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  • 2022.10.21

バーチャルYouTuberは生モノなのか? メディアが書かない「VTuberと18禁二次創作」の実態 

バーチャルYouTuberとアダルト向けコンテンツとの深い関わりを、メディアでは詳らかにされてこなかった。しかし、そこには、VTuberを広めるきっかけや文化の変化に寄与した背景がある。

※以下は18歳未満の方には閲覧出来ない表現・内容を含むため、18歳未満の方の閲覧は堅くお断りいたします

バーチャルYouTuberは生モノなのか? メディアが書かない「VTuberと18禁二次創作」の実態 

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この記事の制作者たち

バーチャルYouTuber」(VTuber)は2022年12月で、流行から5年を迎える。

この5年間、様々な動きがあった。誕生、別れ、案件、転生、解散……楽しい動画やライブ配信もあれば、炎上となり裁判となった事例も一つひとつがメディアに「バーチャルYouTuber」「VTuber」の話題として取り上げられ、インターネット上または紙面上で公開されてきた。

しかし、メディアでバーチャルYouTuber(VTuber)にまつわるセクシュアルな内容が詳細に語られることはあまりなかったように思う。

当たり前の話にも聞こえるかもしれない。倫理的観点から、情欲的なコンテンツやグロテスクな内容は扱うことが難しい。広告を収益に運営するメディアが大半であるため、過激な内容から広告が規制されれば収益に影響を及ぼす可能性がある。

また、VTuberコミュニティなりに言い変えれば、アダルトな話題こそ「センシティブ(要注意、煽情的)」と言える。万人受けすることはなく、さらには広く知らしめれば炎上のリスクすらあるコンテンツはメディアもファン層も受け入れることは難しいだろう。

しかし、VTuberと「アダルト向けコンテンツ」(以下「アダルト」と記述する)の関係性については十分に特筆すべき点がある。VTuberとアダルトコンテンツとの関係性は一長一短で、VTuberを広めるきっかけや文化の変化に寄与した背景があるからだ

筆者はこのような状況の中、アダルトコンテンツを軸に活動する「AVTuber」と呼ばれる一群の特異性と動向を体系的にまとめる必要があるように感じ、当編集部の協力を経て、投稿寄稿に踏み切ることになった。

この試みは「KAI-YOU Premium」というサブスクリプション型メディアの特性を活かし、VTuberの記録を目的にアダルトコンテンツ、性的表現の話題に切り込み、「AVTuber」とは一体どういったものなのかを解き明かす試みだ。

現在に至るまでのVTuberのアダルトとの関係性について、まずは二次創作からAV、そしてVTuberがなぜ現在の流行に至ったかの経緯や動向を中心に幅広く解説を行う。

特に次回以降ではそれらの背景を踏まえ、AVTuberについて解説を行う。

目次

  1. 「バーチャルYouTuberは生モノ」
  2. 二次創作とVTuber──ハッシュタグはゾーニングとして機能してる?
  3. アダルトコンテンツを巡る、配慮の必要性とルール
  4. 「VTuberに人権は宿るのか?」という命題
  5. 多様性に富む存在であるVTuberと、どう向き合うのか
  6. 「妨げられた」歴史を持つVTuber業界の今後を占うもの

「バーチャルYouTuberは生モノ」

東京工業大学准教授の映画研究者・北村匡平は、VTuberのファン活動に触れる際、二次創作について下記のように言及している。

……ファンフィクション/ファンアートなどの二次創作によって、ファンたちはSNSでVTuberのイメージを拡散し、無意識のうちにプロモーションにも加担する。 [中略] ファンはコメントなどを介した創作的なコミュニケーションでキャラ構築/変形にも主体的に参与するのである。 [原文ママ]『ポストメディア・セオリーズ: メディア研究の新展開』所収「デジタルメディア時代の有名性──〈アニメーション〉としてのバーチャルYouTuber」の中で(北村匡平 2021、p251)

バーチャルYouTuberのカルチャーでは、キズナアイの掲出したガイドライン「キズナアイ キャラクター利用規約」(外部リンク)を筆頭に、様々な事務所、グループ、プロジェクトが二次創作ガイドラインを設定しており、二次創作を自由に行うことの出来る環境が形成されているという背景を持つ。

そのため、ファンフィクション(漫画、小説、同人誌など)、ファンアート(イラスト、切り抜き、MADなど)といった二次創作に付随したファンによる実践はコミュニティの発展に寄与してきた。

しかし「自由」とは言ってもあくまでガイドライン上の話であり、二次創作者はガイドライン内容を遵守する必要がある。何でも自由に出来るわけではない。多くのガイドラインでVTuberを性的に描くことはグレーの範囲にあるか、もしくは明確に禁じている

黎明期からバーチャルYouTuberを見てきたファンは、「VTuberは生モノ」という文言を一度は見聞したことがあることと思う。

実在の人物を題材に創作を行うことを指す同人用語「生モノ」(検索避けのために「nmmn」とも。)。「生モノ」は、元々「腐女子」と呼ばれるボーイズラブ(BL)創作を好む女性間で使われる用語だったが(『BLの教科書』所収 西原麻里「男性アイドルとBL――BLのまなざしで男性集団の<絆>の描かれ方を読み解く」2020、p181)、VTuberもその「生モノ」のうちの1つであるという見方がある。

先日KAI-YOU Premiumで公開されたオシャレになりたい!ピーナッツくん、ラッパー・Kamuiとの対談の中で、ピーナッツくんを生み出したクリエイター・兄ぽこは「VTuberって新しい存在みたいに言われるけど、別に結局は人間だし、普通の、人間らしい感情を持っています」とアルバムの世界観を説明する中で、VTuberの人間らしさについて真に語っていた。

こうした生モノ創作は当人の尊厳を傷つけることにつながりかねないと考えられており、本人の目に触れることを極度に避ける傾向がある(『ジェンダー研究 第24 号 2021年』所収 張瑋容「腐女子の「ファンタジー・トラブル」――身体・欲望・妄想をめぐるBLファンタジーの存在論」2021、p116など)。

二次創作とVTuber──ハッシュタグはゾーニングとして機能してる?

一方で、「生モノ」として扱われるVTuberを二次創作で性的に描写する創作者がいる。性的に描かれた二次創作は一部に忌避され、議論の種になってきた

※この記事は期間限定でプレミアムユーザー以外にも開放されています。

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アダルトコンテンツを巡る、配慮の必要性とルール