二席 お題 「禁煙」「マジョリティー」「鬼滅の刃」
2020.02.14
空前のMCバトルブームが起こり始めていた2016年。
「読むだけで口喧嘩が強くなる」を謳い、実際にテキスト上でMCバトルを繰り広げつつMCバトル指南を行うという、ラッパー・ハハノシキュウによる離れ業への挑戦の記録。
クリエイター
この記事の制作者たち
女子高生と俺は光合成するようなスキルでまずはマイクを持つ
漢a.k.a.GAMI /vs SALVADOR戦ROUND2@フリースタイルダンジョン
これは、ラッパー・ハハノシキュウによるMCバトルコラム連載の第0回である。
※本稿は、2016年に「KAI-YOU.net」で掲載された連載を再構成している
はじめまして、KAI-YOU編集部です。突然ですが、MCバトルというものをご存知でしょうか?
これは、先攻/後攻に分かれたラッパー同士が即興でラップを行う手法・フリースタイルで、互いのプライドをかけて熾烈な戦いを繰り広げるというものです。
1試合ごとに生まれる数々のドラマや、流れる様に繰り返されるフロウ、一瞬にほとばしるMCたちの圧倒的な熱量といったさまざまな魅力が重なりあい、若者を中心に注目を集めています。
「3 ON 3 FREESTYLE MC BATTLE」「B-BOY PARK」「UMB」といった日本3大MCバトルといったMCバトルをはじめ、「BAZOOKA!!!高校生RAP選手権」やZeebraさんがオーガナイザーをつとめたTV番組「フリースタイルダンジョン」も回を増すごとに話題を呼んでいきました。
「戦極MCBattle」や「凱旋MCBattle」といった大会も、現在ますます人気で隆盛を極めています。
そんな熱狂的な盛り上がりをみせている一方で、互いを罵り合う(disる)というMCバトルの特性から、ヒップホップに詳しくない方たちからすると「ちょっと怖い」というイメージも強いよう。
そこで、あらゆるポップカルチャーの発信をモットーとするKAI-YOUでは、MCバトルの魅力をお伝えするため「オタク系ラッパー」と評されながらも唯一無二の存在感を見せつけ、長年にわたりMCバトルというカルチャーに身を投じているハハノシキュウさんに連載記事の執筆を依頼!
MCバトルをテーマに、ハハノシキュウさん本人がラップにこだわる理由や、ステージに立つラッパーの視点からしか捉えられないシーンの状況をさまざまな角度から綴っていきます。
今回は、連載を目前に控えた第0回として、MCバトルとは一体なんなのか? というところから、ハハノシキュウさんに改めて語っていただきましょう!

「3 ON 3 FREESTYLE MC BATTLE」「B-BOY PARK」「UMB」といった日本3大MCバトル、という一文が妙に引っかかった。なぜなら2016年時点のバトルシーンにおいて編集部のいう「日本3大MCバトル」は存在しないからだ。
正確には存在し過ぎている。日本のMCバトルは、代表的なものを3つに絞ることができないくらい数多く存在し過ぎている。
という具合に、僕は非常に性格が悪い(みなさまがこうして読んでくれている文章ですが、初校はあまりにも性格が悪すぎてお蔵入りになりました)。
編集さんがなけなしの知識で一生懸命蹴ってくれた先攻の1バースに早速ケチをつける。そして、ケチをつけることによってMCバトルというものを体感してもらえたら幸いだ。
>「3 ON 3 FREESTYLE MC BATTLE」
2016年現在、この名称のイベントは行われていない。
>「B-BOY PARK」
近年は代々木公園を解放した大々的なMCバトルを開催していない。
>「UMB」
行われているが、LIBRA主催のものと9SARI GROUP主催のものと2つの「UMB」が別々で開催されている。
時代は変わる。
数が多いのでDVDが流通で販売されているものに限定するが、2016年時点で活発なMCバトルイベントを箇条書きで紹介していく。
いずれも極めて高い人気をほこるイベントだ
「高校生RAP選手権」「戦極MCBATTLE」「THE 罵倒」「ENTER」「ADRENALINE MC BATTLE」「AsONE -RAP TAG MATCH-」。さらに、9SARI GROUP主催「UMB」がその名を変えて「KING OF KINGS」として再始動している。
これだけMCバトルの大会を羅列したが、僕の文章を読んでいただくにあたり、上記の知識は特に必要ないと宣言しておく。編集さんのバースに早速ケチをつけたように、なにもステージの上だけがMCバトルの真実ではないからだ。
というわけで、前振りが長くなってしまったが、僕の話を始めさせてもらう。2015年10月上旬、僕はラッパーとして一件の仕事の依頼を受けた。それは、アイドルにラップを教えるといったものだ。
続きを読むにはメンバーシップ登録が必要です
今すぐ10日間無料お試しを始めて記事の続きを読もう
残り 2258文字 / 画像3枚
800本以上のオリジナルコンテンツを読み放題
KAI-YOU Discordコミュニティへの参加
メンバー限定イベントやラジオ配信、先行特典も
※初回登録の方に限り、無料お試し期間中に解約した場合、料金は一切かかりません。
様々なジャンルの最前線で活躍するクリエイターや識者を中心に、思想や作品、実態に迫る取材をお届け
様々な記事の中から編集部で厳選したイチオシ作品をご紹介
ラッパー/ライター/編集
現代の日本の音楽シーンを語るなら、ボカロ文化は不可欠。2020年代のボカロ曲において、音楽的な独自性はどこにあるのか? 柴那典さんが「MAJ2025」受賞候補曲から考えます。
ライター
『ブルーアーカイブ』の青い色彩設計、そしてエデン条約のストーリー。この2つを柱に日本のサブカルチャーがアジアにどんな影響を与えたか、韓国でどう花開いたかを紐解きます
ライター
ぶいすぽっ!所属の蝶屋はなびさん。普段から前向きな姿勢を崩さない彼女のひたむきさはどこから来ているのかうかがいました。格ゲートークも充実!
編集
語られざる、違法な海賊版トレーディングカードゲームの歴史。世界広しと言えども、この解像度でその歴史を紡げる人は、SF作家・ゲームコレクターである赤野工作氏しかいない。
編集
結局、同人誌って違法なの? 実在する「VTuber」の二次創作、もしかして肖像権侵害や侮辱罪に当たっちゃう? 令和版、同人文化への最新の法的動向を弁護士に根掘り葉掘り聞いてます。
編集
日本語ラップを、構造的に理解する──音楽としてでもライフスタイルとしてでもない、新しいヒップホップの解釈を提示してもらっています。
編集
オタク/ラップのトップランナーだからこそ語れる“ニコラップ”の世界。懐かしいだけじゃなく、今に接続される話になっています。
ライター・編集者
減らないVTuberの活動休止について、根本的な原因を九条林檎さんに聞きました。推しのVTuberがいる方は、ぜひ読んでもらいたい内容です。