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  • 2019.11.26

「プロ」コスプレイヤーの成立と、えなこのこれまで

えなこさんの登場以降、同人文化の一角でしかなかったコスプレシーンは激変した。

「プロ」コスプレイヤーの成立と、えなこのこれまで

1970年代から続く、コミックマーケットが成立させた「同人」による経済圏

クリエイターも消費者もフラットに、同好の士であること、あるいは「オタク」であるという共通項が生み出す楽しさによって独自の発展を遂げてきた。

もうインターネットが登場して以降は、毎日がコミケみたいなものなのかもしれない。自分の趣味性や特技、好きなことを活かし、売りにして生業とすることは当たり前のものとなった。

そんなシーンの一端を担う、「コスプレ」と呼ばれるジャンルにおいて、不動のトップで在り続けるのがえなこさんだ。彼女は、10代からコスプレをはじめてコミケに参加。瞬く間にインターネット上で話題を呼び、長年一般から見た「コスプレイヤー」のパブリックイメージとなっている。

えなこはなぜ、トップでい続けるのか。コスプレはなぜここまで発展していったのか。彼女のマネージャーをつとめる「元祖」プロコスプレイヤーのよきゅーん(乾曜子)さんとの対話によって、その秘密を探っていく。

目次

  1. 活動休止と復活 その理由
  2. 「プロコスプレイヤー」として生きること
  3. コスプレ文化とメディアの理解度
  4. コスプレイヤーのイメージを担う「えなこ」

活動休止と復活 その理由

左:よきゅーんさん 右:えなこさん.jpg

左:よきゅーんさん 右:えなこさん

──えなこさんは、人気絶頂の中で、一度引退されます。その頃、一体何があったのか。どうして引退されたんでしょうか?

えなこ 正直、一度はやりきったと言いますか。元々その当時は学生だったということもあったので、学業を優先しないといけないなと思った時期だったんです。それに中学生の頃からコスプレをはじめたんですけど、それから大学生になるまで本当にコスプレしかやってこなかったんです。お休みとかも全部イベントに費やしたり、衣装制作の時間にしたり。

とにかく人生をコスプレにしか使ってこなかったんです。だから、ちょっと他の事もやりたいなと思って、とりあえず一回距離を置こうと思って、辞めました。

コスプレはたしかに好きではじめたけど、あくまで趣味でした。それがインターネット上で結構な話題になってしまい。活動する中で、ファンと呼べるような方々も、ありがたいことにたくさんついてくださったんですけど、当時は「コスプレを仕事にする」なんて選択肢は思いもしなかったから。就職も視野に入れると、一回は休まないと、大変だと。

──戻ってきた理由っていうのは?

えなこ 地元の名古屋でバイトしている時、東京から私のファンだった女の子が通いに来てくれてたんです。「復活しないんですか?」って何度も言ってくれて。辞めてからそろそろ2年経つということで、なんとなくまたはじめたのがきっかけです。なんとなく辞めて、なんとなくはじめて。

──戻ることに対して、抵抗感はなかったですか?

えなこ 辞めたときもすっと辞めましたし、再開する時も自分が好きではじめて。あくまで趣味なので何も重く考えるようなこともなかったです。周りの目や意見とかもあんまり耳に入って来ず(笑)。

──周りの目っていうのは、SNSとかでなんか言われるってことですかね。

えなこ 「復活したんだ」って喜んでくださってる方もすごい多かったですけど、正直「そんな騒ぐことか?」と私は思ってたんです。もちろん復活した当初は事務所とかにも全く入ってなくて、ほんとにまた趣味としてはじめただけなんです。

乾(よきゅーん)さんさんに出会ったのは、それから1、2年後とかですね。

──えなこさん的にもその時はコスプレで食べていこうと決心されていた?

えなこ いえ、やっぱり全く考えてなくて(笑)。お話がきたから「じゃあ、わかんないけどやってみるか」って感じなんですよ。

よきゅーん 本当に危ないんですよ、えなこはマジで。最初に会った時にもそうだし、契約書とかもそんなに見ないでサインするし。「大丈夫かな?」とか思うシーンはいくつもある。悪いところに行かなくて良かったなって思っています(笑)。

「プロコスプレイヤー」として生きること

えなこVOL1_1.jpg

──そこから、現在はお仕事として、コスプレイヤーをされています。メディアに出るときも「プロコスプレイヤー」という紹介のされ方をする。えなこさんの中では、仕事としてコスプレに向き合うことと、趣味でコスプレすることとの境界線はあるのでしょうか。

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