若いオタクはアニメからVTuberに流れたのか? 7つのポイントから考察
2022.07.31
TRPGブームの仕掛け人たちがブームの象徴として語ったVTuber参入。
その当事者として、デビュー前からファンであり続けてきた白上フブキが語るTRPGの沼とは。
クリエイター
この記事の制作者たち
卓修羅──それは、TRPGを修羅のごとく遊び倒す傑物のことを指す(TRPGではセッションのことを「卓」と呼んだりする)。
今回登場いただくのは、バーチャルYouTuber(VTuber)界の卓修羅が一人、白上フブキだ。
現在YouTubeでブームを巻き起こすTRPG。彼女は、デビュー以前からTRPGをプレイし、今も活発に配信に参加しているホロライブ1期生である。
TRPGの歩みを知る人物たちの口からその歴史が語られてきた本連載では、大きな変化としてVTuberたちの参戦が挙げられてきた。
その当事者からは、一体どんな風景が見えていたのか。
目次
- 白上フブキがTRPG沼に堕ちるまで
- ネタバレが怖くて動画が見れない
- 印象に残ったセッション「彼方からの君に捧ぐ」
- 感情の揺さぶり方を模索した『カタシロRebuild』
- 「ノートに書いてきたオリキャラになろう」
- 沼がひろがると堕ちる人が増える、素晴らしきループ
- 論文並みの設定をつづる白上流キャラクター作成術
- 怪異「白上フブキ」誕生?
- 「CV.櫻井孝宏」になりたい
──白上さんはTRPGファンとしても有名ですが、TRPGを始められたきっかけはなんだったのでしょうか。
白上 友達から誘われたのが一番最初ですね。初めてプレイしたのは『クトゥルフ神話TRPG』(以下『クトゥルフ』)の「毒入りスープ」っていうシナリオでした。
──『クトゥルフ』の初心者向けシナリオの定番として有名なものですね。
白上 お友達と4人で参加したんですが、その時のゲームマスター(以下GM)がかなり経験豊富な人で、「できそうだったら、思いついたことを自由にやってもいいよ」って言ってくれて。
──思いついたことがなんでも起こりうる自由さは、TRPGの醍醐味の1つですね。
白上 それで、参加者の1人が時間を止められる某アニメキャラを自分のキャラクターとして使っていたんですよ(笑)。
時間が経つとスープが冷めていくんですけど、「スープの蓋を閉め忘れたので時間を止めて蓋を閉めに行っていいですか?」とか提案していて。GMは、「最初は楽しんでほしい」っていうスタンスでやれそうなことを全部許可してくれたので「これは面白いぞ」と思いました。
──システムとしては、『クトゥルフ』で遊ぶことが多かったのでしょうか?
白上 『クトゥルフ』と『魔道書大戦RPG マギカロギア』が多かったですね。
他にも、『スチームパンク飛空艇TRPG 歯車の塔の探空士』、『忍術バトルRPG シノビガミ』、『バディサスペンスTRPG フタリソウサ』、配信でも遊んだ『ダブルクロスThe3rdEdition 』もやりました。誘われてルールブックだけ持っていて、結局やってないのも結構あります。
──かなり遊ばれていますね。それは、友達とどこかに集まって遊んでいたんですか?
白上 いえ、オンラインでしたね。オフラインでは1、2回ぐらいしかやったことがありません。集まって直接ダイスを振るのも楽しいんですけどね。
──年間ではどれくらい遊ばれているんでしょうか?
白上 以前は週に5卓とか、頭おかしいくらいやっている時期もありました!
卓が立つとその卓が終了する前に卓が立つ(^・ω・^§)ノ🌽
そんなTRPG生活…最高ですね✨✨— 白上フブキ@ホロライブ🌽∞⛩ (@shirakamifubuki) January 18, 2020
──事前準備や、実際のプレイも数時間かかることを考えると尋常じゃない数ですね。TRPGプレイヤー同士では、すごい頻度で遊んでいる人を「卓修羅」ということもあります。
白上 卓修羅でしたね(笑)。さすがに短いシナリオや、プレイヤーとGMが1対1で、1時間、2時間くらいのセッションが多かったですけどね。
今は以前ほどできていませんが、卓修羅の友達を見てると羨ましい部分もあるので、その分「配信でやってやろう」って思っています!
──ニコニコ動画をよく見られていたことも公言されていますが、TRPGのリプレイ動画も?
白上 TRPGを始めてから、他の卓も気になって(リプレイ動画も)見ていしました。ひまつぶし卓さんの「沼男(スワンプマン)は誰だ?」が面白かったなぁ。
白上 でも、自分がGMをやり始めた頃から「いつか自分にこのシナリオを回してくれる人がいるかもしれない」って思うと、リプレイ動画は見れなくなっちゃいました。
──TRPGは基本的に、シナリオの内容を知っているとプレイヤーとして参加できないですからね。プレイヤーとGMでは、どちらで参加されることが多いのでしょうか?
白上 一時期は本当にGMばっかりやっていましたけど、配信ではプレイヤーが多いですね。配信でやったシナリオを、私がGMとして友達に回す場合も多いので半々ぐらいでしょうか。
──「沼男は誰だ?」は、自分のアイデンティティを問うような重厚なシナリオですが、プレイヤーとしては、シナリオの好みはありますか?
白上 ストーリー性があって、ドンっと大ピンチが訪れるシナリオが大好物です。プレイヤー同士が対立するシナリオが苦手なので、協力したり、のんびりしたりする方が好きですね。
──今後プレイしてみたいシナリオはありますか?
白上 ホロライブのメンバーを誘ってGMとして「沼男は誰だ?」を回してみたいですね。
──ぜひ見てみたいです! プレイはかなり経験を積まれていますが、オリジナルのシナリオを書く予定はありますか?
白上 いかにもドラマチックに燃えそうな洋館と、ロリがすごい好きなので、その要素を盛り込んだシナリオを書いてみたいかな。
女の子を犠牲にするかしないか、みたいな王道シチュが好きなので「TRPGあるある」が入ってるのが面白いかなと思います。
──この連載に前回出演いただいたまだら牛さんから、白上さんに「TRPGにどんな体験を求めてやってるのかがすごく気になる」と質問をいただきました。
白上 私の提案を他のプレイヤーやGMさんが「じゃあこういうことにしましょう」みたいに、しっかりとまとめてシナリオに反映させてくれた時が、すっごく楽しいんです。
自分がGMになった時も、みんなと世界やドラマをつくっていって、気持ちよくプレイしてほしいんですよね。
──コミュニケーションを重視されているんですね。
白上 そうですね。みんなでコミュニケーションをとりながらつくっていくのが楽しいです。それと同じくらい、自分のつくったキャラクターをいかにシナリオで輝かせられるかも求めています。
「いい台詞を言ってやろう」とか、「印象に残るロールプレイをしよう」と思いながらプレイしていますね。
あとは、自分の心がグッと動かされるようなものを求めています。
──具体的にグッときたセッションにはどんなものがありますか?
白上 あるセッションで、最後の最後に自分のキャラクターが、相方を救うためには20%の確率をダイスで引き当てないといけなくなっちゃって。
白上 緊張して泣きながらダイスを振ったら、すごくいい出目が出て、本当にギリギリのところでダイスの女神に微笑まれたのは、すごく印象的でした。
──もう脳汁がドバドバですね(笑)。
白上 ドバドバでした(笑)。逆に、自分のキャラクターがもうどうしようもない状況になってしまった時に、状況を打開するために他のキャラクターが動いてくれたのも楽しかったですね。
「みんなどうやってこの状況から助けてくれるんだろう」とワクワクしながら参加しました。
──それはコミュニケーションのゲームならではですね。ダイス以外に、ロールプレイで泣いた経験などもあるんでしょうか?
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