若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
クリエイター
この記事の制作者たち
「いまが黄金期」といわれるほどに、新たなヒット作を生み出し続けている「週刊少年ジャンプ」。同誌において連載初挑戦ながらも新たな看板作品となりつつある『チェンソーマン』(藤本タツキ)や、コミックス累計600万部を突破し、「このマンガがすごい!!2020」など数々の賞を受賞する「少年ジャンプ+」の大人気作品『SPY×FAMILY』(遠藤達哉)などヒット作を担当する漫画編集者が林士平だ。
月刊誌「ジャンプSQ.」の編集で『青の祓魔師』や『この音とまれ!』『怪物事変』『カッコカワイイ宣言!』『貧乏神が!』といった数々の人気作を立ち上げたことに加え、“鬼才”藤本タツキ氏を見出し、遠藤達哉とは本作でのヒットに至るまで10年以上共に作品をつくり続けてきた。新人発掘の領域でも多くの功績を残している漫画編集者だ。
今回は、少年漫画誌を牽引する「週刊少年ジャンプ」の新時代の一翼を担う編集者・林に、『チェンソーマン』デンジと現代のヒーロー像、作家の発掘方法、名作・天才の条件、そして激変する世界での「漫画の価値」と“ジャンプらしさ”について訊いた。
取材・執筆:オグマフミヤ 編集:和田拓也 取材協力:集英社
目次
- 『チェンソーマン』のヒーロー像、現代に響く理由
- “ジャンプらしさ”なんてものはない
- 「あなたは天才だ」と表明し続ける
- 名作の条件などない
- 漫画の価値は、揺らがない
──林さんの編集担当作品の中でも、「週刊少年ジャンプ」で連載中の『チェンソーマン』は単行本の発行部数もさることながら、ジャンプの発売日に毎週Twitterトレンドを賑わすなど、ジャンプを新たに代表する作品として大ヒットしています。ヒットの要因についてはどのように分析されていますか?
林 世界的に最も大きなテーマのひとつである貧困が主人公の軸にあるのが一因のように感じています。デンジはめちゃくちゃ貧困層の出身で、なんでもない普通の生活に憧れる主人公ですから、みんなが応援しやすいヒーローになっているのではないでしょうか。
近年のヒット作である映画『パラサイト』や『ジョーカー』も社会構造のなかでどうしても負のサイクルから抜け出せない人たちが主人公の話でしたし、貧困やそれに伴う分断は一時的なのものではなく、これからも長い間考えなくてはいけない大きなテーマになってくると思います。
デンジは教育も受けていないし、まともな生活もしていない。そんな主人公が少しずつ幸せになっていく様子を描くことで時代にマッチしたエンターテイメントになっているのかもしれません。
──デンジの主人公/ヒーローとしてのありかたはこれまでのジャンプにはあまりなかったように感じます。漫画の“ヒーロー像”の変化を感じることはありますか?
林 具体的に連載の企画を練っている時期、藤本先生とは月に1,2回居酒屋で飲んでいて、雑談程度にどういう主人公がいいかなという話をしていました。
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