嘘を嘘と見抜けなくなった社会で

Interview

Series

  • 2019.10.11 20:00:00

2ちゃんねる創設者である「ひろゆき」こと西村博之氏に聞いた、コンテンツとそれを取り巻く情報環境、そして日本社会への見通し。

連続インタビューの最後は、「嘘を嘘と見抜けなくなった」現在について。

嘘を嘘と見抜けなくなった社会で

ひろゆきさん(写真は本人提供)

現在はフランス・パリ在住に在住する2ちゃんねる創設者である「ひろゆき」こと西村博之氏に、ポップカルチャー作品を取り巻く情報環境という観点から、その見解を幅広くうかがってきた。

2回にわたって、日本のコンテンツやクリエイター、そしてそれを取り巻く情報社会について話をうかがう中で見えてくるのは、淡々とした口調で、一種冷徹なほど客観的な目線で見据える未来像だった。

今に続く日本のインターネット黎明期を支えてきた人物の、“達観している”と形容するしかないほどの物腰には、聞き手として面食らうばかりだった。

連続インタビュー最終回は、「嘘を嘘と見抜けなくなった社会でいかにインターネットと向き合うか」そして「無敵の人」について。

嘘を嘘と見抜けなくなった社会で

──2017年に「けもフレ騒動」がありました。真偽不明な怪情報が出回り、今なお「何が起こっていたのか」は明らかになっていません。ひろゆきさんはどう捉えていらっしゃいましたか?

ひろゆき あくまで僕の見立てとして話しますが、落ち度があったのは吉崎(観音)さんのカドカワ担当者なんじゃないかと思っています。根拠を求められると非常に説明しづらいのですが…。

原因として、当時、(コンセプトデザインの)吉崎さんと対等に話せる人が担当さんくらいしかいなかったと。そもそも、吉崎さんの連絡先を社外ともあんまり共有していなくて、吉崎さんへの情報の全てをその人がコントロールする形になってしまった。

それで吉崎さんへの情報が歪められた形で伝わり、その結果としてたつき監督とヤオヨロズを外そうという判断になって、あの状況を招いてしまったと。まあ、吉崎さんが単に判断を誤ったという可能性もありますけどね(笑)。

──とても意外なお話というか。当時、私も独自で調査して関係者の証言を集めたのですが、今のお話は、それらの証言とは全く食い違うものでした

真偽がどうであれ、いずれにしろ不思議だったのが、あの騒動でたつき監督がカドカワをTwitterで告発した際、ずっとカドカワが矢面に立っていたことです。

確かにたつき監督の告発で名指しされたのはカドカワだったのですが、たった一人のクリエイターによる真偽不明の告発だけで、一方的な袋叩きが起ってしまったことに違和感があるんです。そもそも、カドカワは製作委員会の中では主幹幹事ではなかったにも関わらず(炎上から1年後の株主総会においてカドカワ自身もこの事実を明らかにしている)。

ひろゆき 僕もカドカワはもらい事故だったと思っていて、原因は個人にあったという見解です。ついでに炎上した(ドワンゴ及び)川上(量生)さんは完全にもらい事故でしたね。

──「けもフレ騒動」に関してはあくまでも一例でして、ここでその真偽を検証することが目的ではないんです。前述の話もすべて、それぞれの立場から語られた相対的な情報で、むしろそれらを擦り合わせていかなければ結局何が起っていたのか、どこに原因があったのかという事実は、誰も語れないと思うのです。

今、情報の真偽を見分けることがますます難しい時代になってきています。最近Netflixで配信されて注目を集めた『グレート・ハック』は、トランプ大統領戦などで暗躍したコンサル会社のケンブリッジ・アナリティカを追いかけています。そこでは、Facebookという巨大プラットフォームから取得した膨大なデータをもとに、企業が国民を騙す、あるいは誘導するために、あえて対立を煽っていた状況が改めて露呈していました。

かなり迂回してしまいましたが、取材の一番の本題は、どんなにリテラシーの高い人でももはや「嘘を嘘と見抜けなくなった社会」で、どうやってインターネットと向き合うべきなのか? という点にあります。ひろゆきさんのご見解を是非おうかがいしたいです。

ひろゆき ある物事が嘘かどうか、真実かどうかわからない時に、「わからない」という状態に置いておけばいいと思うんですけど。なぜか人って、嘘か真実か、どちらかにしようとしますよね

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