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2024.07.31
個人勢VTuberのすかぽんたん.さんは7月8日、誹謗中傷者への開示請求および損害賠償請求に向けた資金調達を、クラウドファンディングで実施すると発表した。
クラウドファンディングは、muevo(ミュエボ)社が運営するVTuber/VSinger専門クラウドファンディングプラットフォーム・ぶいクラ!。
期間は7月12日(金)〜8月31日(土)、目標金額は200万円。目標金額達成の如何に関わらず、発信者情報開示請求は提訴される予定だ。
VTuberなどのクリエイターがこのように訴訟を目的としたクラウドファンディングを実施することは稀だろう。
本記事は、発信者情報開示請求に向けてクラウドファンディングの実施を検討しているVTuberも対象に、解説を行う。
目次
- アンチコメに負けたくない」すかぽんたん.がファンからの支援を募る経緯
- VTuberの裁判に向けた、クラウドファンディングによる資金援助は救済か?
- VTuberが発信者情報開示請求を実施した事例 天開司は数十万円を捻出
- クラウドファンディングは、誹謗中傷に苦しむ個人クリエイターへの救いになるか?
- 懸念点①:時間との勝負 プロバイダのログ保存期間
- 懸念点②:リターンの負担との付き合い方
- 懸念点③:クラウドファンディングは手数料などが必要に
- 懸念点④:裁判費用の募集がクラウドファンディングで認められない可能性も
- 訴訟関連の支援募集を専門的に扱う“リーガルファンディング”も登場
- 止まぬインターネットでの誹謗中傷に対する議論は進む
- 法改正で申請数が増加 投稿削除に向けて改正も
※本稿は、2024年7月にKAI-YOU.netで掲載されたものを再構成している
ゲーム配信や歌ってみた動画などを中心に活動するVTuber・すかぽんたん.さんは6月20日、ゲーム『Apex Legends』のプレイヤーコーチとして活動するBraverさんとの交際/同棲を公表した。
公表の理由については「配信中に声が乗ってしまう可能性があることを考慮」したためと説明している。
— すかぽんたん.@Vtuber (@__Sukapon) June 20, 2024
発表に対する賛否は受け止めていたとする一方で、クラウドファンディングページの説明よれば「明らかに誹謗中傷を目的とした内容」も散見されたという。今回そうした投稿を行った発信者に対して提訴する構えだ。
すかぽんたん.さんは今回、開示請求および損害賠償請求のためのクラウドファンディングを実施。
同クラウドファンディングページでは「個人VTuberである私が成功の前例を作ることで誹謗中傷に悩む活動者の方々に勇気を持っていただけるのではないか」と意義をコメントしている(外部リンク)。
Webメディア・MoguLive!が2022年に実施した「VTuber職業意識調査」では、専業として活動しているVTuberの割合は約11.9%と1割程度。
また、50.7%と約半数はまだ収益を得られておらず、月収平均が20万円上回るのは6%に留まる(外部リンク)。
一方、発信者情報開示請求にかかる費用について、アトム法律事務所は自社サイトで、裁判所の手続き費用として数万円、弁護士に依頼する場合は数十万円から100万円程度が相場と説明(外部リンク)。
また、この費用は提訴側が誹謗中傷と判断し、裁判所に持ち込んだ投稿件数に応じて費用はかさむ。月々のVTuberの稼ぎだけでは、提訴が難しいケースがほとんどだろう。
そうした中で、すかぽんたん.さんのようにクラウドファンディングで資金を募ることで、普段の活動では得られない多額の資金が手元に入る可能性がある。
VTuberが情報開示請求を実施した事例はこれまでにも複数ある。公言している中では、天開司さんなどが挙げられる。
天開司さんは、自身へ誹謗中傷を行うアカウントを特定するために、コンテンツプロバイダ(SNS運営事業者)への発信者情報開示請求を実施し、認められた。
一方で、アンチの投稿からログを保存する義務期間である3か月が過ぎ、プロバイダ(通信会社)への裁判を起こすことはできなかった。
天開司さんは2024年2月に公開した動画の中で「今ね、開示請求を考えている人はね、すぐ動いた方がいいです」と言及している。
なおこの事例では、2022年のプロバイダ責任制限法(新名称:
情報流通プラットフォーム対処法)の改正により可能になった、コンテンツプロバイダとプロバイダに一体的に請求できる制度は利用していないとのこと。
これは開示までに時間がかかる可能性があることを弁護士が考慮した上での対処だったという。
動画によると、天開司さんの場合は手続きなどに数十万円を捻出したようだ。
クラウドファンディングを用いた開示請求費用の補填は、メリットもある一方でリスクもある。
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