LAM インタビュー「僕は天才ではない、だけど──」
2020.11.21
オタク趣味が社会に受け入れられ、「推し活」がホットワードとなる現在。
いにしえのオタクムーブで人気を博す2人が語る「TikTok・YouTube論」と「オタク論」とは。
クリエイター
この記事の制作者たち
アニメや漫画、ゲームにアイドルといったオタク趣味がすっかり一般的なものとして社会に受け入れられつつある現代。好きなものや推しへ熱中する姿はもはや羨望のまなざしすら向けられることもあり、オタク趣味を個性として表明するタレントも珍しくない。
オタクの概念が揺らぐ令和のこの世において、「日常生活でカードゲーム用語を使うオタク」、「銀魂みたいなツッコミをするオタク」など人によっては悶絶するようなリアルすぎる「あるある」で人気を博しているのが、硬派ないにしえのオタクによるユニット「なかっさんと田辺」だ。
@nakatana_zuttomo 私たちってTikTokでTierなに?##なかっさんと田辺 ##オタク ##親友 ##あるある ##おすすめ
彼らはTikTokで注目を集め、フォロワー30万人以上を獲得。YouTubeでもチャンネル登録者数12万人以上を集めている。
陰陽で言えば陽というイメージの強いTikTokに確かな勝機を見出した二人が考える現代のオタク像。そして見る者の心を抉り突き刺し、包み込むオタクあるあるに詰め込まれたいにしえのオタクとしてのハードな信念を語っていただいた。
目次
- 一番楽しくてキモかった、オタクとしての原点
- TikTokにも仲間(アニメアイコン)たちがいた
- オタクはどうしてイキってしまうのか?
- 逆張りキッズを育む『デジモン』の必要性
- カドショでイチャつくカップルは許せない?
- オタクは最後の受け皿じゃない、「好き」を選んだからなったはず
- なかっさんと田辺サイン入りスリーブ・チェキを2名にプレゼント
──そもそも、お2人のオタクとしての目覚めはいつでしたか?
なかっさん 大きなきっかけは中1の時に『涼宮ハルヒの憂鬱』に出会ったことかもしれません、そこからアニメを見るようになり二次元にハマっていったので。ただ、カードゲームとの付き合いはもう少し前からで、小学生の頃からずっと『デュエル・マスターズ』にハマっていました。
決定的に今に繋がるような分岐点は小学校4年生の時にあったんですけど、1年生からずっとやっていた野球を『デュエマ』のために辞めたんですよ。
──『デュエマ』のために野球を辞めた?!
なかっさん 当時の僕は大会に出れば普通に優勝するようなレベルで『デュエマ』が強かったんですけど、毎週土日に野球の練習があるせいで週末に開催される強者が集うような大きな大会に出れなかったんですよ。それが納得いかなくて。
田辺 王である俺のいないところで何をやってるんだと。
なかっさん そう、だからお母さんに病気っぽいってウソついて野球を辞めて、それからはもう『デュエマ』漬けの日々でした。中学生になる頃には「バキュームロック」(注1)を使って小学生相手にイキったりしてましたね。
(注1)「バキュームロック」は相手のデッキの一番上(次に引くカード)に来るカードを操作して動きを大幅に制限する戦法を得意とするデッキ。
田辺 小学生相手にイキる時点でアウトなのに、ロックデッキでじわじわ嫌がらせするとか一番キモいからな!
なかっさん そのうちアニメに出会って。当時ハマっていた『とらドラ!』をリアタイするために深夜のテレビを見ていたら、偶然AKB48の「AKBINGO!」が目に入り、そこで大島優子さんに出会ってからアイドルを応援するようになりました。
だから、アニメにハマっていたピークはその頃で、いつまでも『CLANNAD』とか『とらドラ!』の話をしているタイプなんです。たまにTwitterでトレンドに上がったりするとすぐ反応して、「もう10年経ったとか信じられないわ~」とかいうツイートをするタイプのオタク。
田辺 最近そういうオタクがほんとに多いですよね。TikTokで昔のアニソンが流行ったりするとお前ら元ネタわかってんのかってマウントとったり。
──令和最新型のオタクあるあるですね、田辺さんはいかがでしょう?
田辺 生まれが田舎の方だったので、そもそもアニメが全然放送されてなかったんですよ。テレビ東京なんか映らないし、今みたいに配信もないし。
かろうじて『ONE PIECE』とかは見れたんですけど、普通は日曜の夜にやっている作品が木曜の夕方とかにやってましたからね。
なかっさん 『アンパンマン』とかの時間じゃん(笑)!そもそもテレ東が映らない環境で生きていける自信がない。
田辺 そうやって最新のものに触れられないから、インターネットで情報収集したり、『アニメージュ』とかの雑誌からかき集めるように知識を得ていたんです。
なかっさんみたいに大きなきっかけがあったわけじゃないんですが、クラスのみんなが『コロコロコミック』に夢中になっているのに逆張りで『コミックボンボン』を愛読していたあたりからもうオタクとしての道は始まってはいましたね。
強いて言えば兄貴が買ってきた『声優グランプリ』を読んだ時に全てが狂い始めたような気がします。
でも、一番思い出深いのは『遊戯王』のファンサイトでチャットに入り浸ってたことですね。そこでの交流が一番楽しくてキモかった。
田辺 今でこそビデオ通話を繋いでリモート対戦とかが普通になってますけど、当時はチャットだけでそれぞれの行動やカードの効果を打ち込んで遠隔デュエルしてたんです。
お互い相手の手元が見えてないから、普通ならあり得ないようなデッキの回り方をしたり、理不尽なまでのワンキルとかが横行してた地獄だったんですけど、なぜかそれがものすごく楽しかったんですよ(笑)。
そこで仲良くなった人と、オフ会とまではいかなかったけど交流は深くて、電話番号を交換して家電同士で通話したりもしました。元気かな…ドラビア侍さん…。
──ドラビア侍さん。ザ・インターネットみたいなハンドルネームですね。
田辺 ドラえもんとトリビアでドラビアだったかな…。ドラビア侍さんは『遊戯王』のSSも書いてて、それがすごい面白かったんですよね。『遊戯王GX』のライバルキャラの万城目を主人公にしていたし、そういう逆張り精神の強さでも惹かれ合ってた。
めちゃくちゃ脱線しましたけど、とにかくアニメは見れないし最新情報も手に入らない環境だったので、インターネットで同志との交流を楽しんでいたんです。12時を過ぎたらテレビは映らないし、たまに深夜アニメを放送してくれると思ったら2週間遅れとかだし、オタクたちは唯一の聖地であるアニメイトに集っていた。
なかっさん その唯一の聖地にはどれくらいかけていってたの?
田辺 俺は自転車で通ってたけど、車で一時間かけてなんてオタクもいたよ。
なかっさん 僕の場合は自転車で秋葉原に行けていたから、全然感覚が違うんだろうな。
田辺 え、マウントとってる?
──ではお二人ともかなり境遇の違うオタク人生を歩まれているんですね。
田辺 そもそも属性も違うんですよ。たとえばアイドルにしても、僕も一応好きで応援したりはしますけど、なかっさんはもっとガッツリで、推しに専念して応援したりオタクコミュニティを自らつくり上げたりもしてたんだよね?
なかっさん モバゲーでサークルをつくったり、そのメンバーと実際にイベントで交流したりするアクティブなタイプのオタクでしたね。その頃の交流はいまだに続いていて、家を借りる時に連帯保証人になってくれた人もいます。
──普通の友達でもなかなかそこまでの関係を深めるのは難しい絆はないと思いますが…。
田辺 普通の人でいうところの部活と同じで、青春時代を共にした仲間ですから。そりゃ絆も深いし、ずっと仲良くしていける同志なんだと思います。ドラちゃんは今何してんだろうな~!
──お2人は「オタクあるある」というTikTokのユーザー層のイメージとはかけ離れたイメージのネタで人気を博していますが、そもそもなぜ動画を投稿しようと思ったのでしょう?
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