なくなる少年漫画誌との境界線 青年漫画誌の戦い方 「マンガワン」編集者・千代田修平 Vol.2

Interview

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  • 2020.12.01 19:00:00
なくなる少年漫画誌との境界線 青年漫画誌の戦い方 「マンガワン」編集者・千代田修平 Vol.2

「天才と仕事をする」。その一点を求め漫画編集の道を志した、小学館「マンガワン」所属の編集者・千代田修平。

前編では、『映像研に手を出すな!』の大童澄瞳、『おやすみシェへラザード』の篠房六郎、「チ。ー地球の運動についてー」の魚豊など、彼が担当する色とりどりの天才たちとの仕事について、また自らが考える「天才」という存在についてうかがった。

後編では、漫画誌のトップをひた走る「週刊少年ジャンプ」のような少年漫画誌がある一方で、「ビッグコミックスピリッツ」をはじめとした青年漫画誌は、どのような戦い方をしているのかを訊いた。

連載バックナンバー

取材・執筆:オグマフミヤ 撮影・編集:和田拓也 取材協力:小学館

目次

  1. 世に様々な天才がいるが、漫画家が一番ヤバい
  2. 「これをジャンプでやってのけるのか...」 青年漫画誌の戦い方
  3. YouTube世代に漫画は届くか
  4. 新しい時代の欲望を読む
  5. 作家と編集の理想の関係

世に様々な天才がいるが、漫画家が一番ヤバい

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千代田修平

──「天才と仕事をする」ことを目指して小学館に入社し、漫画編集の道へ進んだとおっしゃっていましたが、「天才と仕事をする」ための選択肢がなぜ小学館でなぜ漫画編集だったのでしょう?

千代田 小学館を選んだ大きな理由の一つはマンガワンの存在です。僕が就活をしていた頃は現在ほど漫画アプリがあったわけではなかったのですが、その中でマンガワンが僕の求めている理想と近い形をしていました。

──理想とはどのようなものでしょうか?

千代田 当時は数少ないながらもいくつか漫画アプリ、プラットフォームがあるなかで、マンガワンにはコミュニティっぽさを感じたんです。他の媒体の人気作品が読めたり、過去のヒット作を集めた色々な漫画が読めるプラットフォームは多くあっても、そこに特有の雰囲気や、作品性で見た時の独自性はあまりないように感じていました。

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「マンガワン」

千代田 ですがマンガワンは、他に比べてコメント機能との接続がダイレクトだったり、編集部からのコメントもあったりして初期のニコニコ動画みたいなコミュニティっぽさ、「俺たちの場」感があったんです。

それが当時の僕にものすごく刺さりました。コメント欄の話についてくために別の漫画を読んだり、コメントがたくさんついている話題になってる話数を読むとか、かつては紙の雑誌が担っていた俺たちの場感がここに移管していると感じたんです。

──では漫画編集についてはいかがでしょう?漫画家以外にも天才と呼ばれるクリエイターは存在すると思うのですが。

千代田 確かに天才と呼ばれる存在は様々なフィールドにいますが、中でも漫画家が一番ヤバいと思ったんです。自らキャラクターとストーリーを作り、カメラワークも考えて絵まで描く。物語に関するすべてを自らやるなんて他の領域じゃありえないですし、漫画家が一番天才じゃないかと。

そんな天才と一番近い距離で仕事をするなら編集者だろうとも思いました。一番近い距離でダイレクトにやり取りができ、天才と仕事をしている実感を最も感じられるのは漫画編集者しかない。だから漫画編集者を目指し、小学館を志望したんです。

──そもそも漫画を読み始めたのはいつ頃でしたか?

千代田 両親が漫画好きで、『DRAGON BALL』や『SLAM DUNK』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚』『みどりのマキバオー』といったジャンプ90年代の作品が家に揃っていたんです。小学生の頃はシンガポールに住んでいたんですが、娯楽がゲームと漫画くらいしかなくて、それらのセリフを暗記するくらいに読み込んでいました。

そのせいか世代的には『ONE PIECE』や『NARUTO』『BLEACH』直撃なんですが、流行っている漫画に興味を持てなくて、みんなが羊肉ショットを真似するなか僕だけ九頭龍閃の練習をしていたんです。

流行りを追いかけるというよりは、自分の好きなものを読み込むというスタイルはずっと続いていて、メジャーな作品や流行を勉強するようになったのは入社してからでした。

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