Column

  • 2026.02.10

「脱出」と「作業」が変えたゲームの日常 2025年の4つの激動と2026年を占う3つの鍵

かつてないほどの選択肢に溢れたこの時代、私たちは何に熱狂し、何を求めてゲームに向き合ったのだろうか。

ハードの世代交代とAI活用、そしてインディーの模倣と革新。2026年のゲーム事情を占う。

「脱出」と「作業」が変えたゲームの日常 2025年の4つの激動と2026年を占う3つの鍵

2025年も相変わらずビデオゲーム業界は豊作の一年だった。

大作からインディー、そして中規模タイトルから運営型に至るまでありとあらゆるゲームが乱立し、まさにプレイヤーの数だけゲーム体験があるというような状況であった。かつてないほどの選択肢に溢れたこの時代、私たちは何に熱狂し、何を求めてゲームに向き合ったのだろうか。そんな激動の一年を筆者なりに振り返ってみようと思う。

といっても、すべての作品やジャンルを振り返るのは不可能だ。なので、ここでは「脱出シューターの変遷」「ライフスタイルに溶け込む作業管理ゲーム」「Friendslopと呼ばれる低価格マルチゲームの衝撃」「プラットフォームを越境する独占タイトルの解放」という4つの特に目立ったムーブメントを紹介していく。

なぜこれらが選ばれ、私たちのライフスタイルに溶け込んだのか、その裏側にある構造を紐解いてみたい。

さらに2026年のゲーム事情についても、予想を語らせていただく。

ポイントとなるのは、「真の開幕を迎えるNintendo Switch 2」「ゲーム開発のあり方を変えるAI活用」「『No, I'm not a Human』が切り拓くインディーの未来」の3点だ。

過去を振り返るだけでなく、次に私たちがプレイすべき“遊びの形”を、今のうちに予習しておこう

目次

  1. 脱出シューターの変遷:『ARC Raiders』と『ダッコフ』カジュアル勢を惹きつける新星たち
  2. 「LofiGirl」からゲームへ。作業をエンタメ化する「作業管理アプリ」の台頭
  3. 「Friendslop」現象──1000円で友情を試す、安価で贅沢なマルチゲームたち
  4. 『Horizon』がSwitchへ、Xbox名作がPS5へ。加速する「ハードフリー」な市場戦略
  5. 助走の2025年から、飛躍の2026年へ。Switch 2が本格始動か。
  6. 「生成AI」を巡る激動の一年──規約違反、剥奪、そして共存への模索
  7. 『No, I'm not a Human』が示す未来──混沌と飽和のなかから、また次の「当たり前」が生まれる

脱出シューターの変遷:『ARC Raiders』と『ダッコフ』カジュアル勢を惹きつける新星たち

2017年からベータテストが始まった大人気FPS『Escape from Tarkov』の正式リリースが開始され、Steamでも大勢のプレイヤーが触れることとなった。

本作は「脱出シューター」(エクストラクション・シューター)というジャンルを切り開いた作品だ。

『Escape from Tarkov』

『Escape from Tarkov』

プレイヤーはマップに出撃し、銃器を用いてAIや他プレイヤーと戦いながら、マップ中に落ちている資源を拾い集め、指定のポイントから脱出する。手に入れた資源を用いてさらに装備を強化していくことができる。

ただし、脱出できずに倒されてしまうと、持ち込んだものをあわせてほぼすべてのアイテムを失ってしまう緊張感がある。武器の挙動もキャラクターの体力もかなりリアルで、怪我ひとつ治すのにもアイテムが必要だ。

倒されてしまうと持ち込んだアイテムを失ってしまう緊張感が魅力

倒されてしまうと持ち込んだアイテムを失ってしまう緊張感が魅力

このギリギリの緊張感と、淡々とアイテムを集めていく遊びが相乗効果を生み、ファンタジー世界を舞台にした『Dark and Darker』などのフォロワー作品が生まれてきた。

そして2025年は、そんな“タルコフライク”とも言える脱出シューターの新星として『ARC Raiders』が注目された。開発は対戦型FPS『THE FINALS』をつくったEmbark Studios。

『ARC Raiders』

『ARC Raiders』

本作は『タルコフ』とほぼ同じメカニクスを採用しているが、『タルコフ』よりもはるかにカジュアルなゲームだ

フレンドリーファイア(味方に射撃が当たること)なし、いつでも無料装備で出撃可能、体力回復の仕組みは簡素で、AIの敵も見た目が他プレイヤーと似たような兵士であった『タルコフ』と違い、ARCと呼ばれる機械なので他プレイヤーと見分けがつくなど、さまざまな点で非常に簡単なゲームになっている。

また『ARC Raiders』発売の2週間前に『エスケープ フロム ダッコフ』がリリースされた。

こちらは名前の通り『タルコフ』のパロディであり、アヒルのキャラクターが戦う脱出シューターなのだが、本家と異なり完全一人用のPvEタイトルで、これまた『ARC Raiders』同様、本家をカジュアルにした作風がウケた。

『エスケープ フロム ダッコフ』

『エスケープ フロム ダッコフ』

多くの開発会社が脱出シューターにチャレンジしては、そこまで大きなブームを巻き起こせなかったが、ここに来てついにスマッシュヒットタイトルが乱立した感がある。これからは脱出シューターが当たり前になる時代が来ることだろう。

「LofiGirl」からゲームへ。作業をエンタメ化する「作業管理アプリ」の台頭

2017年に登場した大人気YouTubeチャンネル「LofiGirl」(外部リンク)。

こちらは少女が勉強しているジブリ風のループアニメと優しい雰囲気のLo-Fi Hiphopを365日24時間垂れ流しているチャンネルであり、勉強や仕事のお供に最適だとして、大量の視聴者を獲得しているコンテンツだ。

2021年、似たコンセプトのゲームがSteamに登場する。それが『Chill Corner』だ。

『Chill Corner』

『Chill Corner』

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