若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
細田守監督が手がけた長編アニメーション映画『未来のミライ』。スタジオジブリ作品以外の日本作品では初めて、米国アカデミー賞にノミネートされるなど、海外でいくつもの快挙を成し遂げた。
相次ぐノミネートや受賞に沸く海外に比べ、2018年夏の目玉作品として公開された国内では、厳しい批評も少なくなかった。日米間における評価の差は、なぜ生まれたのだろうか?
細田守監督の劇場アニメ『未来のミライ』が快挙を成し遂げた。今年1月22日に発表された米国アカデミー賞で長編アニメーション賞ノミネート5作品のひとつに選ばれたのだ。
同賞にはこれまでも日本から『千と千尋の神隠し』(2002年)、『ハウルの動く城』(2005年)、『風立ちぬ』(2013年)、『かぐや姫の物語』(2014年)、『思い出のマーニー』(2015年)がノミネートされている。しかし、すべてがスタジオジブリの作品で、それ以外の日本アニメはアカデミー賞を狙えないのが現実だった。
『未来のミライ』のアニメーション制作はスタジオ地図。最終的にアカデミー賞は『スパイダーマン:スパイダーバース』に譲ったが、細田監督の作品のため2011年に設立された決して大きくないスタジオが、大きな壁を突き崩した。
執筆・写真提供:数土直志 編集:恩田雄多
目次
海外での『未来のミライ』の活躍は2018年、国内での本公開前からすでにはじまっていた。
まず5月のフランス・カンヌ国際映画祭の映画監督週間に選ばれた。6月には世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシー国際アニメーション映画祭で、長編部門のオフィシャルコンペティションに選出されている。さらに国内公開後の10月には、スペインのシッチェス国際映画祭で最優秀アニメーション受賞と華々しい。
米国上陸後は、20近くもの映画賞にノミネート。フロリダ映画批評家協会では最優秀アニメーション賞に輝いた。アニメーションのアカデミー賞と呼ばれるアニー賞では長編インディペンデント作品賞を受賞している。
さらにアカデミー賞に匹敵するゴールデングローブ賞でも最優秀アニメーション賞にノミネートされた(最終的には『スパイダーマン:スパイダーバース』が受賞)。
ゴールデングローブ賞はハリウッドのメジャースタジオ作品が強く、実は海外アニメーションのノミネートはアカデミー賞以上に難しい。『未来のミライ』のノミネートは、スタジオジブリも成し遂げられなかった「日本アニメ初」の実績だ。
相次ぐアワードの受賞、ノミネートは、海外のメディアや批評家の『未来のミライ』への評価を反映している。
たとえば、米国の映画メディアを代表する『Variety』誌は「真の映画作家の仕事」と評価した。
『未来のミライ』は、ほとんど細田監督の個人的な映画であるにもかかわらず、純粋なファミリーエンタテイメントとなっている。真の映画作家の仕事である。Variety誌より
アニメーション業界を代表する専門雑誌『AWN』(Animation World Network)も絶賛する。
『未来のミライ』は、細田守監督のキャリアの最高峰である。贅沢で、魔法に満ちており、そして家族のつながりにおける冒険が感情を掻き立てる。それは私たちが何者であるかを気づかせるのだ。AWNより
日本のメディア・報道だけを見ていた国内映画ファンには、『未来のミライ』のアカデミー賞ノミネートはサプライズだっただろう。海外での評価と対照的に、2018年7月の日本公開時には厳しい批評が相次いだからだ。
なかでも、細田監督の身近な体験が、映画に色濃く反映されたことへの批判も少なくなかった。監督自身の家族構成が作中の家族と類似していることなどを取り上げて、「まるで監督の日記のよう」といった具合だ。
それらの多くは、エンターテインメント作品にも関わらず、監督の私生活が不用意に紛れ込んでいる点を批判したものだ。
しかし、この批判は的外れだ。
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