただく方がいいかなと思っています。同じものとして見ちゃうと、「傀逅はこんなにカット数があるのに」となっちゃうかなと……。僕としてはどちらも大事なので、そこだけ不安ですね。でも始まりは、どちらも1人ずつだったんです。

──それぞれの絵師さんがやりたいことをやって、できあがっているということですね。音声は配信時のものをそのまま使うんでしょうか?

高生紳士 そうですね、幸いどちらも綺麗に残っていたので。ただBGMはちょっと悩んでいて、「傀逅」だけは、僕から参加者のみんなに「それぞれ個別で録音しておいてくれない?」という謎のお願いをしていたんですよ。その前にやった「壊胎」のセッションがあまりにも良すぎたので。

それで「傀逅」はBGMとプレイヤーの音声がわかれている素材があるので、BGMだけ変えようと思えば変えることもできます。もしかしたら差し替えをするかもしれません。

──それぞれ何話ずつぐらいになる予定ですか?

高生紳士 めっちゃ長くなると思います。「壊胎」で10数話、「傀逅」は20話とかいくんじゃないでしょうか。

──シリーズ物の商業アニメみたいなスケール感ですね……! 昔ながらの懐かしのTRPGリプレイ動画というよりは、本当にまったく新しいものができそうで楽しみです。

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リプレイ動画「たかにど壊胎」予告PVより

高生紳士 僕もそう思いますね。と同時に、続けられるのかなという不安もすごいです(笑)。

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