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  • 2020.04.04

ニーチェを理解するためにも、“ぼくのりりっくのぼうよみ“は辞職した

ニーチェを理解するためにも、“ぼくのりりっくのぼうよみ“は辞職した

2019年1月29日、ラストライブの「葬式」で華々しく最期を飾った「ぼくのりりっくのぼうよみ」(ぼくりり)。

ニコニコ動画に投稿した曲が10代から圧倒的な支持を集め、2015年に高校3年生でメジャーデビュー。その後は、雑誌『文學界』にエッセイを寄稿するなど、数多のフィールドで才能を発揮した。

しかし、デビューから約3年が経った2018年9月、日本テレビ系情報番組『NEWS ZERO』で突然の”辞職”(引退)を宣言。その後辞職するまで、Twitterでの言動に対する炎上騒動を含めて、大きな耳目を集めた。

辞職後の現在は「たなか」名義で、ホストや俳優、モデル、やきいも屋のCEOなどさまざまな分野で活動する彼だが、ぼくりり”辞職”から1年たった今、何を思い、そしてどこへ向かうのか。

メジャーデビューから、ぼくりりを「没落」させることで成し遂げたかったことまで、今こそ紐解く過去・現在・未来。

取材・執筆:EN.Mami 撮影:羊肉るとん 編集:吉谷篤樹 編集補佐:新見直

目次

  1. ぼくりりは「昔描いた絵」
  2. 「壊しても大丈夫だよ」ってことを確かめたかった
  3. 知的好奇心を満たすための「没落」
  4. ただひたすら憎まれたい、嘲笑されたい
  5. 「ない」ことへのコンプレックス

ぼくりりは「昔描いた絵」

──たなかさんが「ぼくのりりっくのぼうよみ」を辞職されてから、2020年1月末で1年が経ちました。ぼくりりから新しく「たなか」となったことで、心境に変化はありましたか?

たなか 心境が変わったというか、もう別の人間になったっていう方が正しくて。

たなかさん

たなか 「ぼくのりりっくのぼうよみ」は自分だったということは覚えてるんですけど、昔描いた絵を見ているような感覚なんですよね。ぼくりりを破壊して1年も経つと、記憶もわりとおぼろげで… あんまり自分自身だったという感覚はないですね。

そうするために、ぼくりり時代とたなか時代をあえてぶつっと切って、めちゃくちゃ非連続的な活動をしてきたんです。

──そもそも「ぼくのりりっくのぼうよみ」を破壊しようとした経緯はなんだったのでしょう?

たなか ぼくりりにはもともと、核となるものがなかったんですよ。

メジャーデビューも、たまたまさせてくれると言っていただいて、しないよりはしておいた方が人生楽しそうだなと思ったからやってみたんです。とにかく流されるままでした。

デビューした後も、ファーストアルバムで好きなことを割とやり尽くしてしまって。セカンドアルバムになると「もうやりたいことないなー」って。でもどんどん人は集まってくるし、「どうしよう…」みたいな感じになって、少しずつ精神の調子がおかしくなっていきました。

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