韓国映画の衝撃に触れる3作 “取りこぼされた人たち“の悲喜劇

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  • 2019.07.01 20:00:00
韓国映画の衝撃に触れる3作 “取りこぼされた人たち“の悲喜劇

2000年代中頃、『冬のソナタ』の大ヒットに端を発し、『宮廷女官チャングムの誓い』や『美男〈イケメン〉ですね』といった韓流ドラマが日本で流行。中高年の女性たちを中心に、韓国のメロドラマが幅広く受け入れられていった。

それと同じ頃、生々しい暴力表現に満ちた韓国映画が日本の映画ファンに受け入れられていた。韓流ドラマブームとはうって変わって、韓国映画の背景には、80年代に行われた激しい民主化闘争の記憶や権力への不信感、競争社会から取りこぼされた人々の苛立ちや怒りがある。

当時の日本映画といえば、大味なテレビ局主導の広告的映画や、良質で味わいはあるが、いかんせん地味なインディー作品が多数をしめていた。そんな自国の作品たちに飽き飽きしていた日本の映画ファンは、その骨太な社会性、新鮮な暴力性を携えた韓国映画を熱狂的に受容した。

本稿では、過酷な状況に翻弄される若者や、エスタブリッシュ層に行く手を阻まれる落ちこぼれの姿を描いた韓国映画3作品を紹介する。若者の失業率の高さなどを背景にした骨太な映画がこれほど制作され、韓国本国で大ヒットするという事実は、私たちに衝撃をもたらすだろう。

『グエムル-漢江の怪物-』(2006)

まず民主化以後の社会構造がわかりすく描かれている作品として、韓国を代表する映画監督ポン・ジュノの大ヒット怪獣映画『グエムル-漢江の怪物-』(2006)を取り上げたい。本作は観客動員数1230万人という、韓国の歴代動員記録を塗り替えた大ヒット作だ。

ポン・ジュノは、最新作『PARASITE(英題)』が今年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したことも記憶に新しいが、80年代に大学生で民主化運動に従事していた「386世代」(60年代生まれで80年代に運動に参加し90年代に30代)の最後の世代にあたる

繰り返しこの世代が映画に登場することからも、監督自身のこだわりがうかがえる。

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韓国映画から立ち現れる彼らの“もがき”

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