エロ同人とクソマロは、毒にも薬にもなる──VTuberと鑑賞者を救う「善いスポイル的鑑賞」
2024.08.31
AVTuber──アダルト向けコンテンツを展開するVTuber。主にFC2などで活動する彼らは昨今、クレジットカード規制やプラットフォームからのBANなどを受け、制約された状態に置かれている。
「同人AV」という言葉を生んだピンキーwebから見た、彼らの生存戦略とは。
クリエイター
この記事の制作者たち
昨今規制の煽りを受けているアダルト業界。タレントとメーカーなとの間で契約の締結が必須になるなど多数の制限が加わったAV新法に、決済会社がプラットフォームでクレジットカードを使用できなくするなどの被害に遭っており、以前よりも制約された状態に置かれている。
一方、その中でアダルトを専門に活動するVTuberの一群であるAVTuberは、アダルト向けのライブ・プラットフォームとして知られるFC2のBANが相次いでいた。
AVTuberはどのような状況に置かれているか。どんな対応を迫られているのか。
今回、自身でもAVTuberの事務所を運営しており、現在のインディーズなAVが当たり前になる以前からAVを個人で制作、「同人AV」という単語をつくった主でもあるピンキーwebさんに取材。
クレジットカード会社がアダルトコンテンツから撤退したように見える業界の背景や、FC2のBAN事情と、その代替となるプラットフォームについて話を伺った。
目次
- ネットリテラシーの高さが仇に? AVTuberとプラットフォームの規制事情
- RPLAYとwithny──移住先として発展する2つのプラットフォーム
- AV新法は同人AV制作にどんな影響をもたらしたか
- 「クレジットカード本社がアダルトを締め出している」わけではない? 意外な背景
- セーフティーネットとして気軽にVTuberを始める選択肢もある
- 「VTuberのメインストリームとは違う」才能の受け皿にもなるAVTuber
──今までならFC2でBANされる場合、大抵は隠さずに局所を晒してエッチなことをしてBANされることが多かったと思います。中でも最近「けもみみりふれっ!」さんのような、生身を画面に晒すような活動をしていないAVTubeもBANされており、生身かキャラクターに問わず処置が取られている印象にあります。
ピンキーwebさんは、この原因についてどう考えていますか。
ピンキーweb まず、日本のバーチャル配信者さんのネットリテラシーが高いところが、逆に仇になってしまったことが一因だと思います。
FC2の運営さんは配信する人をパフォーマンス/パフォーマーさん、そのパフォーマーさんを手配する人をエージェントさんと呼びます。
例えば、一般的なスマートフォンで実写を映してFC2で配信してるようなパターンの人は、登録方法がよくわからないから、登録をエージェントさんにお願いする人が多いんですね。というのも、FC2の配信者登録って結構難しいんですよ。
エージェントさんに登録して年齢確認ができたら、IDとパスが返ってきて、配信できるようになります。エージェントさんが配信場所をつくって、その場所にパフォーマーさんが出勤して配信するパターンもあります。その場合、FC2から見たら、エージェントさんが年齢確認と身分証明をしているという扱いになります。
ただ、AVTuberさんはエージェントさんを通さないで、直接FC2に登録する人が多いんですね。
FC2でアダルト配信をするには、年齢確認と契約書を公式のフォームを通して海外の外部機関に提出する必要があります。FC2さん自身では直接の年齢確認と身分証明はできないんです。
だからパフォーマーさんがフォームからFC2と直接やりとりをすると「この人が未成年ですよ」と配信に通報が来たときに「配信者は本人で成人だよ」と否定ができない。プラットフォームから見ると、AVTuberはキャラクターが配信をしていて、身分を確認した本人が配信をしているかの確認が取れない。それはどうしようもない。
エージェント経由であれば、エージェントさんが確認をしていて、エージェントが責任を持っているので否定できるんですけどね。だから、うちはそのためにエージェント登録をしましたね。
──エージェント登録をすることがひとつの対策になるんですね。企業だけでなく、ピンキーwebさんのように個人でも登録ができるんですね。
ピンキーweb そうですね。そうやって直接エージェントを介さずに登録した人たちが、行き違いからBANになってしまったケースは少なくないはずです。
ただ今回の件に関しては、意図的に(BANを促すような)通報をされてる可能性は個人的にはめちゃくちゃ高いと思います。
──通報が多かったという噂はありましたね。
ピンキーweb これはわからないですが、他のパフォーマーやエージェントからの嫌がらせかもしれないし、何らかの形でVTuberさんに恨みを持った人の攻撃かもしれない。
ただ、画面に身体を映したり、イラストの占める割合を減らすといった配信側の工夫を乗り越えて通報がおこなわれている。人力で目視した上で通報されている可能性を高く感じました。同じことは他のプラットフォーム(Chaturbate)でもあったんですよ。
ピンキーweb アメリカのVTuberエージェンシー・VShojoのProjekt MelodyさんというAVTuberがChaturbateで1位とったときも、実写のパフォーマーさんたちの中で、文句を言う人と、自分もバーチャルな姿をつくる人という2つの反応があったんですよ。
そうした実写のパフォーマーさんのコミュニティの中にVTuberが乗り込んでいくのは、なかなか難しい。そこで頑張って乗り込んでいくよりは、新しいプラットフォームに移る方が安全という気はします。ともかく、運営する側としてはFC2では新規顧客がとりにくくなったなと思いますね。
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