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  • 2024.06.08

商業イラストレーターにとって「コミュ力」や「営業力」が二の次である理由

商業イラストレーターにとって「コミュ力」や「営業力」が二の次である理由

クリエイター

この記事の制作者たち

イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる新連載「令和のネット絵学」。

今回は、イラストレーターが食っていくために必要なスキルについて。

SNS上ではしばしば、営業力やコミュニケーション能力などが取り沙汰されますが、筆者は断言しています。

目次

  1. 結局は画力が全てである
  2. 迂回手段としての”コミュニケーション能力”
  3. 画力不足は、あらゆる地獄を引き寄せる
  4. 発注側の見極めスキルも求められる
  5. 画力と同等に重要なものがあるとしたら、メンタルコントロール
  6. 企画ができる絵描きはめちゃくちゃ強い
  7. コミュ力は画力には敵わない

結局は画力が全てである

職業イラストレーターにとっての必要なスキルは、尽きない話題の一つです。

SNSなどでは、職業イラストレーターに必要なスキルとして営業力、コミュニケーション能力や契約書の読み方がよく取り上げられます。もちろんこれらのスキルは非常に重要です。特に法律の知識は、クリティカルな問題を回避し、請負契約や著作権法について知っておくことで、重大なトラブルを防ぐことができます。

しかし、私は「これらが職業イラストレーターにとって最も重要な資質ではない」と考えています。

では、一体何が最も重要なものかというと、それは圧倒的な画力です。画力があれば他のことは些細な問題になります。プロのイラストレーター、特にトップクリエイターと呼ばれる人たちは契約や法律に詳しくなくても大いに活躍し、高収入を得ています。

「もっとも恐るべき化物とは何か わかるかねインテグラ」
「………吸血鬼」
「そうだその通りだよ 我らが宿敵吸血鬼だよインテグラ
では何故吸血鬼はそれほどまでに恐ろしい?
〜中略〜
「…………力が強い?」
「そうだ 吸血鬼はとっても力持ちなのだよ インテグラ
反射神経 集中力 第六感 身体能力 特殊能力
耐久力 吸血能力 変身能力 不死性 etc etc
しかし最も恐るべきはその純粋な暴力………『力』だ
平野耕太『HELLSING』4巻より

純粋な力は全てを解決します。商業イラストレーターを目指すのであれば、営業力ではなく、画力をたたき上げるべきです

画力といっても、デッサン、構成や色使い、モチーフの選定など、様々なセンスがあります。もちろんその人独自の視点やタッチ、ユニークな魅力など、表現の範囲は広いです。これらのスキルが総じて高いレベルに達していれば、自然と仕事が舞い込んできます。

人気商業絵描き唯一の共通点は、画力が高いことです。特に現在のトップクリエイターは漏れなくバカ高い画力を持っています。これに気付けるかどうか、取り組めるかどうかが商業クリエイターを目指す上での大きな分水嶺になります

迂回手段としての”コミュニケーション能力”

イラストのプロを目指す学生と話す時によく聞かれるのが、コミュニケーション能力や営業の方法についてです。

繰り返しますが、特に初心者を自覚している内はまず画力を最強レベルまで引き上げることが最優先です。あるモチーフをものすごく正確にあらゆる角度で描けるだけでも、業界ではレアスキルです。多くの方が仕事を得られないのは、営業力ではなく、画力の不足によります。

では、なぜSNSではコミュニケーション能力が強調されるのか。それは、大前提としてプロのイラストレーターたちがすでに画力を高いレベルまで持っているからです。すでに画力のある彼らにとってのボトムネックは、むしろコミュニケーションや交渉のスキルに移ります。

学習者からすると画力を鍛えるのはしんどいので、その迂回手段として「コミュニケーションや営業」を頑張ることに目が行きがちになります。

繰り返しますが、それはそれで大事なのです。しかし画力を鍛えることで、そもそものコミュニケーションにおいての問題も回避することもできたりします。

画力不足は、あらゆる地獄を引き寄せる

実際、私はコミュニケーションが多少できるタイプの絵描きだと思います。しかしその程度のコミュニケーション能力で画力不足をフォローすることはできないのです。

思い出すのが、私がゲーム会社でイラストレーターをやっていた時の話です。

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画力と同時に重要なものは、メンタルコントロールと企画力