

グローバル化の波は、アニメにも大きな影響を与えている。
ファン層が拡大していく中、逆に起こっているギャップの正体。

2016年、あるテレビ新番組がアニメ業界に激震を巻き起こした。『僕のヒーローアカデミア』(以下、『ヒロアカ』)である。
近年でも『血界戦線』や『モブサイコ100』といった見応えのある作品を手がけアニメーション自体のクオリティの高さに定評のあるボンズが、堀越耕平さんによる『週刊少年ジャンプ』連載の人気漫画を映像化した本作。
この『ヒロアカ』の北米展開にあたり、米国の大手アニメ配給会社が破格の契約金を日本側に支払ったとの噂が業界を駆け巡ったのだ。その金額は一般的なテレビアニメシリーズの数倍、それだけでアニメ製作全体の総額を上回るほどになったという。
価格が釣り上がったのは様々な理由があるが、なかでもライバルである2社が、作品獲得を譲らず買付け競争をしたためとされている。
会社としてのプライドもあったかもしれないが、その金額まで買い上がるには当然理由がある。確かなのは、少なくとも2社の米配給会社が、『ヒロアカ』を「通常の数倍の金額を支払ってもよい、大ヒットの見込めるタイトル」と判断したことだろう。
対照的に、当時の日本のアニメ関係者の反応の多くは、投資資金が大き過ぎて米国側の回収は難しいのでないか、というものだった。
執筆:数土直志 編集:新見直 編集協力:森田将輝
目次
- “ヒーロー物”だから米国で人気なのか?
- 黒人層の支持も得た『アフロサムライ』『メガロボクス』
- アメフト投入でも難しい、スポーツアニメの米国攻略
- グローバル化の中で逆走する文化の違い
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『ヒロアカ』に表れた日米のギャップ
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