カニエ・ウエストはどこから来て、どこへ行くのか
2021.12.04
徹底した正直さとストイックさ。彼女の、スターダムへの軌跡を追う。
※本記事は、2018年に「KAI-YOU.net」で配信された記事を再構成したもの
クリエイター
この記事の制作者たち
どうも、ラッパーのRAq(@raq_reezy)です!
2018年に、Cardi Bのデビューアルバム『Invasion of Privacy』がリリースされました。
本作がリリースされたタイミングでKendrick Lamarらを擁するレーベル「TDE」のオーナーであるPunchが「Cardi Bは2Pacだ」とツイートしたことも話題となりました。
彼の説明は、ざっくりと言ってしまえば、個別の曲におけるスキルやテクニックよりも、生身の生き様で勝負するラッパーとして、Cardi Bと2Pacを並べたものでした。
2Pacは、彼の象徴的な対抗馬であったJAY-ZやNas、Notorious B.I.G.といったラッパーたちほどのテクニカルなスキルは持っていなかった。だけど、彼は多くの人間から、歴代で最も偉大なラッパーだと見られている。それは何故か?答えは、情熱とコンテンツ、その届け方、そして正直さのコンビネーションだ。
そこでCardi Bに繋がる。
Cardi B Is 2Pac(外部リンク)より
実際のところ、Cardi Bの魅力は音楽性だけに留まるものではありません。
「ミレニアルズ(アメリカでのさとり世代)のアメリカン・ドリーム」とメディアで取り上げられるような彼女のユニークな成り上がりストーリー、独特なアクセントでの喋り、騒がしいけどれ明るく愛嬌のあるキャラクター。
さらには現実主義的で表裏のない言動、成功への執着心といったものが、彼女のカリスマ性を生み出しているのです。
目次
- 学費を払うためにストリッパーへ
- Instagramでの「本音語り」で、インターネットの有名人に
- 「LOVE & HIPHOP」での破天荒な活躍
- 多様化するラッパーの出自
- 自立心が溢れる強気なラップに注目
まずはじめに、「元ストリッパー」というのがCardi Bの個性のひとつです。
多くの男性ラッパーがハスラー(ドラッグの売人)であった過去を語るように、Cardi Bはストリッパーであった過去を語ります。
I don’t dance now, I make money moves
Say I don’t gotta dance, I make money move私はもう踊ってないわ、お金を動かしてるの
もう踊る必要がないのよ、お金を動かすんだから
Cardi B - “Bodak Yellow”
Now give me all that money you be spending on your chick
Now give me all that money you be spending on your kid
Now give me all that money you been stacking for your rent nigga
I'm just into making money I ain't into making love
When you hear that stripper hoe I'm the one you thinking ofさあ、彼女のために使おうと思ってたお金を全部よこしなさい
さあ、子どものために使おうと思ってたお金を全部よこしなさい
さあ、家賃を払うために貯めてきたお金を全部よこしなさい
私はお金を稼ぐだけ、セックスはしない
「あのストリッパー」って言われたら、みんなが私のことを思い浮かべるわ Cardi B - “Wash Poppin”
彼女はもともとスーパーマーケットで働いていましたが、貧困を抜け出して、家庭内暴力を加えていたという彼氏の元から自立。
そして大学に戻るため、18歳からストリッパーとして働き始めます(25歳までと期限を決めていましたが、実際には23歳で辞めています)。
彼女はストリッパーであった過去を隠そうとしません。
それは誇りを持ってやっていた仕事であり、他人に勧めはしないものの、ストリップのお陰でお金を手にして過酷な状況から抜け出せたという事実があるからです。
だから、彼女にはストリッパーへの尊敬を勝ち取りたいという気持ちがあります。
そのため、アルバムを待ち望んでいたリスナーにとっては、このアルバムのクライマックスは、実は1曲目「Get Up 10」の1行目にあるかもしれません。
Look, they gave a bitch two options: strippin' or lose
Used to dance in a club right across from my school聞いて、世界はこのビッチに2つの選択肢を与えたの。脱ぐか負けるか。
昔は、学校の向かいにあるストリップクラブで踊ってたわ。 Cardi B - “Get Up 10”
アルバムの世界観をつくるためのイントロなども設けずに、いきなりこのラインを歌い始めるところがCardi Bのキャラクターをより強く表しています。
Cardi Bが世間の注目を浴びたきっかけは、彼女がInstagramを本格的に始めた2014年でした。
彼女は、Instagramで本音を語る動画などをアップすることで、大きなファンコミュニティを築き始めます。
I started speakin' my mind and tripled my views
Real bitch, only thing fake is the boobs私が本音を話し始めたら、視聴数が3倍になった
リアルなビッチよ、偽物はおっぱいだけ Cardi B - “Get Up 10”
リリックからも何でも話してしまうCardi Bらしさが感じられるのではないかと思うのですが──彼女はストリッパーをしていた過去だけでなく、豊胸手術をしたことまで大っぴらに話します。
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