Interview

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  • 2021.09.09

「タイトルは『推しの子』にするつもりじゃなかった」

『【推しの子】』『かぐや様は告らせたい』2作を同時連載する漫画家・赤坂アカと、いくつもの顔を使い分ける音楽家・大石昌良。

漫画と音楽。激動の時代に、共通すること、異なること。

「タイトルは『推しの子』にするつもりじゃなかった」

めまぐるしくトレンドが移り変わる現代において、クリエイターたちはその潮流を敏感に感じ取り自ら才覚を発揮する。

漫画と音楽でフィールドは違えども、時代を切り取る鋭い視点が共通する大石昌良赤坂アカによる対談後編は、まさしく現代のエンターテイメントの表から裏までまざまざと描き出す快作『【推しの子】』の本質へと迫っていく。

※『【推しの子】』についての一部ネタバレが含まれます

目次

  1. 『【推しの子】』タイトルの秘密
  2. 2作品同時連載の秘訣は、フォルダ分け
  3. イラストレーターの増加、アニメMV隆盛……新時代のクリエイティブ
  4. ネット世代の“脅威”
  5. 2人が考えるバズ

王道が尊ばれる現代に

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──大石さんは『【推しの子】』のどのような部分に魅力を感じてらっしゃるのでしょうか?

大石昌良 恋愛描写の王道感もそうですけど、芸能界だとリアルでこういうことが繰り広げられているんだろうなって思えるほどのドキュメンタリー感がいいんですよね。

恋愛リアリティーショーの描写もそうですし、アイドルフェスでの合同楽屋の風景なんてもうどれだけリサーチしたんだろうってくらいにリアルに感じました。結局、現実に勝る、面白いドラマはないのかなとも思います。

加えてSNSでの誹謗中傷とか現代的なテーマを取り扱っていて、現実でも同じような事件が起きている中でもあったので、かなり攻めてるなと思ったんです。

赤坂アカ あれは連載前から描くって決めていたネタだったので、同じ時期に似たようなことが起きていたのは完全にアクシデントだったんです。

大石昌良 でもSNSの危険性や炎上した時のメンタルの保ち方ってしっかり考えないといけないことで、それをいち早く作品に描くことで警鐘を鳴らしていたのかと思うとやっぱりアンテナの張り方や発想が鋭いなって思うんですよね。

『【推しの子】』のすごさはそういうところにちゃんと切り込めていることだと思います。ただの恋愛漫画や芸能漫画じゃない。

『【推しの子】』タイトルの秘密

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『【推しの子】』5巻 Via Amazon

大石昌良 『【推しの子】」ってタイトルにいくつも意味を持たせてるじゃないですか。すごく話題になった1巻のラストで真の意味が明かされたのかと思ったら、第4章の最後ではまた別の意味が含まれていたことがわかったりして、そのたびに僕ら読者は一本取られたような気持ちになってしまうんですけど、やっぱり最初からあのタイトルありきの作品だったんですか?

赤坂アカ 実をいうと最初は『【推しの子】』というタイトルにする気はなかったんです。

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