LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
個人と企業、アバターと生身。そして国内と国外まで、目の前に立ちはだかる壁をもろともせず突き進むksonの物語。
クリエイター
この記事の制作者たち
チャンネル登録者数100万人突破、スパチャ(投げ銭)額ランキングでは常に上位と個人勢VTuberとして最前線を突き進むkson。彼女は今、自身の活動を、そしてVTuberを取り巻く環境をどのように見つめているのか。
前編では「個人勢」というksonの描く新たなストーリーとお金の話にフォーカスをした。
後編ではVTuberにまつわるコミュニティ論、VTuber人気の秘密にリンクする生身/アバター論、言語の壁との向き合い方、配信者のメンタルヘルス問題、そしてksonの考える最新のエンタメ論まで深く掘り下げていく。
目次
- 「自分」だけでコンテンツを終わりにしない
- 「VTuber」のksonに集中できるように
- なぜゲームは言語の壁を越えるのか
- VTuberのメンタルヘルスと「壁」
- 私は演じるのが下手
- 視聴者は「つながり」という事件を求めている
- 読者プレゼントはkson総長のサイン色紙!
──前半の記事でも軽く触れましたが、個人勢が大きくなっていく上で「人を巻き込んでいくこと」が大事だとおっしゃっていました。企業勢の強さの一つに、そういった横の繋がりが自然に形成される「箱」的なコミュニティ感があると思います。
kson 個人勢にはやっぱりグループ意識というものがないんですよね。「私は私」というのがかなり強い。もちろん企業勢も一人ひとりで見ると、Special(特別)な個人だと思うんですけど。
アイドルさんとかもグループだからこそ強い。AKBさんはAKBだからこそ強いっていうのも、周りのつながりをみんなにコンテンツとして見せられるのが強かったと思うんですよね。
個人の方はそのつながりをコンテンツにすることは難しいんですよ。そもそもつながりの意識もないので。
──つながりというコンテンツが個人勢と企業勢の違いだと。
kson グループでいるとそこでStoryが生まれるんですよ、勝手に。それが個人の方にはないかなって思いますね。たとえば同じ時期にデビューした仲間がいるとか、一緒にそこで同期として頑張っていくみたいな。そういうのは個人には無理ですよね。
──ksonさんが個人勢の一員としてつくっていくコミュニティの具体的な形のイメージはありますか?
kson 具体的にはないんですけども、個人でも人と人とのつながりを見せたいというのはあります。自分だけでコンテンツを終わりにしないというか。
私の場合は、結構人をいじったりするのが好きっていうのがあるので、それが大きいですかね。みんなで大きくなろうというよりも、単純に人をいじくり回すのが好きっていうのが実はデカかったりします(笑)。
──箱の中でのコミュニティも大事ですが、ライブ配信という活動形式も視聴者との繋がりが形成されやすいですよね。
kson やはり双方向……その場でレスポンスをいただけるのは、一緒にコンテンツをつくっている一体感がデカくなるんだなって、動画から配信に切り替えて気づきましたね。
視聴者の方々にもコメントをしていただいたり、コンテンツの中のEntertaimentを一緒につくってる人になるんですよね。リアルタイムで視聴者の方がやってほしいと思っていることが読み取れるのがライブ配信のいいところだと思いました。
──リアルタイムではないですが、ksonさんが一番最初に活動を始めたニコニコ動画もその性質が強かったと思います。
kson 非常にそう思いますね。視聴者の方もコメント芸でコンテンツをつくっちゃうんですよね!
──YouTubeのメンバーシップというシステムも、ファンとのコミュニティ感を形成する鍵になっていると思います。
kson メンバーシップの方々は心から応援してくださってる方で、もうちょっと特別な何かを知りたいという人に入っていただくものだと思うんですね。
クローズドなコミュニティなので、ちょっと秘密なんかもしゃべっちゃったりできるのは、やっぱりいいですよね。ルールも皆さんしっかり守っていらっしゃって、メンバーシップの中で話したことは表では出さないみたいな。
──メンバーシップの運用として、バッジやエモートに利用しているチャンネルは多いですが、ksonさんのようにメンバー向けの限定コンテンツにも力を入れている配信者は少ない印象があります。
kson あ、そうなんですか?
──少ないですね。
kson 私は月一のZoom飲み会みたいな、メンバーシップ飲み会でプライベートな姿を見せてゆるくエンジョイする配信をしています。
私は一応趣味で配信をやっている身ですけど、普段の配信はお仕事みたいな気持ちでやらせていただいている……プロとして(笑)。
メンバーシップではゆるく、本当に一人の女子としてやってる感じがあります。ちょっと気の抜けた私を見たい人とかが入ってくださってるのかなと思います。
──ちなみに収益的には、国別の投げ銭額やメンバーシップとの比率はどんな感じなんでしょうか?
kson 国別まではわからないんですけど……Superchatが75%ですね。
──残り25%がメンバーシップということですよね。意外とメンバーシップの比率も高いんですね。
kson それなりに大きいですね!
──ksonさんは現在YouTube以外にもMildomというプラットフォームで活動されていますが、使い分けという面で意識されてることはあるんですか?
kson 実は今変えてる途中なんですけど、Mildomの方を生身の私──まあ、VTuberに中の人なんていないんですけど(笑)──3次元の身体の方で。YouTubeの方は2次元「中心」で。どっちも「中心」という感じで、絶対ではないと思ってるんです。
そこは理由がありまして。VTuberというのがすごい好きなファンの中に、やっぱり生身は見たくないよっていう……現実は見たくないよっていう方もいて。
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