LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
クリエイター
この記事の制作者たち
2月にヨシモト∞ホールにて単独ライブ「ネコの日イヴ」をおこなったお笑いコンビ「蛙亭」。“街で見かけるヤバい奴ら”をデフォルメした強烈なキャラクターと、そんな“ヤバい奴ら”がそれ相応の報いを受けるような痛快なプロットのネタで異彩を放ち、ネクストブレイクの呼び声高いコンビだ。
今回の取材では、そんな蛙亭の芸風を形作る背景にフォーカスして取材をおこなった。その中で見えてきたのが、笑いよりも先立つ場面すらあるという”メッセージ性”、岩倉の言う「注意喚起」。その真意とは。
インタビュー・執筆:ヒラギノ游ゴ 構成補助:赤井大祐 撮影・編集:和田拓也
目次
- 「本当は中野さんが天才」 中野が組み込む“無敵”のエッセンス
- なぜ、自分は報いを受けないと思って生きてるんだよ
- 踏み外してはいけない、笑いのボーダーライン
- よしもと最弱の声量
- 目指す芸人の形
──お2人はお互いをどういう芸人だと思っていますか?
岩倉 天才。他の芸人さんを見ておもしろいって思うことはもちろんあります。でも中野さんは他の芸人さんと比べてシンプルに力が強いというか。ネタ中も楽屋でも、中野さんがやってることで爆笑しちゃうんですよね。そういうところがお客さんにも伝わればいいなって思ってネタを作ってます。
中野 ありがとうございます(笑)。
──中野さんはいかがですか?
中野 やっぱり僕はゼロからネタを作れないので、0から1を作る能力はすごいなって思います。僕が演じているキャラクターは設定があるからこそ生まれてくるものなので。
さらに言うと、岩倉は僕が作ったキャラクターを受け取ってストーリーを組立てて、ネタとして完成品に持っていくこともできる、つまり0から1にすることも、10から100にすることもできる。
──逆に「こいつやべえな」と思うことはありますか?
岩倉 無敵なところですね。めちゃくちゃ図太い。例えば楽屋で気難しい先輩と一緒になると、部屋の雰囲気がピリッとして静かになったりするじゃないですか。
──ちょっと居心地悪いというか。
岩倉 でも中野さんは楽屋着いた瞬間に誰がいようと無視して弁当を食べはじめるんです。もう中野さんの咀嚼音だけが楽屋に響いてて、ASMR状態。
中野 それはちょっと反論あるけどね。そんなに静かにさせちゃう先輩のほうがよくないでしょ!
岩倉 あと、中野さんは怒られてる最中も自分が怒られてると思ってないですね。この前、台本があるタイプの撮影があったんですが、中野さんはスタッフさんが用意してくれたボケを1つも使わなくて。
たとえ用意されたものが気に入らなくても、結局放送で使われなかったとしても、気を使って1つ2つやると思うんですけど、中野さんは本当に1つもやらないんですよね。それでスタッフの方はもう完全に怒ってて、「これをやって欲しいから台本に書いたんですけど…」ってコンビ2人で注意されて。私はもう「やばい、怒られた…」ってテンパって喋れなくなっちゃったんですけど。
でも中野さんはまったく悪びれもせず「なるほど! ほー、はいはいはい! わかりました〜!」みたいな感じで。1つも気にしてない。こいつメンタルすごいなって思いましたね。
中野 それも反論あって、1回やりたいようにやってから言われたところ直そうと思ってたの。だから予定どおり。あれでいいんだよ。
──なるほど、こういうことですね…。
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