VRChat隆盛の転換点「スタンミ世代」の現在──初訪問から現在までの足取りを聞いてみた
2026.01.05
人と人を介した知に触れる場所としての書店は今、曲がり角を迎えている。
それは従来叫ばれている「本が売れない」ことではなく、「本が売れる場所としての本屋がハックされている」。
内沼晋太郎さん(左)、有地和毅さん(右) 撮影場所:下北沢の本屋 B&B
クリエイター
この記事の制作者たち
前回、本屋は、フィルターバブルを洗い流す水としての役割を果たすかもしれないという可能性が示唆された。
しかし今、本屋が迎えている危機とは、実は「本が売れない」ことではなかった。
下北沢の「本屋 B&B」内沼晋太郎さんと、日販の新ブランド「YOURS BOOK STORE」の有地和毅さんによる対談。
最前線で、人との関わり方が変化し続ける本と本屋の未来を考え続ける2人の本音とは。
取材・執筆:中島晴矢 撮影:山口雄太郎 編集:新見直
目次
- 他人の視点を介して解像度を上げる
- 本のワンテーマ化が招く未来
- フィルタリングされない、ドロドロの身体
内沼 「文喫」の工夫は、入口で入場料を取るという形で課金するからできる手間のかけ方ですよね。本の卸値から得られる利益だけではつくりづらい仕組みだとは思います。でも、その方法は正しい。「B&B」の場合、その収益源がイベントやドリンクなんです。今回はお金や手法の話はできるだけしないつもりでいましたが、とはいえ、収益は本屋が自走していくために大切な要素ですから、避けては通れませんね。
六本木の文喫 提供写真
同時に「B&B」にとって、イベントはお金の面だけじゃなく重要です。先ほど能動性の話をしていましたけれど、その人の状態によっては、本屋に来てもただの本がつまった風景にしか見えないこともあります。僕たちだって体調が最悪のときはそうなるでしょう(笑)。
でも、たとえばイベントに来た人にとって、開始前にはなんとなく風景にしか見えていなかった棚も、トークの中でいろんなキーワードを受け取った結果、終了後には解像度が変わる、というようなことが起こっていると思います。他者によって語られることで、本が浮かび上がってきて、ときにはその書店の意図までが見えてくる。だからイベント終了後は、登壇者の本以外もよく売れるんです。
また、お客さん同士の間でも、そういう解像度の変化は起こります。一人で来て静かにしていても、書店はいろんな人が行き来する場ですよね。たまたま、すごく詳しいお客さんが通りかかって、連れている人に本のことを話している時に、それが一人で来た隣のお客さんの耳に入る。その話が、連れていた人よりも、たまたま隣で聞き耳を立てていた人に響いて、その人の人生を変えてしまうかもしれない。そういう偶然も、リアルの場に人間が居合わせるからこそ起こることですよね。
書店の友人からたまたま聞いた話、大学の先生から聞いた話、居酒屋で隣のおじさんが語っていた話。意図的に起こすのは難しいけれど、そういう状況が起こりやすいように、本屋という場を温めておくことは、僕らにできることかもしれません。
本屋 B&B
有地 今まさにそれをやろうとしています。お客さん同士でしゃべるのをアシストしたいんです。
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