Vol.3 ネット/テキスト文化が要請した「異世界転生」
2019.06.20
「小説家になろう」「カクヨム」…ネット発のWeb小説が大きなムーブメントとなったゼロ年代、今なおその火は絶えない。
黎明期から現在まで、その軌跡を追う。
クリエイター
この記事の制作者たち
Web小説の書籍化が隆盛を極めている。
書店のライトノベルコーナーに行けば、多くの書籍の帯に「小説家になろう」や「カクヨム」からの書籍化である旨や、何千PV(プレビュー)の末に書籍化された人気作だとかの触れ込みが書いてある様子が確認できるだろう。
前述の2サイトを開いてみれば、そこには数分といわず数秒置きに山ほどの小説が更新・投稿されている。
2010年代から一大ムーブメントとなったWeb小説、刊行点数などを見ると、その勢いは今も衰えを知らない。むしろコミカライズなどは年々増えている状況にある。
では、なぜこのようにWeb小説がヒットしたのか? その理由を、本稿では改めて探ってみたいと思う。
文:羽海野渉=太田祥暉(TARKUS) 編集:新見直
目次
- Web小説の黎明期 アルファポリスの発掘
- 小説を公開する場所としてのWeb
- Web小説作家による新人賞への応募
- 大手レーベルの青田刈り
- 大人向けのライトノベルへ
- 新人賞の未来、ライトノベルの未来
そもそもWeb小説は、それこそパソコン通信時代より、個人サイトや小説投稿サイト、掲示板などで多くのユーザーが投稿して生まれたものだった。例えば前回でも触れた橋本紡は、『毛布おばけと金曜日の階段』(電撃文庫)のあとがきで、パソコン通信時代に賞を獲たことがあると告白しており、その時代から小説をWebに投稿する文化ないし評価し合う文化が発展していたことを裏付けている。
Web小説は、Windows XPの登場以降、パソコンが急速に家庭に普及したことと比例するかのように増加していく。自然と、そこで生まれた小説に出版社が目を付け、書籍化を図るという流れが出てきた。
その中でも語らなければならないのが、アルファポリスという出版社だろう。
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