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2022.11.05
時代を代表するボーカロイド曲は、「物語音楽」のトレンドを象徴している。
クリエイター
この記事の制作者たち
10代に着実に支持を広げ、ヒットを生み、ムーブメントを巻き起こしつつも、20代や30代には、その知名度はなかなか届かない。中高生を熱狂させつつも、大人にはわからない。
そういう、文字通りの意味での「ユースカルチャー」を、今の時代に体現しているアーティストの代表格が、HoneyWorks(通称ハニワ)だ。
音楽、小説、コミックなどマルチメディア的に展開し、それぞれ大きな反響がありながら、なぜHoneyWorksの人気や知名度は上の世代になかなか届かないのか?
また、ニコニコ動画の黎明期に同じくクリエイターユニットとして結成されブレイクしたsupercellや、音楽と小説が同時に進行するマルチメディア的な展開を見せたカゲロウプロジェクトとどう違うのか。
筆者の考えとしては、HoneyWorksの人気は、2010年代のボーカロイドシーンの潮流が「女の子」カルチャーに変質していったことの、1つの象徴なのではないかと思っている。
※本稿は、「KAI-YOU.net」にて2016年に配信された記事を再構成して配信している
HoneyWorksとは、作曲・編曲を手掛けるGomさんとshitoさん、イラスト・ムービーを手がけるヤマコさんの3名からなるクリエイターユニット。関連動画の総再生回数は8億回を超え、ファンの中心層は若年層だ。
2010年に結成し、ニコニコ動画にVOCALOIDオリジナル曲を投稿するところからスタート。2014年のメジャーデビュー以降は、シンガーや声優ユニットとのコラボも勢力的に行い、ニコ動やボカロのフィールドを超えた活躍をみせている。
さらには、音楽と小説とコミックとアニメーションが並列に展開する「告白実行委員会〜恋愛シリーズ〜」と題された一連のシリーズはテレビアニメ化と2度の劇場版アニメ化を果たし、舞台やゲームとしても展開されるほどの大ヒットを記録してきた。
その第1弾となった映画『ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~』は2016年に公開され、初週興行収入ランキング8位、総動員25万人、興行収入3億円を突破した。
OP主題歌となったCHiCO with HoneyWorks「恋色に咲け」、そしてED主題歌のHoneyWorks meets スフィア「一分一秒君と僕の」も、それぞれヒットを果たしている。
音楽や小説など様々なフィールドで作品を発表しているHoneyWorksだが、作品全体を貫くイメージは一貫している。
楽曲が描くストーリーは、青春と恋愛に特化しており、一連の楽曲の舞台は同じ高校。共通するキャラクターが複数の楽曲に登場し、甘酸っぱい恋の喜びや切なさが描かれる。
そして、全ての楽曲のMVを同一のチームで手掛け、様々なシーンやキャラクターを描くその動画が連なって1つのストーリーを織り成していく。
そういうスタイルから、HoneyWorksは00年代以降のマルチメディア的な「物語音楽」の系譜に位置づけることができる。
「物語音楽」とは、サウンドクリエイター・Revoの主宰するアーティスト集団・Sound Horizonを1つの源流に、00年代以降の同人音楽、ボーカロイド、動画サイトの文化が折り重なって発展してきたジャンルだ。
ただ、ファンタジーやSF的な世界を描く作品が多かった「物語音楽」の中で、HoneyWorksが際立っているのは、少女漫画のテイストや世界観を貫いていることである。
ボーカロイドとインターネットの歴史を振り返ると、2011年は1つの象徴的な年だ。この年の秋から冬にかけて発表された3つのアンセムが、00年代と10年代をわける分水嶺になっている。
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