【開催中止のお知らせとお詫び】ハハノシキュウ×佐藤友哉「小説の言葉、ヒップホップの言葉」公開対談
2020.03.24
あの日、ある大会を観覧したハハノシキュウは誓った。泥仕合だけは絶対にしない、と。
※本稿は、2016年に「KAI-YOU.net」で掲載された連載を再構成している
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MCバトルが流行ってる ロケット飛び乗る夢を見た オロカモノポテチ/人類救済(2009年)
これは、ラッパー・ハハノシキュウによるMCバトルコラム連載の第1回である。ルールは先攻後攻2回ずつ。ハハノシキュウ本人とそれを一歩引いて俯瞰している立場の母野宮子という2人が交互にコラムを執筆していく。
※本稿は、2016年に「KAI-YOU.net」で掲載された連載を再構成している
MCバトルには、ラッパーとして名を馳せたくて出る人がほとんどだが、僕はMCバトルに出たいからフリースタイルの練習を始めたクチだ。
UMB(ULTIMATE MC BATTLE)の開始をきっかけに起こった2005年以降のMCバトルブームに見事なまでの影響を受け、2007年のUMB青森予選にてバトルデビューを果たす。デビュー戦は2回戦負けという結果だった。
ただ、自分では絶対に勝ったと思っていた。あまり格好いい姿勢ではないが、東京なら正しい判定をしてくれたに違いないと当時の僕は考えていた。
その後、その年のUMB東京予選を観戦するため、僕は1人きりで渋谷のclubasiaまで足を運ぶ。
clubasia Via Google マップ
1人きりでクラブに行ったのはこの日が初めてだった。そして、僕は田舎の人間なので東京という都市に過剰な期待があり、だからこそ、この日の落胆は酷いものだった。
まるで試合になっていないのである。
1回戦が始まって何試合かを観ているうちに、徐々に感じた違和感を今でもはっきりと覚えている。先攻と後攻の会話もフロウもまるで噛み合わず、どちらに対しても大して歓声が上がらない試合がやけに多い。
それは2回戦に入っても同じだった。いや、むしろ悪化したとすら言える。
当時から名前が売れていたラッパーもたくさん出ていて、名前が呼ばれるだけで盛り上がる場面ももちろんあった。それでも、会場の空気はどこか煮え切らない。
そんな様子だからか、鎮座DOPENESSが座りながらラップをしていたり、酔っぱらったPUNPEEが一升瓶を片手にラップをしていた。この皮肉っぽいパフォーマンスに、僕はむしろテンションが上がったけど。
そして2回戦のなかば、ついにその空気に耐え切れず、当時のUMB総合司会だった太華さんが「お前らホンマにやる気あるんか?」と、力のある関西弁で怒りをあらわにしたのだ。
……
結局、2回戦が終わった時点で帰ってしまった。そして、東京に期待した自分が馬鹿だったとひどく落胆したのだ。
そして泥仕合だけは絶対にしないと強く誓った。
ハハノシキュウは馬鹿だった。
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