若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
日本アニメを世界に届ける総本山・クランチロール。
アニメジャーナリスト・数土直志氏による彼らへの取材を通して、ソニーによる買収後のクランチロール、世界市場へのインパクトを検証する。
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目次
- 邦画が北米週末興行ランキング1位 鍵はクランチロール
- 日本の劇場アニメは、世界でメジャージャンルになりつつある
- クランチロールエキスポ2022から見える、勢いと事業の多角化
- ソニーグループとの連携は、何をもたらしたのか
- 巨大化するソニーグループのアニメ事業と影響力
- クランチロールのオリジナルアニメ戦略の変化
2022年8月18日に全米公開された日本アニメ『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が、米国における日本映画の記録を打ち立てた。初週末興行収入2100万ドル、8月第3週末の北米映画興行ランキングで1位に輝いたのだ。
日本映画が北米週末興行ランキングトップになるのは『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(米国公開1999年)、『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』(同2021年)を含めてこれまでわずか3作品。
『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の公開第2週目までの興行収入は3490万ドル(日本円でおよそ49億円)と、同作の国内興行約25億円の2倍にもなる。昨今の海外での日本アニメの勢いを示す出来事のひとつだ(Box Office Mojo)。
数字の大きさもそうだが、『ドラゴンボール超』の成功については配給を担当した会社が「クランチロール(Crunchyroll)」だった点が注目されている。クランチロールは、日本アニメに特化したエンタテイメント企業である。
米国の映画興行で大ヒットを狙うには、公開当初より3000~4000以上の劇場でスクリーンを押さえる必要がある。大掛かりな興行でいっきに数字を叩き出すのが常套手段だ。ただし、そうした手法を可能にする力のある配給会社は、ハリウッドメジャーと呼ばれる大手に限られてきた。
実際に2022年も9月第2週までの初週末興行ランキング1位作品の配給会社は、『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』を除くと、ユニバーサル、ワーナー・ブラザーズ、パラマウントなどほとんどメジャー系となっている(Domestic Box Office Weekends For 2022)。それだけにクランチロールの存在が際立つ。
クランチロールの名前は、米国の映画業界では今でも知らない人が多いだろう。一方で、日本アニメに特化していることもあり、日米のアニメビジネス関係者の中では知る人が多い。それでもその名前は「日本アニメの映像配信プラットフォーム」として認知されているのみだ。
クランチロールが映画配給でこれほど力を発揮すると、誰が考えただろう?
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