作曲はギフト、編曲は職人技
2020.02.28
現在はカルチュア・コンビニエンス・クラブグループである「復刊ドットコム」。
絶版となって世から消えた書籍を蘇らせる事業は、探偵業に近かった?
クリエイター
この記事の制作者たち
TVアニメ「けいおん!」の楽曲で作曲家デビューを果たし、今では企業家として4つの会社の経営者の顔も持つTom-H@ck。彼の気になるWebサービスを訪問する本連載。
「絶版」となり入手が困難になった本を復刊するサービス「復刊ドットコム」を運営する株式会社復刊ドットコムに突撃。
「復刊」の奥深さについて、取締役の吉田淳さんに話を聞いた。
目次
- 「復刊」はいかにして事業になったか
- なぜ本は「絶版」になってしまうのか
- 高額な復刊本は価格が5桁になることも
- 復刊するにあたって、一番大変なこと
- 「刷る」技術だけでなく、「読み取る」技術も進化した
- 競合他社がいない理由
Tom-H@ck ユーザーのリクエストから絶版本を復刊する「復刊ドットコム」というサービスが2000年6月に始まって20年以上。現在の会員数が53万人、リクエストされたタイトル数が5.8万タイトル。
総票数にして、91万票ものリクエストが集まっていると。すごい数ですね。
吉田淳(以下、吉田) ありがとうございます。
Tom-H@ck そもそも御社は、1999年に29社もの出資で生まれた会社だとうかがいました。僕が経営する会社でも、最高でも3社ほどの出資しか経験したことがなく、29社というのは相当な数だと思います。どんな成り立ちだったんですか?
吉田 まず日本出版販売(日販)という、本の取次を事業とする最大手の会社がありまして。その新規事業として立ち上がりました。
まだ電子書籍も主流ではなかった時代に、「少部数で出版ができる」という印刷機が開発されて、オンデマンド印刷サービスができるぞということになったんです。
※オンデマンド印刷とは、それまで印刷に必要だった「版」を使用せず、データをプリンタに送って印刷する仕組み。少部数での素早い印刷が可能に
そこでいざ「復刊」を事業にしようということで、どんな本に復刊ニーズがあるのかをサイトでリクエストしようということで、「復刊ドットコム」の原型となる仕組みができたわけです。

日販ですから多くの出版社とお付き合いがあるので、出版事業全体を活性化させる目的の一環として始まったのが株式会社ブッキング(現在の株式会社復刊ドットコム)でした。
Tom-H@ck なるほど。オンデマンド印刷を試すにあたって、どんなニーズがあるのかを知るために始まったんですね。現在もオンデマンド印刷で制作されているんですか?
吉田 現在は違いますね。結局オンデマンド印刷だけでは、会社を運営できるほどの規模まではいかなかったと思います。
Tom-H@ck 当初はオンデマンド印刷を試すのが目的だったマーケティング機能が、今ではサービス全体のメインになったわけですね。
吉田 そもそも株式会社ブッキングが設立された当初は、復刊自体も事業のひとつだったんです。韓国の雑誌を日本で出すとか、コンビニ専売の本を制作したりとか、いろんな事業をやっていたんですよ。
2009年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループに入るタイミングで、復刊事業に絞ることになり、社名も「復刊ドットコム」へ変更になりました。
Tom-H@ck そういった経緯があったんですね。29社もの出資で設立されて、それを先導していくなんて、僕には全然想像がつかなくて。
吉田 私も設立当初から在籍していたわけではありませんが、日販さんが主導して出版業界全体の発展につながるのであればという話だったんじゃないかと思います。現在はCCCグループ傘下の会社です。
Tom-H@ck ビジネス以上に、文化を守る側面が大きいですしね。
吉田 「文化を守る」と言うとカッコよすぎますね。会社として利益をあげて回せるくらいには稼がなきゃならないですから。
Tom-H@ck 今は何名でサービスを運営されているんですか?
吉田 社内の編集が4名、営業が4名、経理や人事を担う管理部の人間が1名。そこに社長と私を含めると、全部で11人です。
Tom-H@ck そもそも「絶版」って、世の中からいろんな理由で本がなくなっているということですよね?
吉田 本は、年間で約7万タイトルもの新刊が出ているんです。本屋さんに並んでいるものは、本当に一部のタイトルだけ。世の中には、山ほど消えていっている絶版本があるんです。
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