2023年12月、人気ゲームシリーズの最新作である『Grand Theft Auto VI』のトレーラーが発表された。内部情報やトレイラーそれ自体のリークなどで発表日が前倒しになるなど順風満帆とは言えないスタートだったが、それでも再生数は瞬く間に1億回を突破し、シリーズの凄まじいまでの注目度の高さが証明されることとなった。

発売は来年2025年とのことで、今から「待ちきれない」と感じているプレイヤーの方も多いであろう。筆者もそんな、『Grand Theft Auto VI』を心待ちにしているプレイヤーのうちの一人だ。

『Grand Theft Auto』、略して『GTA』はアメリカを舞台にし、主に犯罪を取り扱ったゲームのシリーズで、タイトルになっている「グランド・セフト・オート」は「車両窃盗」を指す。特に（3DのTPS視点となった）『3』以降の作品は出るたびに大ヒットし、世界的に数多くの熱狂的なファンを獲得している。

現行のシリーズ最新作である『Grand Theft Auto V（以下GTAV）』は2013年9月に発売された。『GTAV』はギネスの「24時間で最も売れたビデオゲーム」などいくつかの部門で新記録を樹立するなど伝説的な販売数を誇るゲームであり、発売から10年以上が経過した今でも国内外問わずその人気は衰えることを知らない。

ビデオゲームの人気を一概に語ることは難しいが、一つの基準として、『GTAV』はTwitchの視聴者数やSteamの「最もプレイされたゲーム」のデータでも常に上位をキープし続けている。

配信プラットフォーム・Twitchの視聴者数ランキング

Twitchの視聴者数においては「世界で最も人気の高いオンラインゲーム」とも称される『Leagues of Legends』や同メーカーの人気FPS『VALORANT』、または『Minecraft』のような「定番」ゲームの人気にも引けをとらない。

というか、国外では『GTAV』もまた一つの「定番」ゲームとして広く認識されているように思う。あくまで主観ではあるが、『GTAV』の人気は国外のほうが強く、国内での人気は（それなりにあるとはいえ）諸外国よりも控えめという印象だ。

『GTAV』が長く遊ばれている理由の一つが、そのオンラインモードである『Grand Theft Auto Online（以下GTAO）』だ。便宜上「オンラインモード」と称したが、『GTAO』はコンシューマ版ではクライアントが独立して販売されていることもあり、独立した一つのゲームと見なすこともできるかもしれない。

実際、幾度とないアップデートによりそのコンテンツ量は元の『GTAV』のシングルプレイストーリーモードを遥かに超えるものとなっている。

PC向けゲーム販売プラットフォーム・Steamのプレイヤー数ランキング

筆者も細く長く『GTAO』を楽しんでいるプレイヤーであるが、本作の巨大さは、少なくとも同ジャンルのオンラインゲームとしては他に類がないものだと思う。こんなにいろいろなことができるゲームは、他にあまりやったことがない。

（邪推ではあるが）『GTAO』がここまで成功したことと、今に至るまでコンテンツを拡大しつづけていることはおそらく『GTAVI』の開発にも影響を与えただろうし、『GTAVI』が出るまでにこれほどの時間がかかったのは『GTAO』のせいではなかろうか、とすら筆者は考えている。

近年『GTAO』は国内のストリーマーにも話題となっており、特に「FiveM」というMOD（詳しい説明は後述する）を用いた「ストグラ」や「VCR GTA」というストリーマーサーバーを用いた配信イベントには人気のストリーマーやVTuber、芸能人などが多数参加し、かなり大きな盛り上がりとなっている。

さて、前置きが長くなったが、今回の記事はそんな『GTAV』『GTAO』のことを振り返り、何がそれほど人気なのか、何がそれほどすごいのかを紹介していくものとなっている。

記事中のゲーム画面はすべて筆者によるスクリーンショット

目次

1. 『Grand Theft Auto V』は自由度の高さがウリのゴージャスなゲーム
2. 強盗で稼いだお金であらゆる物を手に入れる『Grand Theft Auto Onlie』
3. ドライブや自撮り、金策とは関係ない豊かな時間も過ごせる
4. MOD「FiveM」で広がる犯罪以外の遊び方
5. 『GTAO』でコンテンツ量に圧倒される体験を

『Grand Theft Auto V』は自由度の高さがウリのゴージャスなゲーム

『GTAO』の話をする前にまずはざっくりと、元となっている『GTAV』のストーリーモードについておさらいしよう。

前述したように『GTAV』は記録的な販売数を誇るゲームではあるが、内容は万人向けとは言い難い。題材が犯罪行為で、非倫理的だったり暴力的だったりする要素をかなり含むからだ。ゲームは成人指定で販売されている。

『GTAV』というゲームのジャンルを一言で説明するのは難しいが、主に広大なオープンワールドで銃撃戦を楽しむアクションシューティングゲームであり、現在のバージョンでは視点を切り替えることができるためFPSとしてもTPSとしても遊ぶことができる。

また、自動車を運転し、カーチェイスを行うパートが多く存在するのも特徴の一つとなっている。舞台となっているのはロサンゼルスをモデルとした架空の都市「ロスサントス」を含む「サンアンドレアス州」で、都市部から山間部など様々な地域が存在している。

左からマイケル、フランクリン、トレバー

ストーリーモードではプレイヤーはマイケル、フランクリン、トレバーという3人の主人公を切り替えながら進行していくことになる。ストーリーにはややシリアスな場面も存在するが、基本的には不謹慎かつ暴力的なコメディと言ってしまってよいだろう。現実をパロディしたり皮肉ったりするような要素が多数登場し、思わず苦笑してしまうような場面も多い。