若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
クリエイター
この記事の制作者たち
もし君がカニエ・ウェストのファンなら、君は自分自身のファンなんだ。君が自分自身を信じて一日頑張るためのエスプレッソ。僕はそんな存在でしかないんだ。(抄訳)
カニエ・ウェスト
「Kanye West. Zane Lowe. Full Interview」より
「宗教2世」として生まれ、かたやコミュニティに属し、かたや袂を分かち、それぞれラッパーとしてのキャリアを歩み始め「宗教2世のリアル」をラップにして描き出してきたItaqとMarukido。
前編は2人にとってのヒップホップと宗教論を起点に、信仰のストイックさが生み出す「こじらせ」への処方箋としてのヒップホップの可能性を探った。
「神に選ばれた男」を自称する若干22歳のItaqの饒舌さと、新たに生まれた命を育む責任を噛み締めるMarukidoの慎重な言葉選びの対比が印象的だった。
後編では、宗教の内と外で苦悩する2人のコンプレックスとその解消方法、そして「推し」という現代の新たな信仰の形について存分に語ってもらった。
目次
- 宗教2世、3世のヤバさ……予期できる負の連鎖
- 女性憎悪/男性嫌悪からの脱却
- 宗教は「戻ってこれる」場所なのか?
- なぜそれを「神」と呼ぶのか?
- 「神」の正体 ―推しは新たな信仰か―
──前編の最後で、Marukidoさんが効率や上昇志向というある種の“信仰”から生まれる歪みとしての男尊女卑やマッチョイズムに言及されていました。
それは、ヒップホップや宗教といったコミュニティにも通底している側面があるように思うのですが、いかがでしょうか?
Marukido 私が脱会した宗教はすごい男尊女卑でした。服装にしても明るい色の服を着ないといけないとか、女性に対する服装の縛りがすごい強かったし。地区ごとのグループ長にも、男性の方がなりやすいというのも思ってました。私は小学生ぐらいからそういうことも感じていたので、あえて女子高に行ったりしましたね。
──今から20年ほど前だから、もちろんそういう時代だったということもあるとは思います。
Itaq 俺は、(幸福の科学に対して)男尊女卑をそんなに感じたりはしないです。女性の支部長も全然います。ただ、トランスジェンダーの人とか同性愛者に対して、公式の当たりがキツいかなとは感じる。
これは次に出す曲のテーマでもあるんですけど、同じ信者でトランスジェンダーの友人がアウティングされちゃって、コミュニティの中でいじめにあったりとか……でも誰も味方してくれない。我慢するしかない悔しさみたいなものはすごいあります。
※アウティング:本人の望まない形やタイミングで、性自認や性的指向を暴露すること。取材の収録後にリリースされた「Rebel」という曲で、Itaqはこのことについてリリックにしている
──新興宗教に限らず、現代の多様な価値観やポリコレに寄り添えていないケースは多いですよね。
Itaq ただ、貞操観念は堅い。俺が(幸福の科学)学園の生徒だった時、女の子はみんな修道女みたいな感じでした。鉄のような貞操観念で、しかも総裁がそれを推奨してるんですよ。たぶん総裁自身の体験に起因する「こじらせ」もあるのかもしれないんですけど、最近は特に若者の性の欲求に対する当たりが異様に強いというか。
──そうなんですね。それが、前編でも話に挙がったように信者内でもこじらせるという負のサイクルを生んでいくと。
Itaq ストイックさで縛り付けるから問題が起きるのに、実際に問題が起きたらさらに締め付けを強くするという、悪循環ですよね。
自分みたいな2世はまだ大丈夫だけど、これが3世になったらもっとしんどいんじゃないかと。ストイックな貞操観念の人が結婚して子供ができた時に、またストイックな育て方をして……いつどんな形で子供が爆発するかわからないし、それがすげえ怖いんですよね。
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