謎に包まれた「INSOMNIA MC BATTLE」主催者を直撃 「FSLの失敗」を横目に、MCバトルシーンの改革なるか
2025.07.12
『ストリートファイター6』は今や、プロとストリーマーが拳を交わすリングだ。
立川は、世界を見据えたプロ選手として、プレイヤーとコミュニティを育むコーチとして実績を積み重ねてきた。甘結もかは、ファンに「楽しい」を届けるだけでなく「勝ちたい」という誇りを掲げている。
クリエイター
この記事の制作者たち
両国国技館を舞台に繰り広げられた「VSPO! SHOWDOWN」。その中でも『ストリートファイター6(以下、スト6)』での立川さんと甘結もかさんの攻防は、見届けた多くの人々の感情を揺さぶった。
立川さんは2024年、世界大会「Esports World Cup」で3位タイに入賞し、2025年5月にはCrazy Raccoonへと移籍。国内だけでなく海外大会への挑戦も積極的に行う、いま最も勢いのあるプロ格闘ゲーマーの一人だ。
彼の眼差しの先にあるのは勝利だけではなく、格闘ゲームコミュニティへの愛情や貢献。そしてそのコミュニティを広げるための活動のひとつがコーチングだ。
甘結もかさんは2024年11月、ぶいすぽっ!からデビューしたVTuber。『ストリートファイター5(以下、スト5)』でULTIMATE GRAND MASTERに到達し、『ストリートファイター6』では豪鬼を操りLEGENDランクへ上り詰めた実績を持つ。その姿勢は、VTuberの枠を越え、プロと同じ土俵に立ちたいという求道者のものに近い。雰囲気や語り口は穏やかで柔らかくとも、内には「勝ちたい」という純粋で強い欲望を宿している。
本インタビューでは、両国での対戦を掘り下げて、キャラ選択の基準、練習と休養のバランスを聞くだけでなく、立川さんのコーチング哲学や甘結もかさんの『スト6』への思いを語っていただいた。二人が考える『スト6』コミュニティの変化と未来、格闘ゲームを通じて生まれる共鳴や支え合い。その熱気が二人の言葉から立ち上がってくる。
目次
- 両国の舞台で感じた声援、それぞれの準備とコーチング
- コーチングでわかったプロと配信者、立川が語る「勝利」と「楽しさ」のゴール設定
- SHAKAさんやトワ様へ「教えた」ことから得られる学び
- 甘結もかは「ストリートファイター」を誇りにしたい
- プロとVTuber──『スト6』コミュニティを広げるためにできること
──今年の3月に行われた「VSPO! SHOWDOWN」内で、お二人の激闘の記憶が新しいのですが、イベントを振り返ってみてどうでしたか?
立川 「CAPCOM CUP 11」が「VSPO! SHOWDOWN」の前に同じ両国国技館で開催されていたんです。僕は出られなかったんですけど、ずっとあの舞台に立ちたいなと思っていたので、違った形ですが両国で対戦できたのは嬉しかったですね。
次の「CAPCOM CUP 12」も両国開催なので、出場した時の会場のリハーサルができたなという感覚です。機会をくださったぶいすぽっ!さんには感謝しています。
──たしかに、両国で格ゲーをやる機会なんてそうそうないですもんね
立川 なんかかっこいい感じに言いましたが、結果は甘結さんに負けてるんですよね(笑)。言い訳はしたくないのですが、イベントとしての一体感だけじゃなく、ぶいすぽっ!の人気を肌で感じて飲み込まれたというか──「VSPO! SHOWDOWN」以外でも最近、声援の力って本当にあるんだなって思う機会が多くて。
──と言いますと?
立川 例えばヨーロッパの大会って、観客に応援されるヨーロッパ勢が優勝する確率がすごく高いんです。7月にフランスで開催された「The MIXUP 2025」は、アメリカのNephew選手が優勝したんですけど、それでもヨーロッパの声援って地元選手の試合は地面が揺れるくらいの声援なんですよね。
なのでヨーロッパに行くときは、声援の影響も普段より意識してやるんですけど、「VSPO! SHOWDOWN」も同じ準備をした方が良かったと思うほどの熱量で本当にすごかったです。
立川さん
──甘結さんは、イベントを振り返ってどうでしたか?
甘結もか イベントのコンセプト的に、ぶいすぽっ!側が挑戦する感じだったんですけど、挑戦するにあたって練習期間がめちゃくちゃ長かったんですね。
普通のイベントは、練習期間が大体1週間から2週間くらいだと思うんですけど、「VSPO! SHOWDOWN」は、1か月くらい練習できたんです。それがすごく自分に合ってましたね。本気で1ヶ月間練習して、戦いに挑むっていうのが、最高に楽しかったです。
──甘結さんの対戦相手は立川さんとガチさん、どちらもプロの選手でしたね。どういう取り組みをしましたか?
甘結もか 「VSPO! SHOWDOWN」の時は、立川さんとガチさんだけの対策メモをつくって、そこにいろいろ書き込みましたね。立川さん対策でいうと、特に広島 TEAM iXA所属の稲葉さんには1番対戦してもらいました。対策はやれることはやったので、あとはやるだけみたいな感じでした。
本番専用の動きみたいなものを結構持っていったんですよ。人読み(※)って、他の人との練習で出せないから、立川さんがやっている行動に対する対抗策を持っていったんですね。ただ、普段の練習からあまりできないようなことだから、思った以上に全然出せなくて。
でも立川さん、いざ対戦するとめちゃくちゃ人読みが上手くて。起き攻め(※)とか私が絶対有利な状況でも、すごく上手く人読みで対処されてるなと思いました。差し返しも練習ではできていたんですけど、本番だと全然できなくて、身についていないんだろうなと思いました。
プロの人は本番でもちゃんとできるんですよ。そこはすごく差を感じました。
※相手の癖や行動パターンを読んで仕掛ける戦術
※相手がダウン状態から起き上がるタイミングを狙って攻撃を仕掛けること
甘結もかさん
──立川さんは甘結さんとの対戦に向けて対策や意識したことはありますか?
立川 「ストリートファイターリーグ」で戦うくらいの感覚でやりましたね。あの時はキャラ(舞)を使い込めていなかったので、自キャラの課題が実は多かったんですよ。
でも、僕の体感で言うと、甘結さんとは地力差があるなと思っていて。そんなにやり込めていなくても、そこの差で勝てるだろうなという算段がありました。でも実際は、甘結さんがその算段を軽々と超えてきて。準備や取り組みもそうなんですが、本番力が高いなって感じました。
僕らプロゲーマーと違って大舞台での対戦経験が少ないと思うので、本番でもっと緊張して動けないんじゃないかと。そうしたら緊張を感じさせないくらいどっしりしてたのが本当に想定外でした。
──緊張を感じさせないプレイだった、ということですが甘結さんは練習期間中に大変だったことはありましたか?
甘結もか そうですね......。めちゃくちゃ病みましたね(笑)。でも体調だけは頑張って整えようと思って、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる生活を徹底しました。本番が近づくにつれてご飯食べれなくなったりしたんですけど......。
──ではそんなメンタル面は、どうやって調整していきましたか?
甘結もか コーチのボンちゃんさんがいろいろとケアしてくれましたね。もちろんメンタル面だけじゃなくて、練習面もケアしてくれたんですけど。格ゲーの技術だけじゃなくて、メンタルの保ち方もプロとの差を実感できたのでよかったなと思いました。
──実際にどんなコーチングがメンタルケアになっていましたか?
甘結もか 試合の前日に言われたことが今でもめちゃくちゃ刺さっていますね。「試合本番でビビって、後ろに下がって負けるのだけはやめてね」と言われたんですよ。そういう負け方だけはしないように、みたいな。
大舞台で安定しようと思うと、やっぱり行動できなくなるじゃないですか。『スト6』って基本的に1つ1つの行動にリスクを伴うから、それにビビって動けなくなっちゃうんですよ。
負けるなら、強気に前に出たり、自分から行動して負けようみたいな心の持ち方が、1番心の支えになりましたね。そういった本番での姿勢とか、本番までの取り組み方を全体的に教えてもらったので、本当に素敵な機会でした。
続きを読むにはメンバーシップ登録が必要です
今すぐ10日間無料お試しを始めて記事の続きを読もう
800本以上のオリジナルコンテンツを読み放題
KAI-YOUすべてのサービスを広告なしで楽しめる
KAI-YOU Discordコミュニティへの参加
メンバー限定オンラインイベントや先行特典も
ポップなトピックを大解剖! 限定ラジオ番組の視聴
※初回登録の方に限り、無料お試し期間中に解約した場合、料金は一切かかりません。