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  • 2024.01.13

「自分を汚いと思ってた」──LANAの語る湘南、家族、履き違えてた13歳のあの頃

「自分を汚いと思ってた」──LANAの語る湘南、家族、履き違えてた13歳のあの頃

LANAは近年、ブレイクまでのスピードが最も早かったアーティストの一人だろう

15歳だった2020年から音源を発表し始め、その後も過去に類を見ないほどの速度で次々と再生回数の桁を増やし、その勢いはまだ落ち着く様子がない。

実際、この一年でたくさんのLANAファンに出くわした。そのほとんどが女性で、彼女たちは皆がまず第一声でLANAのことを「かわいい」と表現し、ライブに詰めかけ「かわいい~!」という声援をステージにも届ける。

LANA - PULL UP LIVE Vlog (2022.12.18)

確かに、LANAはキュートだ。楽曲も、ファッションも、MCも、SNSの投稿も、そのひとつ一つがかわいい。だが、かわいいアーティストやラッパーは他にもいる。かわいさとは決して比べられるものではないが、LANAの持つキュートネスはある種の“現象”を生んでおり、ラップシーンにおいてもこれまでとはやや違った熱量が生じている気がするのだ

本人はこれまでいくつかのインタビューに答えているし、分析めいたレビューや考察もされてきた。けれども、やはりまだ腑に落ちない。LANAとは何者なのか? 彼女はどういった文化圏をつくったのか? その現象は他と何が違うのか?

この数か月、もやもやと断片的にそんなことを考えていた最中、連絡が入った。多忙な中、LANAが時間を用意してくれるとのことだった。

ヘアメイク:Mari Enda スタイリング:ai suganuma

目次

  1. 母への恩返し──家族を引き連れて、湘南から都内の一軒家へ
  2. これまでのギャル像に当てはめられない、LANAという存在
  3. 「履き違えてた13のあの頃」からたぐり寄せる苦い記憶
  4. 望んでいた自由を手に入れた。けど「ぜーんぜん楽しくなかった」
  5. 真っ直ぐなLANAの物語る力 湘南と家族という現実に引き戻すギャル像
  6. LANAが手にした、音楽という武器
  7. LANAの音楽的ルーツは兄・LEX、そして母へ遡る──

母への恩返し──家族を引き連れて、湘南から都内の一軒家へ

渋谷で行われた取材当日。待っていると、撮影に向けてヘアメイクを終えた彼女が姿を現した。

「よろしくお願いしま~す」と少し気恥ずかしそうに挨拶しながらも、にこやかで、すでにハッピーなバイブスがあふれている。人と人の間にある見えない壁を一瞬で吹き飛ばすような、そういった安心感をつくれる力があるのだろう。

メディアを通して、あるいはライブで見るよりも表情は柔らかく和やかで、今日は深い話をたくさんしゃべってくれそうだという直感を抱いた。

最近、湘南から都内に引っ越してきたという。しかも、兄以外の家族をみんな連れて、その資金もほとんどLANAが出したそうだ。

「そうなんですよ。都内に姉と母と犬を連れて引っ越してきました。元々一軒家に住んでいて、その後にアパートで暮らすことになったんですけど、一軒家の安心感みたいなものがずっとほしくて。

はじめは湘南で広い物件を探してたんですけど、それは3年後とかまた余裕ができた時でいいかもねって話になって。そうなれるように、今は家族皆で都内に出てがんばろうって思ったんです」

聞くと、どうやら都内で借りた家も一軒家とのこと。なぜなのかはうまく言い表せないが──そこにギャル的マインドを感じたのだろうか?──戸建てへのこだわりというのがLANAらしいなと思った。

家族と戸建て住宅で暮らす。LANAは家族や家というものに強く思い入れがある。特に、これまで公言している通り、彼女にとっては母親の存在が大きい。

I just wanted peace of mind お金もないから羨ましかったやつら いじめたアイツも幸せそうだ ママを傷つけるやつも嫌いだ もういいから離れて うちららしく生きさせて欲しいのLANA「Get It」より

これまでのギャル像に当てはめられない、LANAという存在

reLANA_Main.jpg

私は、LANAに対してこれまでにない新しいタイプのアーティスト性を感じてきた。というのも、彼女のギャル性というのは、日本的なそれと欧米的なそれの二項では捉えきれないものだからだ。

ギャルイズムを感じさせるアーティストというのは、これまで、ほとんどがそのどちらかに分類できていたと思う。

浜崎あゆみは日本の消費社会の孤独や空虚さを人工的なテクスチャで表現するのにギャル性を投影した。安室奈美恵ジャネット・ジャクソンなどR&Bに由来するアメリカの黒人文化を消化し独自に表現することで、ギャルというトライブを生んだ。後続には加藤ミリヤ青山テルマといったアーティストが続いた。

だからこそそのどちらでもない韓国カルチャーにルーツを持つちゃんみなの登場は新しかったし、LANAはさらにちゃんみなともまた異なる捻れを有している。

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