「すべて認めさせてジャパニーズだぜ」レッドブルの“お題なし大喜利”MCバトルが生んだドラマ
2022.11.13
S-kaineが語る、西成、路上生活者、リリックの源泉、そしてバトルやブーンバップについて。
クリエイター
この記事の制作者たち
ラップ・ビートメイク・レコーディング・マスタリング・MV撮影・DJ……すべてを貪欲に学び続けているS-kaine。
オールドスクールな出で立ちに、ドスの効いた声で響かせるブーンバップ中心のラップやMCバトルで見せる威圧感は、弱冠20歳とは思えない。
インタビューを通して、そのルーツやリリックに影響を与えたもの、そしてS-kaineの音楽観が垣間見えた。
撮影:I.ITO
目次
- S-kaineが語る西成
- 西成の路上生活者には、それぞれの事情がある
- 「腐った街からこんばんは!」
- レペゼン西成? 沖縄?
- 1日1ページ、2年かけて読み切った村上春樹
- 音楽で稼ぎ、音楽に投資する
- バトルで一番大事にしているのは、対話じゃない。
- 譲られへん。オールディーズへのこだわり
- トラップは、ビートがリリックを食ってる
- 「早く死ぬんなら早く死ぬなりに早く死ぬ倍、曲をつくった方が面白い」
バトルにライブに、その活動はすでに全国区ながら、自ら強く希望して音楽の専門学校に通っているS-kaine。
会って目の前で言葉を交わすとなおさら、しっかりと地に足のついた人間という印象が強まる。
そのためか、彼のレペゼンが日本でも有数のドヤ街・西成というのは、少し意外にも思える。
ただ、S-kaineの根っこは、確かにこの街に根ざしていた。
西成の路地裏
「西成」と聞くと、サグい街というイメージが拭えない側面がある。
過去の大きな暴動、日雇い労働者や野宿生活者であふれる光景にイメージが引っ張られがちだが、とりたてて犯罪件数が多いわけでは決してない(外部リンク)。
しかし、覚醒剤犯罪が目立っているのは事実だ。
日雇い労働者であふれるこの地域では、白昼堂々覚醒剤の売買が路上で行われてきた。“シャブ中天国”と呼ばれていた時代もあったほどだ。
「シャブ中のおっちゃんもよう見てきてます。小学校の頃からそういうおっちゃんらに絡んだり、『金ないんだから働け!』とか言い合ってました(笑)。
中学の頃は、部活が休みになると、おっちゃんたちに混じってバレへんように日雇い行ってたし」

同じ西成区民、小学生だろうとシャブ中のおっさんだろうと「仲は良い」。
日本で、シャブ中や路上で生活する日雇い労働者とここまで距離が近い地域はやはり珍しいと言えるだろう。
それだけに、みんながみんな気の良いおっちゃんやおばちゃんばかりではない。
近年、迷惑系YouTuberの存在が社会的にフォーカスされているが、西成区でも、動画撮影のために訪れたYouTuberがトラブルを起こす事例が後を絶たない。
「YouTuberって基本優しい人を狙って突撃してるけど、西成にはもっと危ない人とかもおるんで。なんならヤクザの事務所も近くにあるわけやし。YouTubeにある西成の動画なんて一握りで、ガン詰めされて投稿されなかった動画も結構あると思います」
なお、現在24ある指定暴力団のうち、大阪を拠点とする2団体のどちらも西成区を拠点にしている。
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