敗北を「運」のせいにする理由、その本当の価値

Interview

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  • 2019.06.21 18:20:00
敗北を「運」のせいにする理由、その本当の価値

ゲームとは、いったいなんだろうか?

答えは簡単だ。遊びだ。ゲームをプレイするということは、根本的には遊びだ。

プロゲーマーと競技を巡る問題については前回触れたが、そういった一部の例外を除き、ゲームをプレイすることは遊びに他ならない。そしてプロゲーマーにとってもゲームは遊びだったはずだし、今も競技として取り組んでいるゲーム以外については、遊びという感覚であろう。
 
そう、当たり前だ。ゲームは遊びだ。

では次に移ろう。遊びとは、楽しいものなのか?

これもまた、即答できる質問だ。楽しいに決まっている。そもそも遊びとは物事を楽しむという意味なのだ。楽しくなければそれは遊びではない。

 では整理しよう。
 ゲーム=遊び=楽しい。

 ならば、ゲーム=楽しいということになる。

だが、ここには疑問符を浮かべる方も多数いるはずだ。

真剣に取り組めば取り組むほど、ゲームの練習は楽しくないと感じる人もいるだろうし、ゲームに負けることで不快になることもある。必ずしも、ゲームをプレイしている間のすべてが楽しいわけではない。

これはゲームで盛り上がるあらゆる場面において言える話だ。小学生の時、対戦ゲームを遊んでいていつも負けて不機嫌になっている友達はいなかっただろうか? ボードゲームで敗北するとむくれてしまう友人は? いつも優しい会社の同僚とたまたま格闘ゲームで遊んで連勝したら、そのまま何十回も付き合わされたことは?

ゲームで遊んで楽しむはずが、負けて楽しめない。これは誰かに限った話ではなく、ほとんどの人が感じることだ。そしてゲームと疎遠になる原因にもなりうる。ゲームを遊んで不快な気持ちになりたくないと思うからだ。
 
とはいえ、ゲームに強くなるためには、そのゲームをプレイしなければならない。プロフェッショナルを目指すのであれば、そのゲームに打ち込んで競技者となる必要があるだろう。それならば、度重なる敗北と立ち向かわなければならない。

遊びにおいても同じだ。ゲームが好きなのに、不快な気持ちにはなりたくない。だからゲームをプレイするのにも慎重になってしまう。そんな人もいるだろう。

この問題は、ゲームにおける「メンタル」の重要性を考えることで見えてくる景色がある。

「敗北=不快」は仕方がないのか?

そもそも、ゲームをしていて不快になること自体はおかしいことなのだろうか?

ゲームは遊びであり、遊びは楽しい。であれば不快になるのは異常なのか?

私はそうは思わない。

「たかがゲームでムキになるなんて」「ゲームで怒るなんて大人げない」こう言った声が多々上がってくるが、個人的には、ゲームに敗北して不快になることは、仕方のないことだと思う。

敗北は誰にとってもつらい経験だ。敗北とは、自分の力が相手より劣っていることが明らかとなった結果だ。その事実に対して劣等感を覚えるのはなんら不思議なことではない。

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もちろん、これは敗北して怒ることを肯定しているとは全く違う。対人ゲームは対戦相手がいなければ成り立たない。対戦相手をリスペクトするのは当然のことだし、声を荒げたり、物や対戦相手に怒りをぶつけるのは論外だ。

だが、敗北して本気で悔しがり、不快な気持ちになる。これは決して悪いことではない。その悔しさをもう味あわないために練習し、鍛錬を重ねる。その姿勢は素晴らしいことだと思う。敗北が人を強くするとはよく言ったもので、これは何も敗北から反省点を探せるからだけではない。悔しさを力に変えることができるからであり、敗北に対して感情が湧かなければ、それもできない。

だから、敗北は悔しがって良い。不快な気持ちになるのも間違っていない。それは正常な感覚だと思っている。

問題はそこから先にある。

ゲームで不快になることをバカらしく感じてしまうことが恐ろしいのだ。不快になることから逃げるために、ゲームをやめてしまう。日々の仕事などのストレスから解放されるためのゲームで不快になるというこの矛盾に耐えきれなくなってしまうこと。

結局のところ、対戦ゲームが続かない人のほとんどは、これが原因ではないだろうか。

そしてこれを解消するのは、難しくもあり、また簡単だ。
自分の実力以外のせいにしてしまえばいい。それがそう、運だ。
 

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