“首を持つ者“が暗示する、暗黒大陸の行く末

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  • 2019.03.15 10:00:00

冨樫義博が『HUNTER×HUNTER』で挑み続けているのは、少年漫画という枠組みに収まるはずもない、漫画という物語形式そのものに対してだろう。

複雑極まりない設定や一読しただけでは読み解けない心理描写、いくつもの登場人物と出来事が同時進行する構成。わたしたちにはそれを、読み解く自由が与えられている。

“首を持つ者“が暗示する、暗黒大陸の行く末

HUNTER×HUNTER』において、なぜヒソカ対クロロ戦が、あのタイミングで挟まれたのかについて。

前提として、幻影旅団の面々もカキンの船に乗り込むために必要なエピソードなのですが、もう少し別の視点から考えていきます。

※本稿は、2017年6月「KAI-YOU.net」で配信した記事を再構成したもの

名前を与えられたヒソカの役割

ヒソカ対クロロ戦の開始冒頭、リングアナウンサーによって、ヒソカのフルネームが、ヒソカ=モローだということが判明しました。

ファンの間では、画家のギュスターヴ・モローが元ネタではないか? とささやかれていますね。その多くは、モローの描いたサロメ(新約聖書では「ヘロディアの娘」)の絵が根拠となっています。

モローが謎かけに答えられなかった者を殺すスフィンクスの絵を繰り返し描いたことなども興味深いですね。

サロメと言えば、モローの絵画と並ぶ有名な作品、オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』を多くの人が連想することでしょう。

この戯曲『サロメ』が元ネタで、サロメ=クロロ、ヘロデ王=ヒソカなら、ヒソカが最終的に勝つのでは? という意見もありますが、ここでは「エロド(ヘロデ王)が繰り返しダンスに誘ったこと」と「新約聖書が元ネタである」ことに留めておきます。

クロロは男でサロメは女じゃん! という意見もあると思うのですが、『HUNTER×HUNTER』世界では性別という概念が極めて希薄なため、その疑問も割愛します。

ギュスターヴ・モロー「サロメ」(パブリック・ドメイン)

ギュスターヴ・モロー「サロメ」(パブリック・ドメイン)

重要なのは、(モローが多く描いていた)“”というモチーフだと自分は考えます。

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クロロはキリストなのか?