ゲームの画像解剖 ドット絵表現が生み出した構図たち
2020.02.07
クリエイター
この記事の制作者たち
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる新連載「令和のネット絵学」。
今回は、イラストレーターであり、広告や画集などを手掛けるプランナー・ディレクターでもある筆者が、イラストレーターに限らず、クリエイターに仕事を頼む「発注」の極意を明かします。
目次
- 仕事は必ず「発注」から生まれる
- 発注のお作法は、この10年で進化した
- どんなに忙しくても”あの人のため”なら予定は無限に空く
- クリエイターのモチベーション3原則
- 発注とは、力学を理解した上で設計をすることである
- 発注成功のための、たった一つの鍵
- 考えて、考えて、考えて、言葉を尽くす
- 主役はあくまで企画、それでもストライカーには劇的なゴールを!
イラストに限らず、仕事は「発注」から生まれます。誰に、何を、どのようにお願いするかが、プロジェクトにおけるすべてと言っても過言ではないでしょう。
生産工場の持つ技術の範囲で発注していると現状維持になって、工場が成長しない。だから工場のキャパシティを少しだけ超えるようなものを発注していかなきゃダメなんだ、という話です。発注ってのは、そこまで考えてやるもんなのか、と感動しちゃったんですね。「「発注」から日本社会を考える──若林恵×tofubeats対談。渋谷キャスト7周年祭をレポート」より
特にイラストの発注や受注についてはSNSでも議論の的となります。受発注のお作法に関することはこの10年で大きく発展しましたが、これはあくまでも最低要件の話であり、クリエイターのキャリアパスを踏まえた発注のあり方についてはまだまだ議論の途上だと私は考えています。
#この絵で仕事が来ました
サウジアラビアで現実に街を作る事ができました✍️✨ pic.twitter.com/VKRl67pcNU— ケイゴイノウエ/KEIGO INOUE (@mushiki_k) June 29, 2024
発注は単純なようで実に奥深い。まず企画があって、それを進行するためにはやってほしいことに対して仕事相手の能力を見積もる力、コミュニケーション力、不確実性に対する調整力など、様々なスキルが必要です。
今回はイラスト仕事の受発注とそのメカニズムについてお話していきます。
2010年前後のイラスト業務は、特にゲーム業界で無茶な発注が横行していました。業界に発注のノウハウがないのに短納期、低報酬といった待遇の悪い案件が多かったのです。
2020年以降はゲーム業界も発注のお作法を学び、トラブルが減っているように感じます。企業の淘汰が進み、10年ほどかけてノウハウが蓄積した結果です。逆に比較的若い業界であるVTuberなどは、まだまだ商習慣が確立されないほど浅い歴史と言えるでしょう。
こういった発注によるトラブルを避けるため、SNSでは有志による発注文面が共有されます。金額の提示、掲載メディア、締め切りなどの基本的な要件を受注サイドが理解することはとても重要です。下請けは弱い立場になってしまうこともあるので、特にフリーの案件を受注する時には注意すべきでしょう。
こういった仕事発注に関する周知においては「安価 or 無償で受けてはいけない」「タイトなスケジュールはダメ」といった言葉が使われがちです。実際にその通りではあります。ギャラが高いに越したことはありませんし、納期は余裕がある方がありがたいです。私もフリーランス経験が長いのでわかります。
一方で、現実にはこれらの要件から大きく外れているケースでも仕事を受注することがあります。もちろん、新人作家など仕事が全然取れない場合、条件が悪くても受けることはあります。しかし実は仕事がたくさん来ている人気のクリエイターでも、低報酬、短納期の案件を請ける場合もあるのです。
この違いについて考えていきます。
私に関することで言えば、好きな案件なら喜んで働く人間です。そもそもイラストというものは、創造性の領域であるため、「お金は二の次」という考えがあります。もちろん0か100かの話ではなく、そこにはグラデーションがあります。
この割合は人によっても違うと思いますが、私が知る限り、金銭面とやりがいとで、極端にどちらかに振り切って仕事を選んでいる人はいません。「やりがい搾取」という言葉はありますが、実際問題としてやりがいは重要です。搾取はダメですが、経済条件が良く、やりがいもある仕事であれば言うことはないのではないでしょうか。
仕事の受注やマッチングは、恋愛に似ているというのが私の持論です。好きでもない相手からデートに誘われたら断るかもしれませんが、気になる人から誘われたら予定が詰まっていても、調整するものです。クリエイティブの場合、仕事でも同じです。
私には心から尊敬するクリエイターが何人かいますが、その人から「手伝ってほしい」と言われたら、自分の持てる力をすべて発揮して全身全霊で頑張ります。例えば憧れの有名作家から「これやって」と言われたら喜んで仕事をするでしょう。私以外にも同様のクリエイターは多いのではないかと考えてます。(まぁ、それがゆえにこの業界は搾取構造になりがちなのですが……)
もちろん多くの発注者はカリスマ性も知名度もありません。それゆえに、クリエイターに良い仕事をしてもらうためのスキルを磨く必要があります。そして、仕事を終えた後でも「この人に頼んで良かった」「引き受けて良かった」となるような関係を築くことが大切です。
そうしたことを踏まえつつまとめると、私は、クリエイターのモチベーションは以下の3つだと考えています。
続きを読むにはメンバーシップ登録が必要です
今すぐ10日間無料お試しを始めて記事の続きを読もう
残り 3613文字 / 画像2枚
800本以上のオリジナルコンテンツを読み放題
KAI-YOU Discordコミュニティへの参加
メンバー限定イベントやラジオ配信、先行特典も
※初回登録の方に限り、無料お試し期間中に解約した場合、料金は一切かかりません。
様々なジャンルの最前線で活躍するクリエイターや識者を中心に、思想や作品、実態に迫る取材をお届け
様々な記事の中から編集部で厳選したイチオシ作品をご紹介
ラッパー/ライター/編集
現代の日本の音楽シーンを語るなら、ボカロ文化は不可欠。2020年代のボカロ曲において、音楽的な独自性はどこにあるのか? 柴那典さんが「MAJ2025」受賞候補曲から考えます。
ライター
『ブルーアーカイブ』の青い色彩設計、そしてエデン条約のストーリー。この2つを柱に日本のサブカルチャーがアジアにどんな影響を与えたか、韓国でどう花開いたかを紐解きます
ライター
ぶいすぽっ!所属の蝶屋はなびさん。普段から前向きな姿勢を崩さない彼女のひたむきさはどこから来ているのかうかがいました。格ゲートークも充実!
編集
語られざる、違法な海賊版トレーディングカードゲームの歴史。世界広しと言えども、この解像度でその歴史を紡げる人は、SF作家・ゲームコレクターである赤野工作氏しかいない。
編集
結局、同人誌って違法なの? 実在する「VTuber」の二次創作、もしかして肖像権侵害や侮辱罪に当たっちゃう? 令和版、同人文化への最新の法的動向を弁護士に根掘り葉掘り聞いてます。
編集
日本語ラップを、構造的に理解する──音楽としてでもライフスタイルとしてでもない、新しいヒップホップの解釈を提示してもらっています。
編集
オタク/ラップのトップランナーだからこそ語れる“ニコラップ”の世界。懐かしいだけじゃなく、今に接続される話になっています。
ライター・編集者
減らないVTuberの活動休止について、根本的な原因を九条林檎さんに聞きました。推しのVTuberがいる方は、ぜひ読んでもらいたい内容です。