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2024.08.12
韓国の大手音楽エンターテインメント企業・HYBE(ハイブ)と、K-POPグループ・NewJeansが所属する傘下レーベル・ADOR(アドア)代表の対立が激化している。
HYBEとは、NewJeansは言わずもがな、BTSやSEVENTEEN、LE SSERAFIMといった世界的K-POPグループを擁する大手芸能事務所だ。その内紛が明るみとなり、K-POPシーンに激震が走っている。
今回は、騒動の経緯を改めて整理しつつ、韓国出身の音楽ライターである筆者からはどう見えているかを述べたい。
ゆえに、このコラムには筆者の私見も多分に含まれている。ただこれを「筆者は最終的にHYBEとADORどちらかの味方をしているのか」と読解しないでほしい。
目次
- HYBEvsADOR──対立の経緯
- ADORは記者会見を実施 暴露合戦に発展
- 論点の移動──「背任」から「コピー」へ
- K-POPの根源的課題──アーティストの疎外
※本稿は、KAI-YOU.netにて2024年5月4日に掲載されたコンテンツを再構成したものとなる
騒動の発端となったのは4月22日。
ミン・ヒジン代表を含むADOR経営陣が、HYBEの経営権を奪取しようとしていると親会社であるHYBEが疑い、内部監査に着手したことが報じられた(外部リンク)。
その証拠を確保したとして、HYBEは26日までに告発状を正式に捜査機関へ提出。その過程でHYBEは「最終的にHYBEを出る」などと書かれたメモやメッセージをマスコミに公開した(外部リンク)。
一方のADORは、監査が行われた22日にミン・ヒジン代表が韓国経済新聞のインタビューを通じ、「(HYBEの傘下レーベルである)BELIFT LABが、新人ガールズグループ・ILLIT(アイリット)をプロデュースする際に、NewJeansのアイデンティティ、スタイリング、振り付け、ミュージックビデオのコンセプトをコピーした」と主張(外部リンク)。波紋はさらに広がる。
そして25日、ミン・ヒジン代表を含むADORは記者会見を実施する(外部リンク)。
2時間を超える記者会見でミン・ヒジン代表は「経営権を簒奪する計画・意図・実行したことは全くない」と反論。「私がHYBEを裏切ったのではなく、HYBEが私を裏切った」「(不当な)株主間契約で苦しんだ」などと意見を表明した。ADOR側の弁護士も「株の支分率20%未満で経営権の簒奪は不可能」と主張した。
また会見中、ミン・ヒジン代表はHYBEのパン・シヒョク代表の「aespa(SMエンターテインメント所属の4人組ガールズグループ)を踏み潰せますよね?」などの発言を暴露したり、「クソ親父ども」などの罵倒語を使ってHYBE側を非難したりするなど、多くの話題を生み出した。
記者会見の反響は大きかった。
「マスコミを動員してミン・ヒジン代表をここまで追い詰めたパン・シヒョク代表に第一の責任が問われるべきだ」という意見、「ミン・ヒジン代表が経営者として未熟さを現しただけ」との評価、そして記者会見中に名前が出たグループへの影響を懸念する声など、反応は様々な方向に分かれている。
その後、HYBEは26日に記者会見の内容を12項目にかけて詳細に反論した声明を発表(外部リンク)。
きちんと予告された監査であったこと、経営権奪取計画への証拠が多くあること、契約が不当ではないことなどが主張された。それを受けて、ADORは5月2日にさらに反論の声明(外部リンク)を発表。HYBEの主張には偽りがあり、監査は常識的に行われなかったことなどが主張された。
HYBEはADORの臨時株主総会を開催しようとしており、ADOR側はこれを拒否している。総会が開催されれば、ミン・ヒジン代表は解任される可能性が高いようもうに思われる。しかし、その正当性は以降も法的・倫理的に問われるはずだ。
※なお、2024年5月31日にはADORの臨時株主総会が開かれ、HYBEによる解任案の議決権行使を認めない裁判所の判断を受けて、ミン・ヒジン代表の続投が決まった。ただし、ミン氏側近の理事2人は解任され、HYBE側が送り込んだ理事3人が新たに選任されている
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