“観る幻覚剤”と話題 Netflixアニメ『ミッドナイト・ゴスペル』は何がヤバいのか?
2020.05.20
本稿は、Webメディア「KAI-YOU」にて2025年12月20日に公開された記事を再構成したものです。
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愛知県名古屋市発の国際アニメーション映画祭「あいち・なごやインターナショナル・アニメーション・フィルム・フェスティバル」(通称・ANIAFF/アニャフ)が12月12日〜17日に開催された。
同イベントは、今回が記念すべき第1回。会期中の12月13日には、人気ゲームを原作とするフル2Dアニメーション作品『SEKIRO: NO DEFEAT』の制作セミナーが行われた。
アニメ『SEKIRO: NO DEFEAT』キービジュアル。キャラクターデザインを担当する岸田隆宏さんが描き下ろした
原作となる戦国末期の忍びの戦いを描いた3Dアクションゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』を、全編手描き、フル2Dで映像化する──。
今回のセミナーは、同作をプロデュースする企業・アーチ(ARCH)の代表をつとめる鈴木哲史さんが進行を担当。監督の沓名(くつな)健一さん、脚本の佐藤卓哉さん、アニメーションプロデューサーの福留俊さんが登壇し、制作の裏側を語った。
取材・文:恩田雄多 編集:小林優介
目次
- 原作は世界で愛される名作ゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』
- 『SEKIRO: NO DEFEAT』PV上映とともに幕を開けたセミナー
- なぜ『SEKIRO』だったのか──Qzil.laというスタジオの挑戦
- 『SEKIRO』の“美しく切ない”物語のために必要な脚本家・佐藤卓哉
- “情緒的に描く能力”はアニメ業界で一番──レジェンドの参加
- “アナログ表現”にこだわり、業界のスーパーアニメーターが集結
- 現代アートと実験的音楽も合流 『SEKIRO』の世界を彩る
- 生成AI使用疑惑から徹底取材まで──Q&Aで明かされた裏側
- 沓名健一監督の原体験「あの動きをもう一度見たかった」
- Web黎明期と“Web系アニメーター”という居場所
アニメ『SEKIRO: NO DEFEAT』の原作は、フロム・ソフトウェアが2019年に発売した和風アクションゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』。
挑戦を繰り返すことで乗り越えられる絶妙な難易度、死生観や主従関係を軸にした物語性、そして日本的な美意識を内包した世界観が合わさり、高い評価を獲得。国内外の複数のアワードも受賞している。
そんな人気タイトルを原作として、2025年9月に2Dアニメーション作品『SEKIRO: NO DEFEAT』の制作が発表。制作は新鋭アニメスタジオのQzil.la(クジラ)が、プロデュースをアーチ株式会社が担当することも明かされた。
セミナーは鈴木哲史さんが登壇し、『SEKIRO: NO DEFEAT』のプロモーション映像が上映されるところからスタートした。
荒々しく躍動する線、異様なまでに情報量の多い画面、そして静謐と緊張が同居する空気──“手描きでしか成立しない異物感”が、短い尺の中に凝縮されていた。
上映終了後、Qzil.laの代表をつとめるアニメーションプロデューサー・福留俊さん、脚本の佐藤卓哉さん、監督の沓名健一さんが登場。
近年は『ぶらどらぶ』『火狩りの王』『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』といった作品で、絵コンテ、演出、作画監督などを担当している沓名監督。彼のキャリアの紹介に続いて、アニメ『SEKIRO: NO DEFEAT』の制作ついて詳細な内容が語られていった。
左から、福留俊さん(Qzil.la代表)、沓名健一監督、佐藤卓哉さん(脚本)、鈴木哲史さん(アーチ代表)
アニメーション制作を担うのは、2021年設立のQzil.la。代表をつとめる福留俊さんによれば、同スタジオは「アニメ産業に超ド級の変化をもたらす」というミッションを掲げている。
福留さん自身はProduction I.G出身。そのためか、Qzil.laもProduction I.GやMAPPAで経験を積んだクリエイターが多く在籍しているのも特徴だ。
福留俊さん(Qzil.la代表)
沓名監督と組むにあたり、福留さんは「監督の挑戦的な作家性と、アクションアニメーターとしての評価を最大限に活かせる題材」を探していた。その中で浮上したのが、ゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』だったという。
一方、沓名監督自身も、原作ゲームをプレイする中で、単なる高難度アクションではなく、日本的な死生観や美意識が一貫して貫かれた作品だと感じていた。
『SEKIRO: NO DEFEAT』PV場面カット
だからこそ、フォトリアルな3DCGではなく「手描きの絵で、あの世界に殴り込みをかけたい」と考えたのだという。
アニメ『SEKIRO: NO DEFEAT』の物語設計において、沓名監督が最初から掲げていたキーワードは「美しさ」と「切なさ」だった。
映像面では美を追求する一方で、ストーリーでは、登場人物たちが背負う運命や感情の揺らぎを、より濃密に描き切りたいと考えていたという。
フロム・ソフトウェア作品の特色として、原作ゲームでは物語が断片的にしか描かれておらず、プレイヤーの解釈に委ねられている部分も多い。それもあって、登場人物の感情表現もどこかストイックなものとなっていた。
『SEKIRO: NO DEFEAT』PV場面カット
だからこそ、アニメーションとして再構築するなら、キャラクターの内面を正面から描き、「切なさ」を物語の芯に据える必要があった。
そこで沓名監督が脚本家として声をかけたのが、佐藤卓哉さんだ。
佐藤さんは『NieA_7(ニア アンダーセブン)』『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』などを手がけ、キャラクターの心情を丁寧にすくい上げる作風で知られる脚本家。オファーは、いわゆる正式ルートではなく、SNSのダイレクトメッセージを通じて行われたという。
佐藤卓哉さん(脚本)
沓名監督は「いわゆる“職業脚本家”的な仕事ではなく、感情の奥行きを一緒に掘り下げてくれる作家と組みたかった」と語り、作品のコンセプトや断片的なビジュアルイメージを直接伝えたという。
それに対し佐藤さんは、フロム・ソフトウェア作品のファンであったこと、そして沓名監督がアクション表現において強い美学を持つクリエイターであることから、この企画に大きな可能性を感じ、参加を即決した。
『SEKIRO: NO DEFEAT』PV場面カット
実際の制作では、脚本会議を毎週実施。脚本、監督だけでなく、作画、美術、音響といった各セクションが横断的に参加し、物語/画/音を同時に組み上げていく体制が敷かれた。
佐藤さんはこの環境について、「自分にとって理想的な制作現場だった」と振り返る。
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