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  • 2021.09.25

20歳、レペゼン西成。ラッパーS-kaineは生き急ぐ

ラッパー/ビートメイカー/DJとして活動する大阪府西成区のラッパー・S-kaine。

弱冠20歳ながら、彼は黙々とスキルとキャリアを積む。まるで生き急いでいるかのように──

20歳、レペゼン西成。ラッパーS-kaineは生き急ぐ

そんなに長生きなんかしたくないっす」。

いかつい風貌やスタイルとは裏腹に、穏やかな物腰のS-kaineが、その瞬間は真っ直ぐに目を合わせ、きっぱりと言い放つ。

生き急いでいる感じがあった。自分のすべてを音楽に捧げると決め、実行している20歳。

「若いから」と形容するべきなのか、「若いのに」と形容するべきなのか、筆者にはわからない。

撮影:I.ITO

目次

  1. 全国を飛び回る黒き俊英・S-kaine
  2. 小6でサイファーを主宰
  3. 「最初、こいつシャブ中ちゃうかな?っておもた」
  4. 「客はナスビ」高校生ラップ選手権の舞台裏
  5. S-kaineが灯した火
  6. 超短期集中型
  7. のめり込んだら他のことが見えない
  8. ラップもビートメイクも、当たり前になればいい

全国を飛び回る黒き俊英・S-kaine

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短く刈り上げ黒々とした坊主頭に、きりっとした眉毛。

オーバーサイズのTシャツにパンツ、スニーカーという出で立ちで、威圧感のある巨躯。

楽曲やライブ、MCバトルで見せる、ダミ声を効かせたいかついスタイル。

S-kaineは、全国でのライブに楽曲制作に音楽の専門学校に、毎日寝る間を削って音楽活動に精を出している。

弱冠20歳という年齢からすれば、踏んでいる場数は同世代の中でも相当なもの。

ステージでの姿とは裏腹に、笑った目は優しく、話し方も落ち着いた関西弁がとても穏やかだ。

地元・大阪での取材を申し込んだところ、全国を飛び回っていてなかなか都合がつかなかったが、たまたま東京・町田でのライブ出演の翌日に時間をもらえることになった。

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取材調整中のやりとり。スケジュールに隙間がない

町田のクラブ・FLAVA。バトルでしのぎを削ってきたラッパー・K-Kが主宰するイベントだ。

共演者やスタッフ、フロアの反応も温かいが、はるばる関西から参戦したS-kaineの存在はやっぱりどこかアウェイだった。

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すでに結構な量を飲んでいるのだろう、S-kaineの瞼はいつもより少し重たそうだ。

しかし、ステージに上がってマイクを握った瞬間、気怠げな空気は吹き払われ、瞳に強い光が宿る。

俺の音楽は勝手に耳にこびりつくから」。ステージでそう宣言する。

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同じクルーに所属するOGRE WAVEのDJのサイドMCから、S-kaineのワンマンライブへ。

堂々としたステージを見せつけ、機材トラブルの間、フリースタイルでK-Kとその場を繋ぐ姿まで含めて、すでに一角のラッパーとしての風格を纏っている。

早くも取材慣れしているのもあるのだろう、受け答えも落ち着き払っていたが、ステージでマイクを握った時の安定感はケタ違いだった。

と言うよりも、マイクを握った時に初めて完成するという印象を受ける。

「遊ぶ時ってなった時はゆるーい方ですが、曲つくるとか、ライブするとかはスイッチ入ります」

俊英のラッパー、そのキャリアはなんと小学生にまで遡る。

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