イラストレーターとファッションには遠い隔たりがある? loundraw×雪下まゆ 対談
2020.12.30
KAI-YOU Premium会員に向けた花譜さんからのコメントも到着! 初公開カットを含むスチールと併せてお楽しみください。
KAMITSUBAKI STUDIO所属のバーチャルシンガー・花譜さんが、自身5度目となるワンマンライブ「宿声 / 深愛」を2月28日に神奈川・ぴあアリーナMMで開催した。
2024年1月に開催された「怪歌」、そして同年11月に開催された「怪歌(再)」以来、約1年半ぶりのワンマンライブ。
KAMITSUBAKI STUDIO関係のライブにたびたび出演してはいたものの、久々のワンマンライブということもあり、ぴあアリーナMMに多くの観客が詰めかけた。
過去にリリースされた楽曲を中心にした"宿声"と、新作アルバムを基にした花譜さんの成長を感じる"深愛"。2部構成となった5度目のソロ公演には、花譜さんの過去と現在、そして未来が詰め込まれていた。
花譜 5th ONE-MAN LIVE「宿声 / 深愛」キービジュアル
目次
- "All Time Best Of KAF"ともいうべき前半部
- 演技経験やライブ、クリエイターの刺激を通して培った表現がスリリングさをもたらす
- 新作アルバム『深愛』から未発表楽曲を連発 鮮烈に歌い上げる
- アンコールは理芽と共に──花譜「大人になったね」
- 花譜5thワンマン「宿声 / 深愛」セットリスト
- 花譜さんのコメント
定刻通りに会場内が暗転すると、横浜の街中や会場となるぴあアリーナMMの風景を捉えたムービーからライブはスタートした。
注目の1曲目は、初のオリジナル曲として発表された「糸」だ。「花譜です! はじめます!」という挨拶を会場に伝え、そのまま歌いはじめる。2曲目は代表曲ともいえる「過去を喰らう」で、観客のボルテージは一気に上がる。
大型スクリーンには開かれたノートが──それも左右に穴がぽっかりと空いたページが描かれ、その空間にいまのライブ映像と昔のMVの2つが同時に流れている。過去の姿を捉えたMVと、今この瞬間歌う姿を印象的に交差させる。
Photo: Sotaro Goto
そのまま「雛鳥」「心臓と絡繰」と、花譜さんにとって最初期にリリースされた楽曲が続けて披露される。イントロが流れるたびに、ファンからは驚きの声や興奮のあまりに滾った声があがっていた。
MCの中で花譜さんは「今回のライブテーマの一つである『宿声』は原点回帰を意味している」「わたしの声に宿るもの、という意味です」と語っていた。端的に言えば、これまで約7年にわたってリリースしてきた花譜さんの楽曲のなかでも、印象深く、意味深い楽曲が披露されていた。
Photo: Sotaro Goto
例えば9曲目に歌った「それを世界と言うんだね」。これはポプラ社の小・中学生向けエンタメノベルレーベル「キミノベル」との連動企画として、カンザキイオリさんが制作した楽曲。5月に発売を控える新作アルバム『深愛』と同様に、小説の世界と音楽が融合した楽曲だった。
また「過去を喰らう」からの連作となる「海に化ける」「人を気取る」や人気曲「邂逅」を休みを挟むことなく続けざまに披露。シリアスで切迫した感情を表現する。
そしてここからが、2026年現在の花譜さんの真骨頂だ。
「ダンダラボッチ」「ゲシュタルト」などダンサブルな楽曲では、ポップでユーモアあるMVにあわせ、キュートな歌とダンスを披露し、時折笑顔を見せてくれる。
「ダンダラボッチ」/Photo: Sotaro Goto
「ゲシュタルト」/Photo: Sotaro Goto
逆に「カルペ・ディエム」「代替嬉々」では、“生きて”というポジティビティ、または閉塞して病んだ感覚からの脱却を表現するために、ポエトリー・リーディングを挟みつつ、思いっきりシャウトしていく。
約1年半ぶりとなるソロライブ。久しぶりにセットリスト入りした楽曲も含めて、代表曲を次々と披露していった流れは、まるで「All Time Best」ともいうべきものだった。
これら前半部は、単純に“久しぶりに歌った”という意味合いだけには留まらない。
花譜さん独特のウィスパー気味/掠れ気味に響く歌声は、そのまま強く発声することで緊張感あるシリアスな心情を歌うのにバッチリ。初期のヒット曲はそういった特性を活かしてシリアスさや切迫感を訴える楽曲が多かったと思う。
Photo: Sotaro Goto
そんな彼女も、約7年もの活動を経てさまざまな経験を得た。
人形劇やゲーム、アニメ作品などでの演技経験。KAMITSUBAKI STUDIO関係のライブを中心とした、多種多様なステージでのライブ歌唱。そして、V.W.Pのメンバーや外部のクリエイターたちから受けた刺激──そうした数々の出来事を通して、多くのことを学んできた。
結果、ポエトリー・リーディングや詩の朗読は飛躍的に上達しただけでなく、声色をうまく変化させて愛らしさやキュートさを振りまいたり、より静かに声を発することで包み込むかのような優しさを漂わせたりするようになった。
抑揚や起伏の付け方、声色のコントロールもふくめてボーカリストとして高い表現力も身につけた2026年の花譜さんが、2018年の自身の楽曲を歌う。原曲とは多少違ったアレンジに仕上がっていたこともあるが、過去の楽曲をこのライブの舞台でリメイクしていくように感じられ、一種のスリリングさをもたらしていたのだ。
「KAF DISCOTHEQUE」を経てはじまった後半戦は、新作アルバム『深愛』の楽曲が披露されていった。
先行して公開されていた「明滅」「周波数0の合言葉」。スローなテンポでじっくりと歌っていく「私の在処」「君は水、私は魚」。ソリッドなギターリフに負けないほどの力強い歌唱をぶつけていく「エラーソング」「オーギュメント」……。新作アルバムから8曲もの楽曲を惜しげもなく披露した。
歌われる楽曲のほとんどが新曲であるわけだが、それらは小説『カミュの歌鳥 花譜小説集』とリンクしており、スクリーンに流れるムービーには「Kamiu ver.7.0」など何やら気になるワードがいくつも現れていく。
しかも花譜さん本人は後半部に入ってから新衣装を着てパフォーマンスをしており、レーザーライトをふんだんに使った光の演出は、空間を制圧するかのよう。
Photo: Sotaro Goto
観客たちは花譜さんの一挙手一投足、視界を奪うほどの光の瞬き、そして数々の新曲を脳裏に刻んでいたことだろう。5月に発売される新作アルバム『深愛』が果たしてどのような内容になるのか、楽しみな気持ちにさせられた。
アンコール1曲目に披露したのは、最初期の楽曲「魔法」だ。その選曲に驚きの声があがる中、サプライズゲストとして登場したのは理芽さんだった。鍵盤とシンセサウンドの出足から披露された内容は、アコースティックバージョンといっても差し支えないもので、歌い終えると温かな拍手が2人に送られた。
Photo: Sotaro Goto
「ゲストなしだってMCしてたのに、ゲストいるじゃん!」と理芽さんが茶化してMCすると、花譜さんは「どうしても『魔法』を歌いたかったんだけど、この曲は1人で歌う曲じゃないと思っていた。あの日、仲間が1人増えて歌ったこと。それを含めて"原点回帰"になると思った」と返す。その言葉にまた会場から拍手が送られ、2人はにこやかに笑った。
つづけて、花譜さんの別名義・廻花との歌唱曲である「マイディア」とV.W.Pとしてリリースされた「祭壇」を披露する。どちらの曲も鍵盤から入ってスローテンポに進む中でじっくりと歌っていく。シリアスさや切迫感を訴えるような歌唱も、キャリアを経て声色の輪郭が太くなったこともあり、より説得力を増している。
Photo: Sotaro Goto
最終曲「魔女」は、出だしこそ鍵盤と花譜さんによるアコースティックな流れだったが、途中からバンド隊が加わり、アグレッシブなロックサウンドへと変貌する。そのドラスティックな変化に合わせて、柔らかなボーカルからトゲのある歌声へと瞬時にアプローチを変える。激しい演奏の中でも存在感を失うこと無く、最後まで歌い切ってみせた。
先程の理芽さんとのMCの中で、おもわずこんな言葉が漏れていた。
「大人になったね」
その言葉に相槌を打ち合う2人。その通りだと筆者も思う。
デビューから成長し続けた1人のシンガーが、高い表現力をもったボーカリストへと成長し、充実のパフォーマンスでアリーナ会場を掌握してみせた。
01.糸
02.過去を喰らう
03.雛鳥
04.心臓と絡線
05.畢生よ
06.景色
07.戸惑いテレパシー
08.私論理
09.それを世界と言うんだね
10.海に化ける
11.人を気取る
12.邂逅
13.ダンダラボッチ
14.ゲシュタルト
15.カルペ・ディエム
16.代替嬉々
17.私の在処
18.明滅
19.君は水、私は魚
20.エラーソング
21.学園戦線
22.乳白の宇宙
23.周波数0の合言葉
24.オーギュメント― アンコール ―
25.魔法
26.マイディア
27.祭壇
28.魔女
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