KOHH引退後の千葉雄喜が惚れたラッパーYan Sekuインタビュー「全部捨てたら」
2024.02.08
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる連載「令和のネット絵学」。
第2章ではクリエイターの持つ技術について焦点を当てる。
現代のイラストレーターはとにかく絵が上手いです。特にこの10年間の進化の速度は異常に早く、イラスト以外にもコンテンツ全体のクリエイティブが大きく底上げされています。この話は特にベテランの、近い業界にいる方は納得いただけるかと思います。
「絵が上手い=画力」には膨大なコンテキストが含まれてます。それは「イラストレーターとして人気である」こととは少し異なる評価です。
SNSでの拡散やインプレッションは、人気のファンアートや面白ネタなど、画力以外の点でも評価されます。もちろん画力は元のアイデアを何倍にも増幅して伝えることができるので、絵が上手い人のファンアートは沢山拡散されることになります。
こういった事象を繰り返し、SNS以降のインターネットのタイムラインには常にハイレベルな作品が並ぶようになりました。この現象によって、イラストを描かない人も、知らず知らずのうちに目が肥えていくのです。
その「上手さ」を言語化ができるかどうかはともかくとして、技術力の高さがここまで評価されているのは、業界が成熟してきた証とも言えます。
目次
- Adoの楽曲に見る、スキルでのアプローチ──技術が評価される時代
- まじで上手すぎる
- かつてのベンチマークは漫画家だった?
- 絵の「上手さ」とは何か? 画力を評価するために
- 審美眼を身につけるには、時間がかかる
- 筆者が衝撃を受けた、クリエイティブを紹介
- 上手さへの渇望が市場をつくる
クリエイターがスキルアップに傾倒し、ファンがそれを評価していくという状況は、イラストだけではなく、社会全体に言えるかもしれません。有名なところだと歌手のAdo氏は本人の歌唱技術もさることながら、提供される楽曲も凄まじくテクニカルなことで知られています。
以前、こちらの記事が話題になり、私もとても興味深く拝読させていただきました。
どういうことかというと、歌手の役割は、音楽、曲のイメージを聞き手に伝えることなのに、Adoとなると曲そっちのけで彼女のボーカルが圧倒的だという評価であふれてしまう。これでは本末転倒なのではないでしょうか?Adoの歌唱力に「うますぎる」相次ぐ絶賛の声も…最近の日本のヒット曲が“脆い”と感じる理由
おっしゃる意図はわかるものの、Adoは「クリエイターとしてある種のエゴでもある技術へのアプローチをエンターテイメント化した」と私は解釈しています。
技術力がメジャーで評価されることは日本のマーケットでは珍しいです。彼女の曲や歌詞を提供している作家も、やはり技術をエンターテイメントにするために、高度なチャレンジをしていると思うのです。「Adoであれば、ここまで難しいことをやっても歌いきってくれる。そして色んな人が聴いてくれるだろう」という考えがあったと思います。これは素晴らしい自信であり、チャレンジです。
『Show(唱)』の作詞担当であるTOPHAMHAT-KYOを私は10年ほど追いかけていますが、彼も天才的な歌唱技術の持ち主です。Ado自身もTOPHAMHAT-KYOの歌唱に近づけているところもあり、才能と才能がぶつかって高みに行く様を感じました。
日本におけるポップソングとは、歌いやすく、共感しやすいものが人気となります。高難易度という点で評価されることは少なかったと考えています。テクニカルな歌唱や歌詞が評価されるジャンルにヒップホップがありますが、これもここ10年間でメジャーになってきたもので、やはり技術力を楽しむというカルチャーが浸透してきたと感じています。
世界のヒットチャートを見ると、イギリスを起点にした70年代のプログレッシブ・ロックの時代から超絶技巧を楽しむ文化がありました。近年のK-POPブームもハイレベルな歌唱やダンスが人気です。Adoが世界から評価されているのも、技術的な側面がおおいに影響していると考えています。
実際、今のイラストは超絶技巧と呼んでも良いクリエイティブが増えています。以下は、私が驚いたいくつかの作品です。
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