KAI-YOU Premium 1周年 「個の時代」や「越境性」…そのテーマを振り返る
2020.03.31
音楽やエンタメを取り巻く環境の変化と、その中でヒットするエンタメに共通する価値観
クリエイター
この記事の制作者たち
「勿忘」と「ようこそジャパリパークへ」。それぞれのジャンルを飛び出し、時代を象徴するヒットソングを生み出した2人の作曲家、Awesome City Clubのatagiさんと大石昌良さんによる対談もいよいよ最終局面。
エンターテインメントのみならず生活全体がインターネットと切り離せなくなった現代において、あらゆる領域を巻き込んでヒットするコンテンツたちの共通点を解き明かす。
目次
- 鍵盤の音をギターで“想像”する
- オーイシマサヨシの3分でわかるTwitterの使い方
- おっさんがトレンドをつくる時代が来る?
- 現代のエンターテインメントで重視される「内輪感」
atagi 大石さんのメロディってバンドマン上がりの書き方じゃない気がしてるんです。ギターを弾いてつくってる気がしないと言うか、ハイブリッドな感じと言いますか。
大石 そう言ってもらえるのは嬉しいですね。バンド辞めた時が転換期で、バンドという家を出ちゃったからちゃんとしなきゃと思って音楽の勉強をきちんとやり始めたんです。
その時にジャズやミュージカルといった、今まで触れてこなかった音楽にハマって、考え方がエンタメ方向に寄っていったんですよね。
あと、当時僕と音楽を一緒につくってくれるプロデューサーさんを師匠と呼んでいろいろ教えてもらったりとか、師匠と一緒にいることでディズニー音楽のインストをつくろうみたいなお仕事もさせていただいたりとか、つくれる音楽の幅がどんどん広がっていきました。
atagi そうやって新しい知見をたくさん得ても、作曲の仕方はギターなんですか?
大石 作曲は20年変わらずずっとギターでですね、鍵盤でつくったことないです。だから鍵盤で作曲する方が羨ましくて、分数コードの解釈とかがギタリストとは全然違うなと思っているんですけど、それをなんとかギターで再現しようと思って今も勉強の最中なんですよ。
atagi 確かにギターでは鍵盤の繊細さを再現しきれないところがあって、それがギターで作曲することの問題点の一つだと思っていたんですが、そこを大石さんはイメージで補完してるんですね。
大石 ギターって出せる音がピアノより少ないから、それだけでハンデがあると思っているんですけど、だからこそギターの文化って引き算の美学なのかなと。
本来はできないようなことをデフォルメして再現するような想像力が重要なのかもしれません。

atagi あれだけ繊細なメロディをつくってらっしゃるので、絶対鍵盤でつくってるんだと思っていたんですが、音の鳴り方から引き算してギターで再構築するって方法だったんですね。
大石 メロを重視しているのはその通りで、実際一番時間をかけて考えているのはメロに対してどのコードを当てるのか、だったりします。だからアレンジャーさんに渡してコードが書き換えられてたりすると、もう許せなくて(笑)。
atagi シンガーソングライターにとってのコードは生命線ですからね!
大石 そういう経験が何回かあったからアレンジも自分でやろうということになったんですけど、atagiくんは自分のイメージとアレンジャーさんによる解釈との乖離に悩んだりしないの?
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